白山ネット連句会

2020年3月 臨時「木に語るだけ」両吟歌仙

■臨時「木に語るだけ」両吟歌仙
海紅・真美 2020/03/02-15:11 No.[2681]---------------------------------------

 


はじめに

 美しい星が新しいウィルスなるものの侵入で低体温化して、代謝が悪くなっている。不要不急の外出を避けざるを得ないとすれば、ここで歌仙でも巻いて情操を育むのも悪くない。今回は真美君との両吟という珍道中を試みます。お笑いください。
さて発句は先の浜離宮の句会で吉田千嘉子さんの選に入った拙句とさせていただきます。あの日はとても風が強かったのですが、園内は木々に遮られて穏やかそのもの。それだけに、たまに吹く風に騒ぐ木々は印象的でした。それで、次のような句が生まれました。これで、真美君の打添付(発句が言い残したもの)を待つことにします。

 木に語るだけ語らせて春の風      海紅
イヤホン外す囀りの町          真美
ふんだんに伊予柑ジャムを盛りつけて   同
還暦もゐる乳飲み子もゐる        海紅
月ありて雑魚寝ますます楽しやと     同
菊人形の衣装鮮やか           真美

今日のこと話し聞かせて扇置く      真美
とんとん進む栗鼠の縁談         海紅
潮騒の巣穴に五年添ひ遂げし       同
夫婦は二世といふを信じて        同
とかくしてブロードウェイの初日あく   真美
芝に届いてビルの夕映え         海紅
遮断機がまた押し上ぐる夏の月      真美
蔵の傍なる青梅の出来          同
鍋島のかけら百点ほど並べ        海紅
案内嬢の細き襟くび           同
機関車の汽笛高らか花の山        真美
お腹いつぱい運ぶ蜜蜂          同
ナオ
糸遊を鏡の国を戻り来し         海紅
まだウィルスの去らぬ惑星        同
予後に得し有給休暇旅にあり       真美
ゆるキャラの絵のマンホール撮る     同
黒塀に沿ひ掘り割りも水仙も       海紅
猫驚かす電線の雪            同
逃げ込んで3.11の公民館         真美
手が届かない恋に恋する         同
火を飛んで来たる腕に抱かれし      海紅
いつまで続くトタン打つ雨        同
朝月夜モン・サン・ミシェルに啓示あり   真美
生姜かじれば戻る体力          同
ナウ
残る蚊の覗いてゐたる硝子窓       海紅
母と姉とでお迎へに来る         同
ドラえもんどんな未来か教えてよ     真美
オリンピックに期待膨らむ        同
美しき日本語話す花の客         海紅
帰化をかなへて仰ぐ初虹         真美

(令和2年3月2日首 同3月19日尾 海紅捌)

 

 

 

 

かじわら まみ 2020/03/02-22:12 No.[2682]---------------------------------------


木に語るだけ語らせて春の風
何を乗せるの庭のぶらんこ
イヤホン外す囀りの町
帽子のそばをひらり蝶々

頭を柔らかくして先生についていくので、最後まで導いてくださいね。改めて、よろしくお願いします。笑いのたえない道中になりますように。

 

山房の海紅 2020/03/03-09:01 No.[2683]---------------------------------------


少し黴びてしまった林檎を丸餅ふうに切って皿にのせ、庭に出しておく。食べに来るのはきまってヒヨで、周囲の皮と中心の芯を残して、数日かけてきれいに片付けてくれる。その最中にうっかり外に出たりすると、まずは庭陰のモチノキに逃げて、ボクに背を向けてとまり、横目でボクをみたあと、チチと鳴いて飛び去る。仲春の寸景です。

 脇句案3句拝見。打添の観点からいえば、「何を乗せるの」という主観は強い。春風を視覚で受けて「蝶々」も悪くないが、「木に語るだけ語らせて」という聴覚に従順に、「囀り」で行きましょう。〈ふとイヤホンを外す〉というのも、発句に寄り添って上手い。

 両吟だから、第三も真美君が案じてください(晩春で、はっきりした人事が望ましい)。四句目と五句目がボクの担当になります。

 

かじわら まみ 2020/03/03-12:38 No.[2685]---------------------------------------


イヤホンの句を採っていただきありがとうございます。褒めてもらえて照れます。
4句目を作るつもりだったのに、まさかの第三も私…。
第三が1番苦手なので、作る前に先生にお聞きしたいことがあります。春が3句続きますが、第三で花を入れますか?それとも初ウラに取っておく?どちらにしましょうか。

 

山房の海紅 2020/03/03-13:25 No.[2686]---------------------------------------


晩春だから、花も想定内の素材でしょうが、五句目に月の定座があるので、表六句に月と花両方はくどい。五句目の月を「春の月」として第三に引き上げるという発想はあってよい。でも、晩春の人の暮らしを詠んで、四句目の雑に渡し、秋月を上げるのが普通でしょう。観客の学習を兼ねるとすればなおのこと。花はよしましょうか。

 第三は内容的には発句に同じ品格。俳句を作るつもりでよい。

 

かじわら まみ 2020/03/03-20:53 No.[2687]---------------------------------------


質問にお答えいただきありがとうございました。花の件、余計なことを言って失礼しました。林檎のエピソード、のどかで可愛らしいですね。

できたての伊予柑ジャムをふんだんに
大掃除励む我が家のせわしげに
水槽のお玉杓子と目が合つて

先生の意に沿わない第三でごめんなさい。4句目と最初の月が待ち遠しいです。遊び心で字をみかん色にしてみました。

 

山房の海紅 2020/03/04-09:56 No.[2688]---------------------------------------


ボクにとっては1月19日の講演で話した「俳句における模倣」と変わらないのだが、おしなべて、①対象(連句の場合は前句)に何を汲みとるか、この鑑賞が最初の作業。 例えば「イヤホン外す囀りの町」に陽気とか、はずむ心をつかむ。この点は観客も一応賛成してくれるのではないか。

②この「陽気とか、はずむ心」だけは次の句に受け継がれなければならない。そうしなければ付合文芸とはいえない。伊予柑(2,3月)か、大掃除(季感曖昧)か、お玉杓子(3月)か。

③ここで捌きの力量が試される。発句・脇が目と耳を使っているので、嗅覚(香り)をいただこうか。イヤホンを外して、パンとか、菓子とかを贅沢にほお張ろうとすると、囀りも聞こえてくる。食を明確に意識したいので、「できたて」を捨てて、「ふんだんに伊予柑ジャムを盛りつけて」とさせてください。「陽気とか、はずむ心」は注入できたのではなかろうか。

 

山房の海紅 2020/03/04-10:56 No.[2689]---------------------------------------


四句目は、重くもなく、軽くもなく「還暦もゐる乳飲み子もゐる」とあしらってみましたが、いかがでしょうか。

清水瓢左(昭63没、享年90)という俳諧師がいた。こういう方が健在のうちにお招きして指導をうけてはどうか、という話が我が師匠からあり、大学で連句を巻いたことがあった。紅花、紅魚、海紅が一座して、瓢左氏に捌いてもらったが、われわれの付句案は悉く瓢左氏に加筆修正され、原型をとどめなかった記憶がある。そのころは、「陽気とか、はずむ心」とか、前句の熱量を付句に落とし込む力など、まったく身についていなかったのだと思う。この出逢いの最後に軒号が与えられ、思わず知らず、瓢左氏の一門である証書もいただいたが、その後転居を繰り返して、いまその所在がわからないが、。別所真紀子著『古松新濤 ―昭和の俳諧師 清水瓢左―』(都心連句会刊)269頁に、ちらとその痕跡が記録されている。

 

山房の海紅 2020/03/04-11:05 No.[2690]---------------------------------------


前句の贅沢感を受け継いだつもりです。

 

eiko yachimoto 2020/03/04-11:34 No.[2691]---------------------------------------


白山連句が再開され嬉しく思います。

ウイルス対策を聞いていると、命を守るということは
こういうことなのだろうか、命の内実は考えているのだろうかと首をかしげることがあります。

こんな時、両吟連句、いいですね。

瑛子より

ps。清水瓢左の御名は聞いたことがあります!先生、真美さんができたてのとしたのは
きっと、店に長く置いてあったジャムではなく、季節の伊予柑をもいできた感じを詠みたかったのではないかと思ったりしました。
私は好きでした。

 

山房の海紅 2020/03/04-12:15 No.[2692]---------------------------------------


五句目は月の定座(リザーブシート)。以下の三案から、真美君に選んでいただきます。よろしく。

月ありて雑魚寝ますます楽しやと
月うすく移民の船は銅鑼を打つ
打つ手なきときの村長月をがむ

 

かじわら まみ 2020/03/04-12:27 No.[2693]---------------------------------------


一直ありがとうございます。実家から送られてきた伊予柑が「陽気とか、はずむ心」に結び付いてよかったです。4句目はあっさりしてるのに贅沢な感じがいいですね。

「できたての」については、瑛子さんのお言葉通りです。フォローありがとうございます。

さて、先生らしい月の句ですね。ちらりと見ましたが、景色を想像するのに時間がかかりそうです(むずかしい…)。お昼休みは頭がぼーっとするので、夜になったら好きなものを選ばせてください。というか私が選ぶなんて恐縮です。

 

かじわら まみ 2020/03/04-18:49 No.[2694]---------------------------------------


僭越ながら、いただいた候補の中から、
月ありて雑魚寝ますます楽しやと
を選ばせてください。そのうえで今さらですが、折端は私の番でしょうか。もしそうであれば、後ほど付句を出しますね。

 

山房の海紅 2020/03/04-20:43 No.[2695]---------------------------------------


そうだよね。初オモテであるし、前句を明るく受けたほうがよい。炯眼です。

 折端、折立(初句)が真美君です。こうしないと、両吟は長句短句のバランスがとれないので。

 折端(秋)は、穏やかに進んだオモテ六句を美しく閉じてください。折立は初ウラの始まりですから、ボク流にいえば、姿のよい句で始めたい。

 まずは、折端ですね。秋ですね。

 

山房の海紅 2020/03/04-20:52 No.[2696]---------------------------------------


なお、他ならぬ瑛子さんのコメントなので、「できたての伊予柑ジャムをふんだんに」についてひとこと。「できたての」があると、「ふんだんに」と合わせて、一句に二花(大蛇に二つの頭)ができる。これでは俳句も上手くならないが、連句の平句の場合は特にまずい。平句の学習は、詩人の才能を磨く近道だと思っています。

 

山房の海紅 2020/03/04-21:02 No.[2697]---------------------------------------


補足すれば、「伊予柑ジャム」が3月という時期であると考えると、みんな「できたて」です。よって、言い過ぎ、無駄。言外でわかることは言葉にしない。これが詩歌の鉄則です。

 

山房の海紅 2020/03/04-21:05 No.[2698]---------------------------------------


付句は明日以降でもよいのだよ。睡眠は仕事のうちです。ボクもそろそろ休みます。

 

かじわら まみ 2020/03/04-21:21 No.[2699]---------------------------------------


先生のお話、深くてすごいなぁ。忘れないうちに出しますね(自と場の句にしたつもりです)。
こんな付句でも、折端を美しく閉じられるかな。折立に行く前に、ご判断願います。

もう吸ひ終へしおしろいの蜜
残る蛍がそつと現れ
菊人形の衣装鮮やか

言い過ぎないことの大事さは、普段の会話にも言えますね。またひとついいことを知りました。
先生はどうぞ、先におやすみになってください。もう少ししたら私も布団に入ります。

 

山房の海紅 2020/03/04-23:12 No.[2700]---------------------------------------


平句は前句と合わせるのだから、「おしろいの蜜」だけで余韻横溢。「残る蛍」だけで十分。

 とすれと「菊人形の衣装鮮やか」がもっともスッキリしている。衣装のことしか言っていない点がみごと。前句の月とも映発する。これをいただきましょう。

 折立は初折ウラの始まりで、秋の句の締めくくりでもある。菊人形の周辺にあるものをスケッチしてしてください。

 

かじわら まみ 2020/03/05-06:57 No.[2701]---------------------------------------


おはようございます。
選んでいただきありがとうございます。付いたようでひと安心。
折立は晩秋のほうがよいのかしら?と思いつつ、三秋の言葉とあわせて考えてみます。思い付いたら載せますね。

 

eiko yachimoto 2020/03/05-20:33 No.[2702]---------------------------------------


表六句、フレッシュでいて俳味も伝わる付合ですね。おめでとうございます。(イヤホン外すと雑魚寝ますますが秀逸)

伊予柑をはじめ、沖縄のタンカン、清美オレンジとポンカンを
掛け合わせた熊本産の不知火というオレンジも大好きです。

新しいDuoに幸あれかし。

 

 

山房の海紅 2020/03/05-20:57 No.[2703]---------------------------------------


ありがとうございます。親子のようなDuoですが、世代が上の人たちから、新しいDuoの申し出があるような白山連句会のきっかけになることを夢見ています。

  春塵や古書市にわが蔵書印  海紅

 

かじわら まみ 2020/03/05-21:15 No.[2704]---------------------------------------


大変お待たせしております。結局晩秋の景色になりました。
姿がよいとは言えないのですが、よろしくお願いします。

傘を差す人まばらなる秋時雨
問いかける忘れ団扇に今日のこと
鉄塔を怖がりもせず鳥渡る

p.s 瑛子さん、コメントありがとうございます。世間は暗いですが、ここに来れば幸せ―心の拠り処になっています。

 

山房の海紅 2020/03/06-10:49 No.[2705]---------------------------------------


【時雨について】これは「神無月降りみ降らずみ定めなき時雨ぞ冬の初めなりける」(不知・後撰集445・冬)で「定めなき世(無常の世の中)」という本意(イメージ)が決定づけられ、初冬に限定される詞になりました。北西の風に流された雲が風の音を伴って一時的に降る通り雨です。10世紀のことです。その前後も秋や、まれに春にも詠まれていますが、「無常」のイメージとは異なります。よって、秋時雨、春時雨という詞はよほど気をつけて使わないと本意(イメージ)が定まらないので要注意。
【忘れ団扇について】これは「扇置く」を見出しとする季題で、秋風を喜ぶことを本意(イメージ)とします。扇を置いた場所を忘れるほどに涼しいというわけ。忘れ扇も涼しいなあというイメージを踏まえて使いたい。
【鳥渡るについて】これは渡り鳥のうち、群れてくる冬鳥のこと(秋に日本に来る)。

 これらのおさらいを踏まえると、傘を差す人が少ないのは秋時雨に当たり前のこと(時雨の説明に終わっている)。渡り鳥が鉄塔を怖れないのも当然のこと。よって、「忘れ団扇」をいただきましょうか。でも、「問いかける」では前句の景情が動かない。よって少し修正させてください。観客の学習にもなるからね。直してゴメンネ。
今日のこと話し聞かせて扇置く  真美

 

かじわら まみ 2020/03/06-12:32 No.[2706]---------------------------------------


俳句を作るときに季語の本意を考えることはありますが、連句にも関わってくることだったのですね。またひとつお勉強になりました。

それでいて普通のことを言うのでは、せっかく付けあっているのにつまらないですね。直してくださりありがとう、先生。バトンタッチします。

 

山房の海紅 2020/03/06-17:17 No.[2707]---------------------------------------


まじめに遊んできたから、人間から離れた恋の句で軽くなりましょうか。鎌倉八幡宮あたりに遊ぶと、そこここでリスを見かけます。そんな記憶を童話風に。これは真美君に選んでもらうほどのことじゃないので、このまま参ります。

とんとん進む栗鼠の縁談   海紅
潮騒の巣穴に五年添ひ遂げし 海紅

 

山房の海紅 2020/03/06-17:28 No.[2708]---------------------------------------


これから雑が増えますので、この辺りでステップを踏み替えましょうか。つまり、次の短句(雑)を真美君にお願いして、次の長句(雑)を海紅が付けます。とりあえず、そこまで参りましょう。急ぎませんので、よろしく。

 

山房の海紅 2020/03/06-17:42 No.[2709]---------------------------------------


「添い遂げし」があるから、できれば無常とか、釈教めいた世界がよいかな。

 

千年 2020/03/06-19:05 No.[2710]---------------------------------------


「はっきりした人事が望ましい」。読み進めているうちに連句の発見、発見また発心。ここでこの恋の句。よく分かりませんがギャラリーの雑言です。

 

かじわら まみ 2020/03/06-19:59 No.[2711]---------------------------------------


メルヘンチックな栗鼠が先生らしくて可愛いです。ステップを替えて気分転換しましょう。

形見もなしに頼る御仏
ほむらに情を殺す護摩行
闇に葬る息もこの身も

無常や釈教めいた付句を作るのは初めてかも…わからないまま出します。先生はお捌きさんなので、どうぞ遠慮なく修正してくださいね。

p.s 千年さん、ご無沙汰しております。このご時世で、お変わりなくお過ごしですか。

 

山房の海紅 2020/03/06-21:28 No.[2712]---------------------------------------


「形見もなしに」は現世のこと、「頼る御仏」は不確かな来世(後世)願望なので、ボクには一句としては、股裂きのような辛い句で不安定なものに見える。

 次の「嫉妬(ほむら)に情を殺す」という姿も難解。宗教の話題は差し支えがあるかもしれないが、源氏物語を引くまでもなく、真言密教の護摩行は煩悩を焼き払おうとする一方で、降伏(怨みの対象を祈り殺す)を試みる世界でもあって、ボクには矛盾する仏道の世界。「闇に葬る息もこの身も」もけばけばしく強烈だが、リアリティに欠ける気がする。さて、どうしようか。

 

山房の海紅 2020/03/06-21:45 No.[2713]---------------------------------------


無常、釈教は始めてでわからないということだから、ここはもう一句ボクが行こうか。

 前句は「添い遂げた」という睦まじいカップルなので、その気分をつないで形象化して、次のようにして見ましょう。

  夫婦は二世といふを信じて  海紅

 親と子のは現世のみの縁だが、妻と夫のえにしは現世と来世(後世)にわたるという教えをそのまま句にしました。
これで、無常とか釈教を離れて、次は自由に(しかし、前句の熱量を引き継いで)雑の句を案じてみてください。
繰り返しますが、急ぎませんよ。

 

山房の海紅 2020/03/06-21:47 No.[2714]---------------------------------------


恋が三句になりましたが、お許しいただきましょう。

 

山房の海紅 2020/03/06-21:53 No.[2715]---------------------------------------


千年さんのコメントに応じるには、もう少し補足が必要です。待ちます。

 

かじわら まみ 2020/03/06-22:50 No.[2716]---------------------------------------


助けていただきありがとうございます。恋句は大好きなのでいくつ続いても(個人的には)いいです。変に恋離れしなきゃよかった。

海紅さんに頼りっきりでだめですね…前句に応えられないのは心身ともに不調だから、ということでお許しいただきたいです。
先生のお言葉に甘えて、長句は明日出しますね。

 

かじわら まみ 2020/03/07-11:55 No.[2717]---------------------------------------


生バンドブロードウェイの大舞台
デパートの催事はパッチワーク展
使ひ手のだんだん減りぬ黒電話
塗り薬軟膏よりもクリーム派
最近のお薬手帳アプリ式

春の日差しに気を入れ換えて再チャレンジです。自信がないので数で勝負、よろしくお願いします。前句の熱量を引き継げたかな。

 

千年 2020/03/07-13:56 No.[2718]---------------------------------------


ガイドしている施設が休館になって休日、読者としても楽しい両吟を拝読しております。先生の恋の句は宮沢賢治の作品に出て来る動物感があるように思えてきました。

 

山房の海紅 2020/03/07-15:13 No.[2719]---------------------------------------


「生バンドブロードウェイの大舞台」を例にお話しします。今までの付合からみるときわめて新鮮なれど「生バンド」「ブロードウェイ」「大舞台」と強烈な名詞が三つもあって、どれか捨てなければ、間違いなく食あたりしてしまう。どれかひとつをとって、残りの二つは言外に出す。試みに「ブロードウェイ」だけを残す。そして前句の「信じて」という思いと取り結ぶと、「いろいろあったが、幕を開けることができた」というような小話ができそうに思う。
先に瓢左さんとの逸話を紹介したが、「捌く」をまさか「裁く」と同じく考えている人はいないだろうが、実は「解きほぐす」ことだということを理解している連句人は少ない。ボクも裁くのでなく、真美君の実力向上のために解きほぐす作業をさせてもらって、本件を以下のように治めたい。

  とかくしてブロードウェイの初日あく

 

山房の海紅 2020/03/07-16:12 No.[2720]---------------------------------------


芝にも届くビルの夕映え 海紅

 とかく連句は人の暮らしが続いてくどくなる。それゆえ、清涼飲料のような景気の句が期待される。そんな立派な句ではないが、こんな付句を添えて、真美君に次(初ウ7)の夏の月を出してもらおうか。夏の月の本意(イメージ)は涼しです。人間など出さずに自然の風景に挑戦してください。

 

eiko yachimoto 2020/03/07-16:29 No.[2721]---------------------------------------


恋句が3句続くところにきて落涙、蕪村300年忌の
歌仙を修道院で巻いた時の無迅さんの句が突如浮かび上がったのです。

  (色留袖の妻の襟足   無迅)

千年さん、お久しぶりです!

 

山房の海紅 2020/03/07-16:52 No.[2722]---------------------------------------


ありがとうございます。思い出させてくれますね。もう四、五年前になるかしらん。棉の花が咲き残っていた記憶がある。

 千年さんの話の休館は例のウィルス騒ぎによるのでしょうね。早く治まって、国々のリーダーが寛容に戻るのを祈ります。

 

かじわら まみ 2020/03/07-19:47 No.[2723]---------------------------------------


直していただきありがとうございます。食あたりは避けたいです。普段人に囲まれているので、誰もいないところに行きたくなります。

遮断機の下りぬ踏切月涼し
笠かぶるお地蔵様に夏の霜
美術室石膏像に夏の霜

地元にあるものを切り取ってみました。夏の月、ありがたくいただきます。ご治定願います。(芝の付句、ちょっと変わった?)

 

山房の海紅 2020/03/07-20:24 No.[2724]---------------------------------------


前句に今生きてここにあるいっときの讃歌、そういうものを生き生きと切りとってほしい。いわゆる式目で満足する連句人の付合とは違うこの世の美を活写しよう。そんなつもりで(瓢左、あるいは東明雅ふうに)仕立て直してみた。納得してほしい。感動してほしい。

 Before:遮断機の下りぬ踏切月涼し
After:遮断機がまた押し上ぐる夏の月

 涼しいと言わなくても涼しいと思いませんか。本当の俳諧を継承するためにガンバレ! 

 

山房の海紅 2020/03/07-20:35 No.[2725]---------------------------------------


私の人生は猿蓑連句に出会って狂ってしまったので言っておきたい。「正岡子規よ、連句をナメテもらっては困る」とね。

 夏の句とはいえ、一句じゃ付合とは言えないので、引き続き真美君がもう一句、夏の月の後の一句を付けてください。人間の生活はうざいので、月が見ている自然を描く訓練をしてください。その次の雑の句をボクが引き受けます。明日は日曜日だから、何とかなるよね。

 

かじわら まみ 2020/03/07-20:49 No.[2726]---------------------------------------


確かに夏の月、といえば涼しいものなので、わざわざ「月涼し」としなくてもよかったのですね。先生からのエールは励みになりますが、こんなことにも気づけない私に、本当の俳諧を継承できるのかな。

次の短句も自然の句ですね、かしこまりました。明日は日曜日なので考える時間はたっぷりありますが、的はずれな結果になったらすみません。そのときは何とかしてくださいますよね、先生。

 

千年 2020/03/07-21:31 No.[2727]---------------------------------------


「「捌く」をまさか「裁く」と同じく考えている人はいないだろうが、実は「解きほぐす」ことだということを理解している連句人は少ない。」

真美さんなら「ほぐせて」いける。すみませんギャラリー今日は酔っぱらいです。

 

山房の海紅 2020/03/07-22:08 No.[2728]---------------------------------------


土佐鶴とか、司牡丹とか、旨い酒を呑んでいるのであろう。羨まし。

 

千年 2020/03/07-22:46 No.[2729]---------------------------------------


「人間の生活はうざいので、月が見ている自然を描く訓練をしてください。」

今日は焼酎でした。。。
真美さん、連句サーファーに。ギャラリーはもうひっこみます。

 

かじわら まみ 2020/03/08-12:34 No.[2730]---------------------------------------


砂糖が起点蟻の行列
重なるやうに鯉幟揺れ
蔵の屋敷に熟す青梅

人間がいない自然の景色にしたつもりですが、先生の意を汲んだ付句になっているでしょうか。

p.s 千年さん、機会がありましたらAMAOTOというお酒を呑んでいただきたいです。高知の酒造です。

 

山房の海紅 2020/03/08-15:49 No.[2731]---------------------------------------


休日でノンビリできていますか。
三句とも「蟻の行列」「鯉幟」「青梅」と焦点が定まっていて鑑賞しやすいです。でも、もと国語教師としては〈蟻の行列にとって、砂糖は起点かな、終点のようでもある〉〈もつれたり、ほぐれたりする鯉幟は「揺れ」でなく「泳ぐ」じゃないか〉〈熟すと言ってしまうと、青梅じゃなく実梅だよな〉などと悩んでしまう。
さて、前句の涼しげな月に一番似合うのは「青梅」かな(伊予柑は初オモテだから問題なし)。で、「熟す」をはずして「蔵の傍なる青梅の出来」とでもしようか。「出来」と言えばいっぱい実をつけているわけだが、色が涼しげで気持ちよい。

 

山房の海紅 2020/03/08-16:19 No.[2732]---------------------------------------


さて、慌てているわけではないが、真美君に花の句を付けてもらおうと計算して、雑で花前までの二句を付けます。

  鍋島のかけら百点ほど並べ
案内嬢の細き襟くび

 これで花の定座と折端の短句(春)にチャレンジしてください。急ぎませんよ。

 

かじわら まみ 2020/03/08-18:02 No.[2733]---------------------------------------


おかげさまで、お昼まで寝て、のんびり過ごしています。青梅の件、納得です(ねじれた表現の短句ばかり出して恥ずかしい)。

焦らないように、1つずつ行かせてください。まずは花の座、お先にいただき恐縮です。なお、どれがいいか、先生に決めてもらいたいなと思っています。

 

かじわら まみ 2020/03/08-22:11 No.[2734]---------------------------------------


ほうじ茶をすゝり足湯の花の宿
番傘の擦れる鳥居の花の雨
機関車の汽笛高らか花の山

いろいろな花に挑戦してみましたが、その良し悪しはわかりません…お直しよろしくお願いします。それではおやすみなさい。

 

山房の海紅 2020/03/09-09:51 No.[2735]---------------------------------------


1)ほうじ茶をすゝり足湯の花の宿
はうじ茶は宿の焙煎花の宿
足湯して待つチェックイン花の宿

2)番傘の擦れる鳥居の花の雨
番傘の絵柄も花よ花の雨
花の雨鳥居に傘の花ひらく

3)機関車の汽笛高らか花の山

これは俳句のレッスンにも通じるのだが、三つの句案に番号をつけて鑑賞を試みると、(1)(2)は二つの句に分離してしまいました。何度かお話ししてきたように、材料が多いので、抒情が期待できないのです。

 それに対し、(3)は分離しません。つまりボクに手を出しようがありません。これは一句として成立します。これをいただきましょう。以上、真美と海紅の二重奏を聴いて下さっている人々のためにも、やや詳しく卑見を開陳してみました。
桜は晩春ですから、短句で自由に三春の景でも、晩春の景でも続けてください。仕事の手がやすむときでよいのですよ。

 

山房の海紅 2020/03/09-09:58 No.[2736]---------------------------------------


遮断機がちょと近いけれど、及第にしましょう。

 

かじわら まみ 2020/03/09-13:31 No.[2737]---------------------------------------


ご治定ありがとうございます。欲張りな性格が付句にも出てますね…。電車が好きだからか、無意識に汽車を出していました。でも及第点をもらえてよかった。

お気遣いいただきありがとうございます。いまはお昼で仕事の手をやすめていますが、会社だとなかなか連句の脳に切り替わりません。帰り道や家でゆっくり考えます。

 

かじわら まみ 2020/03/09-20:51 No.[2738]---------------------------------------


地元は月が雲隠れしています。明日は雨予報、私も今夜の月を見たかった。きっと無迅さんもご覧になっていることでしょう。銀山温泉の吟行からもう1年経つなんて早いですねー。

くるりくるりとしやぼん玉飛ぶ
お腹いつぱい運ぶ蜜蜂
夢にまどろむ子猫丸まる

シンプルにしたつもりです。先生へのパス、上手くいったかな。

 

かじわら まみ 2020/03/09-22:33 No.[2739]---------------------------------------


まだ間に合うなら、滑り込みさせてくださいませ。

鏡の国に迷ふ糸遊

p.s 「二重奏」の例えを見てから、ここを覗くとモーツァルトの2台のピアノのためのソナタが脳内を流れるようになりました(笑)(↑皆さん、一聴の価値ありですよ~よろしければぜひ!)

 

山房の海紅 2020/03/10-11:12 No.[2740]---------------------------------------


テーマの絞り込みを学んでくれたのであろうか、「しやぼん玉」「蜜蜂」「子猫」「糸遊」とシッカリした柱があって、どれも花の山に接続しそうだ。今までの展開に神経質になって、あえて保留するなら「子猫」か。また、ボクは不案内ながら「鏡の国」という童話的な世界もおもしろい。と評価した上で、満たされ感のある「お腹いつぱい運ぶ蜜蜂」で初折を結ぼうと思います。

 真美君から、無観客じゃないヨ(楽しく見ているから、ガンバッテ)と応援してくれている人がいると聞きました。ありがとうございます。

 

山房の海紅 2020/03/10-11:58 No.[2741]---------------------------------------


お腹いっぱいの蜂にメルヘン的な匂いをかぎつけ、また「糸遊」「鏡の国」という詞を放置するのはもったいないので、名残りの折を、真美君の世界で始め、現実に引き戻される展開にします。引き続き、真美君には雑の句を二句お願いします。もちろん、時間のあるときでかまいません。

 糸遊を鏡の国を戻り来し       海紅
まだウィルスの去らぬ惑星      同

 

かじわら まみ 2020/03/10-13:38 No.[2742]---------------------------------------


こんなに採用していただきありがとうございます。結局折立も折端ももらってしまった…。ファンタジーみたいな世界観ですね。

2句いっぺんに出すのは気が引けるので、引き続き先生にマシなものを選んでいただきたいです。思い付いたら出しますので、よろしくお願いします。

 

山房の海紅 2020/03/10-18:07 No.[2743]---------------------------------------


『連句辞典』(東京堂出版 昭61.6)のはしがきに明雅先生が書いているけれど、この仕事は59年1月に動き出したのだが、その年の8月には湯河原に合宿して、明雅先生の捌きで歌仙を巻いた。先生は実作経験が編集作業に有益と考えたように書いているが、実際は、ただ編集のメンバーで歌仙を巻きたかったのだと思う。首尾は終始なごやかで、去嫌とか、七名八体とか、自他がどうこうとかいう会話は一度も出なかった。文学はまず愉しむものであるという、活字の世界からはうかがえない空気を、みんな承知していたからだと思う。作は『季刊 連句』第7号(昭和59.12.1)に掲載されているが、懐旧からオモテ6句をあげてみる。

  「山荘の湯を」歌仙
山荘の湯をまづ浴びて残暑尚 健治
月を育むごとき夕風     海紅
蜻蜒舞ひ遊ぶ子供の影もなし 文人
浜より帰る舟人の声     真彦
焼鳥につぎし熱燗舌を焼き  徒司
重ね着の上頬被りして    明雅
以下略

 

かじわら まみ 2020/03/10-20:20 No.[2744]---------------------------------------


文学―連句も俳句も、まずは理屈抜きで愉しまなきゃソンですね。「以下略」にどんな世界が潜んでいるのか気になります。

浅草の射的の品はメロンパン
逸品の大浮世絵展にぎやかに
目的は有休消化旅に出る

実座では「早く付けを出さなきゃ」と焦りますが、間が空いても先生がお相手なのですっかり安心しきりの私です。

 

山房の海紅 2020/03/10-21:24 No.[2745]---------------------------------------


三句とも、一句としてはおもしろい。でも、前句の意図をはかれていない。「ウィルスの去らぬ惑星」とあれば、病体でうけるしかないのではなかろうか。そこで、「目的は有休消化旅に出る」を活かし、「予後に得し有給休暇旅にあり」としていただきます。はやくこんな時期が来ることを祈りつつ。

 連句のプロもなかなか納得してくれないのですが、連句は七割かたが捌き(指揮者)のものです。この両吟の場合のコンダクターはボクです。よって、この歌仙の批判はすべて指揮者のボクが負います。そうしてでも、連句の知的な魅力や面白さを知ってほしいというのがボクの願いです。

 

山房の海紅 2020/03/10-21:30 No.[2746]---------------------------------------


次も雑で、前句の熱量をくむと、旅先に
得たる至福などがありがたい。付けをノンビリ学んでください。

 

かじわら まみ 2020/03/10-22:07 No.[2747]---------------------------------------


一直ありがとうございます。病体でうけるところまで頭が回らずごめんなさい。もっとよく指揮を見ますね。お言葉に甘えて、ゆっくりでも成長できるようにがんばります。

次の付句ですが、「旅先に得たる至福」をヒントに考えてみます。明日出しますので、しばしお待ちくださいませ。

 

yumi 2020/03/11-03:16 No.[2748]---------------------------------------


佳境のところ、お邪魔いたします。

19句目 糸遊を鏡の国を戻り来し

の意味がとりづらいのですが……。
真美ちゃんの句そのままに

糸遊の鏡の国を迷ひたり

とかだったら、私でも分かりやすいと思うのですが。

 

かじわら まみ 2020/03/11-06:52 No.[2749]---------------------------------------


おはようございます。お待たせしました。

フランボワーズのケーキ注文
ゆるキャラの絵のマンホール撮る
地酒求めて巡るコンビニ

きっと皆さんにも連句の魅力が伝わっていると思います。そろそろ冬ですね。

 

かじわら まみ 2020/03/11-06:55 No.[2750]---------------------------------------


由美さん、ご無沙汰しております。書きこみありがとうございます。

19句目ですが、私は見たまま「糸遊と鏡の国から戻って来たよ」と理解しました。先生、間違っていたらすみません。

 

山房の海紅 2020/03/11-10:24 No.[2751]---------------------------------------


ほかならぬ由美さんの疑問ゆえ、回答します。

 百人一首に「寂しさに宿を立ち出でて眺むればいづこも同じ秋の夕暮れ」(良暹・後拾遺集・秋)という名歌があるでしょ。この「宿を」の「を」と同じ用法のつもりです。動作の出発点を示す格助詞です。〈糸遊を脱けだして現実に戻った〉〈鏡の国(おとぎの国)を脱けだして現実に戻った〉というつもりでした。わかりにくい日本語でスミマセン。なお、和歌は〈さびしさに耐えきれず、家を出てあたりを眺めると、どこもかしこも同じくさびしい秋の夕暮れだった〉という意。

 

山房の海紅 2020/03/11-10:49 No.[2752]---------------------------------------


地酒をコンビニでさがすのは主義じゃないから、ケーキかゆるキャラか。ボクの旅とはだいぶん違うところが新鮮。
今までにない素材ということで「ゆるキャラの絵のマンホール撮る」をいただきましょう。

 

かじわら まみ 2020/03/11-13:13 No.[2753]---------------------------------------


糸遊の付句、私もわかっているようでわかっていなくて申し訳ないです。ご説明ありがとうございます。

また、ご治定ありがとうございます。近年の夏休み旅行の楽しみは新幹線と発車メロディと郷土料理なのですが、もう出ている素材なので使えませんでした。ご当地のコンビニで限定の食べ物を買ったり、マンホールや地方新聞を見るのも好きです。

たくさんしゃべったので、ここで先生に交代します。

 

山房の海紅 2020/03/11-14:56 No.[2754]---------------------------------------


黒塀に沿ひ掘り割りも水仙も     海紅
猫驚かす電線の雪          同

冬の長句と短句をこれで済ませます。
マンホールの場所を定め、その町の景をあしらってみました。次は恋を出してもらいましょうか。一句ずつでも、二句一度に挑戦するのでもよいと思います。

 

山房の海紅 2020/03/11-15:00 No.[2755]---------------------------------------


意地悪く読めば、旅を引きずっているようだが、以後の展開を楽にするための工夫と善意にとってください。

 

山房の海紅 2020/03/11-15:09 No.[2756]---------------------------------------


チョト待てよ。恋でもいいが、打越を楽に離れるためには、雑を一句はさむ方がよいね。雑をお願いして、恋の二句を、真美→海紅の順で遊んでみようか。

 

かじわら まみ 2020/03/11-20:47 No.[2757]---------------------------------------


雑を挟んでの恋句、かしこまりました。やっと恋で遊べる。

素敵な冬の光景に何が似合うのか、むずかしいです。考えるお時間をください。

 

山房の海紅 2020/03/11-21:30 No.[2758]---------------------------------------


いくら時間をかけていただいてかまいません。

 

yumi 2020/03/12-02:46 No.[2759]---------------------------------------


御回答ありがとうございました。
鏡の国は場所で、糸遊は現象で、しかも、鏡の国と糸遊は、普段はあまり結びつかないから、詩的表現と受け取る前にン?と分からなくなっていました。

真美ちゃんが未来を拓くようにキラキラしていて、恋が楽しみです。

 

かじわら まみ 2020/03/12-07:37 No.[2760]---------------------------------------


ケロリンの桶懐かしき銭湯屋
検問は13日の金曜日
逃げ込んで3.11の公民館

「驚かす」を手がかりに作りました。雪は映えている?恋は生まれそう?―お時間を頂戴したにもかかわらず、不出来で申し訳ないのですが、ふさわしいものを選んでいただけないでしょうか。

p.s 由美さん、照れくさいメッセージありがとうございます。恋の行方を一緒に見届けましょう。

 

松江 2020/03/12-11:10 No.[2761]---------------------------------------


まみ さん

 2台のためのソナタ一聴しました!
良い情報を得て喜んでいます。

 連句のこと、分かりやすく、楽しく海紅先生が説いて
下さるのが有難いです。
まみさん、おかげ様です。

 

山房の海紅 2020/03/12-11:33 No.[2762]---------------------------------------


断捨離の日々は、数十年前の書棚の本に紛れていた紙切れがふと飛び出したりする。薄っぺらでも、内容はダイヤモンドのようで、読み始めるとしばらくコノ世に戻ることを忘れている。それで付句のことは忘れていた。

 さて、「銭湯屋」の「屋」は不自然。「検問」は唐突で怖い。九年目を迎えた昨日を、見ぬ振りして通り過ぎなくないので「3.11」をいただこうか。前句ともよく響く。

 「3.11」を引きずって、真美君からどんな恋が飛び出すやら、愉しみだ。

 

かじわら まみ 2020/03/12-13:37 No.[2763]---------------------------------------


今朝は通勤路線が人身事故で、駅に足止めされた時間で恋の句を作っていたのですが、採っていただけたのはまさかの「3.11」の付句でびっくり…恋は白紙になりました。仕切り直したいので、もうしばらく先生は断捨離を続けていただいて大丈夫ですよ。

p.s 松江さん、書き込みありがとうございます。ソナタを聴いてくださったなんて嬉しいです!私も先生の解説に勉強させてもらっている身です。全部先生のおかげさまですよー。

 

かじわら まみ 2020/03/13-06:48 No.[2764]---------------------------------------


おはようございます。「3.11」にそぐわず―先生のご期待に応えられずごめんなさい。その代わり、いろんな恋を作りました。

手が届かない恋に恋する
君の恋文返事せぬまゝ
比翼連理を誓ふ睦言
私どうして天邪鬼なの
好みのタイプあなたなんです

少しでも想像が広がりますように。それでは先生よろしくお願いします。

 

山房の海紅 2020/03/13-11:46 No.[2765]---------------------------------------


付句に誤答はない。すべて正解です。ここは恋という前提で思案してもらったので、「私どうして天邪鬼なの」以外は正解です。「天邪鬼」を採用して、次の句で恋を深めてもよい。これが原点です。

 ちなみに「逃げ込んで~」をいただいて、ボクがすぐに思い浮かべた恋は、天和の大火で逃げ込んだ寺の小姓(雑用係の少年)に惚れて、再会の方法として放火を選び(ボヤ)、鈴ヶ森で火刑となった八百屋お七。こんなふうに俳諧は自由なのです。

 自由だから、最初の「手が届かない恋に恋する」をいただきます。しかし、手の届かない恋はすぐれた和歌が山ほどあります。その和歌の優美(ロマンティシズム)を超えて、俗を美しく描くのが俳諧(リアリズム)の恋です。大胆に遊んでください。

 

山房の海紅 2020/03/13-11:55 No.[2766]---------------------------------------


あれ、待てよ。No.2756で、恋の二句を真美→海紅の順で分け合うかと提案したんだった。どうしようか。真美君の恋句を待っている人もいるようだし、もう一句いきますか。それともボクにふりますか。決めてエエヨ。

 

かじわら まみ 2020/03/13-13:43 No.[2767]---------------------------------------


お疲れさまです。今日は時間がなくて先生のコメントをよく拝見できていないのですが、次の恋句は海紅さんのが見たい!夜になったらじっくり見ますね。

 

かじわら まみ 2020/03/13-18:50 No.[2768]---------------------------------------


「何かまずいことしたかな…」と思いつつ付句を出してますが、「誤答はない」と言っていただけてちょっと心が軽くなりました。

八百屋お七は大学の授業で触れましたが、発想の中にありませんでした。素直に作った付句を採っていただきありがとうございます。

 

かじわら まみ 2020/03/13-18:56 No.[2769]---------------------------------------


大胆な恋を描くのは好きですが、私は大胆な恋に遊ぶ先生を見たい。
仮にそれがダメだとして、次も私が出して、先生が最後の恋を付けてくださる―恋が3句になってもいいのなら、お引き受けしてもよいのですが…。

既に2句出しているので、そろそろ休みたいかな。
改めて、お言葉に甘えて次の恋を先生にふりたいです(←おねだり)。生意気なことを言ってすみません。

 

山房の海紅 2020/03/14-14:39 No.[2770]---------------------------------------


なにやら難しい注文ゆえ思案に困るが、あまり間があいてもつまらんので、どこかの青春小説を面影に、

  火を飛んで来たる腕(かひな)に抱かれし
いつまで続くトタン打つ雨

という展開で恋を終えましょう。真美君に、秋月(定座、長句)と折端(秋)をお願いして、名残りのオモテを閉じましょう。一句ずつでも、二句一緒でもかまいません。

 

かじわら まみ 2020/03/14-15:16 No.[2771]---------------------------------------


先生、胸がキュンとする恋に仕上げてくださりありがとうございます。前句と合わさると切なく、お七のイメージも織り込まれていて、ときめきました。

月の定座を2回もいただいて恐縮です。匂いの花は先生にお願いしますね。1句ずつ出したいです。

 

かじわら まみ 2020/03/14-21:04 No.[2772]---------------------------------------


満月のモン・サン・ミシェル思ひ出に
秘境めく吊り橋照らす後の月
十三夜サナトリウムの静けさに

「雨なのに月が見えるの?」とツッコまれるのを覚悟のうえで挑戦します。一直よろしくお願いします。

 

山房の海紅 2020/03/15-11:05 No.[2773]---------------------------------------


三つ目の月としては「モン・サン・ミシェル」が新しい景色。一方で「雨なのに月が見えるの?」とツッコまれるのも確か。よって、前句「トタン打つ雨」に応じるために一工夫しましょうか。カトリックの聖地だから、朝方に奇跡ともいうべき有明月が出ているという小品。これでいきましょう。

  朝月夜モン・サン・ミシェルに啓示あり

 

かじわら まみ 2020/03/15-13:23 No.[2774]---------------------------------------


神がかった奇跡の光景に直していただきありがとうございます。「朝月夜」は初めて知りました。

祝勝会で新酒解禁
母の特製生姜湯を飲む
塩をよく振りつまむ枝豆
星形が好き桔梗育てる

「啓示」から連想しましたが、こんな付句で名残の表を閉じられるのか自信がないです。

 

山房の海紅 2020/03/15-14:46 No.[2775]---------------------------------------


前句の朝、外国、啓示の三者にゆるやかにしばられて、新しい世界に抜け出してナオを終わりたい。「母の特製生姜湯を飲む」を少しいじります。お許しください。

  生姜湯飲めば戻る体力

 これで、旅先とも、帰国後とも読める。啓示ともうっすらつながると思うのだが。なお、生姜湯を秋季とすることにためらいがあるが、おおらかにいきましょう。

 

山房の海紅 2020/03/15-15:23 No.[2776]---------------------------------------


いよいよ名残りのウラですね。次のように始めさせてください。
残る蚊の覗いてゐたる硝子窓
母と姉とでお迎へに来る

 これに雑の句を二つ続けてください。名残の花をボクがいただくとして、挙句はどちらにするか、その時に考えましょう。

 

かじわら まみ 2020/03/15-16:34 No.[2777]---------------------------------------


何度も修正していただきお手数をおかけしています。生姜湯が天の恵みのようでいいですね。

よくよく十七季を見たら生姜が秋で、生姜湯は冬の季語でした。やらかしてしまいすみません。
悔し恥ずかしで全然気が収まらないので、しばらく次の長句を考えるお時間をください。挙句は先生に付けていただくか、2人の案を折衷したいです。

 

山房の海紅 2020/03/15-17:11 No.[2778]---------------------------------------


「生姜かじれば」に直します。虚実相半ばする遊びですから問題ありません。

 

かじわら まみ 2020/03/15-18:40 No.[2779]---------------------------------------


秋の句に仕立てていただきありがとうございます。飲むより「かじる」ほうが体力が戻る気がします。

おかげさまで何とか立ち直れそうです。

 

かじわら まみ 2020/03/16-06:52 No.[2780]---------------------------------------


おはようございます。お時間をいただきありがとうございました。まずは長句から、よろしくお願いします。

サックスの即興演奏サービスで
カラオケのコツはこぶしと鼻濁音
初任給万年筆はパーカーで
ドラえもんどんな未来か教えてよ

 

山房の海紅 2020/03/16-12:32 No.[2781]---------------------------------------


ドラエモンだね。キティでもムーミンでもよいけれど、ドラエモンはドアを開けられるからね。次もよろしく。

 

かじわら まみ 2020/03/16-12:34 No.[2782]---------------------------------------


ドラえもんが選ばれているのを見て思わず「マジか!」と口に出してしまいました(笑)ご治定ありがとうございます。

そろそろお昼休みが終わりなので、夜になったらどこでもドアを開けて短句を考えますね。

 

かじわら まみ 2020/03/16-23:06 No.[2783]---------------------------------------


オリンピックに期待膨らむ
理想ばかりの平和叶ひぬ
詩歌と暮らす人の増えなん

「未来」にだいぶ引っ張られましたが、いいトスをあげられたかな。どんな花を見られるか楽しみです。でも、2週間しか経っていないのにもう両吟歌仙がフィナーレを迎えようとしているのだと思うとさびしいです。

 

山房の海紅 2020/03/18-14:03 No.[2784]---------------------------------------


昨日は朝日カルチャーで外出。魔の第3週を乗り越えるために、少し頭脳をやすめています。付けは明るい「オリンピック」しかないでしょうね、たとえ延期でも、中止でも。これで参りましょう。

 

山房の海紅 2020/03/18-14:34 No.[2785]---------------------------------------


美しき日本語話す花の客

 前句の、オリンピックへの明るい期待を損なわないように、名残の花はこれでいきます。挙句は若々しい真美君に若々しいヒントをいただいてから、合作しましょうか。

 

かじわら まみ 2020/03/18-19:31 No.[2786]---------------------------------------


ご治定ありがとうございます。

合作たのしみ!ですが若々しいヒントだなんてハードルが高いです…挙句は明るくて穏やかな雰囲気がいいですよね。これから作るので、先生は頭をやすめていて大丈夫ですよー。

 

山房の海紅 2020/03/18-20:14 No.[2787]---------------------------------------


二人の付合から連句の面白みを学びたいという観客(芭蕉会議に仲間)もいるはずなので、楽屋を暴露すると、「美しい日本語を話す人」のモデルはドナルド・キーンさん。新しいことは殆んど言っていないけれど、こんなに日本文学や日本文化を愛してくれたアメリカ人はいない。つまり、ボクの花の句にはわざと「外国人」ということばは使っていので、挙句は「外国人」を含んだ世界であってほしい。これがボクの希望です。

 

山房の海紅 2020/03/18-20:17 No.[2788]---------------------------------------


ボクの希望はこれだけだから、あとは真美君に任せます。何が出て来ても合作と言えるでしょう。

 

かじわら まみ 2020/03/18-21:19 No.[2789]---------------------------------------


「外国人」を含んだ世界というリクエストをいただき、ますますハードルが上がりました…どうしよう。
頭をフル回転させてがんばるので、明日のお昼までお時間をいただけないでしょうか。よろしくお願いします。

 

山房の海紅 2020/03/18-23:32 No.[2790]---------------------------------------


明日の日中は机の前にいる時間がありません。ですから、のんびり肩の力を抜いて、そそくさと駆け抜けようとする今年の晩春を切りとってください。

   満尾を前にして
両吟といふ贅沢な春深む  海紅

 

かじわら まみ 2020/03/19-08:17 No.[2791]---------------------------------------


おはようございます。付句はできていますが、お言葉に甘えてもう少しのんびりさせてください。

p.s 朝からすごく嬉しくなって、以下おまけです。

両吟といふ贅沢な春深む   海紅
スイートピーを旅のお礼に 真美

ここを覗けるのはお昼と真夜中になりそうなので、できれば満尾は明日がいいな…なんて(←最後のわがままです)。

 

かじわら まみ 2020/03/19-12:29 No.[2792]---------------------------------------


お待たせしました。泣いても笑っても最後なので、思う存分考えました。晩春より三春が多くてすみません。自分で言うのは気が引けますが、若々しいヒントのつもりです。

お手紙届くのどらかな午後
ベルの響いてマルシェ麗らか
かざぐるま振り交はす挨拶
海峡越えて遠きふうせん(←以上2句とも「風」が使えないのでひらがな表記にしています)
空を仰げば架かる初虹
クローバー摘みずつとご機嫌

先生の希望を叶えられたかな。あとは先生のお好きなように締めくくってくださいませ。

 

山房の海紅 2020/03/19-20:24 No.[2793]---------------------------------------


前句(名残りの花)に「外国人」という言葉は使っていないが、その意を汲んで挙句を案じてほしいと書いてしまったので、「空を仰げば架かる初虹」を少し加工して「帰化をかなへて仰ぐ初虹」とさせてください。
ネット連句という難しい座にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。

 

かじわら まみ 2020/03/19-23:34 No.[2794]---------------------------------------


To:谷地先生

 満尾おめでとうございます。
先生、お捌きお疲れさまでした。終始こちらのペースに合わせていただき、またわがままを聞いていただいてお詫びと感謝の言葉しかないです。連句にまつわるお話や付句を選ぶときのことなど、初めて知ることばかりで、日々お勉強でした。

 1ヵ月ぐらいかかるかと思ったら2週間ほどで完成してしまい、実感がわかないです。愉しくてしあわせな道中をありがとうございました。最初で最後と言わずまた連句を巻きましょうね。
夢見心地なので続きは明日書き込ませてください。

 

かじわら まみ 2020/03/19-23:43 No.[2795]---------------------------------------


To:ギャラリーの皆様

 両吟歌仙を温かく見守ってくださりありがとうございました。
連句の裏側はこんな感じです。付句を考えているときも、ずっと雑談ばかりです。決して堅苦しいものではなく、こんなふうに緩やかで気楽な、それでいてちょっぴり知的な連想ゲームです。
この両吟歌仙を通して少しでも連句のハードル―「むずかしそう」「ルールが厳しそう」「連想できない」「完成まで長い」といった暗いイメージ―を取り除けたなら幸いです。
皆さんに連句の面白さや魅力・愉しさが届いていればいいなぁ。

 今度はぜひ「連句なんてこわくない」の第2回で、半歌仙でも歌仙でもやりましょう!4時間あれば満尾に到達できますよ。

 

yumi 2020/03/20-03:34 No.[2796]---------------------------------------


満尾おめでとうございます。
師弟の深い思い(祖父と仲のいい孫みたいないいムード……失礼)が伝わってきました。
先生に応えていく真美ちゃんが立派!尊敬です。

ここで、いきなり初級の私レベルに戻って、いくつかお聞きしてもよろしいですか。

① No.2714で「恋が三句になりましたが、お許しいただきましょう。」とありますが、『十七季』には恋は2~5句とありますから全くOKだと思うのですが(恋の呼出しと恋離れをいれても5句におさまります)。今までも恋を2句で終えることがしばしばあって、どうしてなのかなと思っておりました。ふつうは恋は2句と思っていた方がいいのですか。

② 今回、他季の月を覚えました(「夏の霜」って「夏の月」のことなんですね)。3回のうち2回を他季の月にしてもかまわないですか。

③ 季の句は1巻にどれくらい入れるものなのでしょう。例えば今の時期、冬の句は1巻に1句あればOKですか。2句あった方がいいですか。それとも3句?(入れろと言われて、すぐ入れば苦労しないが)

 

sinobuko 2020/03/20-09:31 No.[2797]---------------------------------------


満尾おめでとうございます。

親切な説明が分かりやすくて勉強になりました。
和やかな連句講座ですね。
終わってガッカリしている人のために…
海紅・真美の両吟第2回をお願いしたいです。

 

かじわら まみ 2020/03/20-11:08 No.[2798]---------------------------------------


To:由美さん

メッセージありがとうございます。がむしゃらに遊んでいたらいつの間にか満尾しました。私も初心者なので、由美さんと同じ質問をしたいです。

To:しのぶこさん

ずっとそばで見ていてくださり、また書き込みありがとうございます。今度は「偲子」さんとして連句の輪に加わってくださいね。

 

かじわら まみ 2020/03/20-11:19 No.[2799]---------------------------------------


時間を置いて読み返しましたが、校合はしなくて大丈夫かと思います。何かありましたらご修正願います(エチュードの割に質が良いなと自負しております)。

 そういえば俳号を見つけるのを忘れていて、結局見つけられなかったのが心残りです(←そんな展開が見当たらないです)。

 むすびに、海紅さんの付句で心惹かれたものやお気に入りの付けをご紹介させていただきます。

木に語るだけ語らせて春の風 紅
イヤホン外す囀りの町   美

とんとん進む栗鼠の縁談  紅
潮騒の巣穴に五年添ひ遂げし 同
夫婦は二世といふを信じて 同

お腹いつぱい運ぶ蜜蜂 美
糸遊を鏡の国を戻り来し 紅

手が届かない恋に恋する   美
火を飛んで来たる腕に抱かれし 紅
いつまで続くトタン打つ雨  同

母と姉とでお迎へに来る    紅
ドラえもんどんな未来か教えてよ 美

 むだにしゃべりすぎてごめんなさい。またのご一座を楽しみにしております。

 

eiko yachimoto 2020/03/20-11:47 No.[2800]---------------------------------------

「海紅さん」真美さん、満尾おめでとうございます。

曰く、対話は互いが本質において対等でなければ成り立たない、そうでないと対話のつもりが説諭、説得、講釈になっていくーー
と最近読みました。

お二人は真の両吟でありました。Bravo!

真美さんのリストに加え、この付けも秀逸と存じます:

 火を飛んで来たる腕に抱かれし    海紅
いつまで続くトタン打つ雨      同
朝月夜モン・サン・ミシェルに啓示あり 真美

座を追う楽しい日々をありがとうございました。

瑛子

 

山房の海紅 2020/03/20-11:56 No.[2801]---------------------------------------


この両吟を無駄にしないために、またyumiさんのお尋ねに誠実に答えるために、さらにいえば芭蕉会議をもっとおもしろくするために、まず〈場所は何処でも、どんな句でも、句数がいくつでもかまわない。規則が先にあるわけではない〉ということを書き残しておきます。

 唐突ですが、『マクベス』冒頭は〈きれいは汚い、汚いはきれい〉という魔女たちの台詞で始まります。異なる翻訳もあるようですが、いずれもシェイクスピアの根源的な世界観(人間観)という点で大差ない。わたしはこの影響をうけています。

 もうひとつ、蕪村の「馬提灯画賛」に記す賛(文章)を翻訳して紹介します。〈師走のある日、太祇と蕪村はある人の家で俳諧をして深更に帰途につく。暗いし、雨風が激しいので、着物の裾を尻までまくり上げて走って帰る。すると、途中で強風のために小提灯の火が消えてしまった。蕪村はビックリ仰天して「こういうときは馬提灯がいいな、ひごろから心掛けておこう」といった。それに聞いて太祇は「バカをいうな。この世で何がよいかなど、何ひとつわかるもんか」〉と反論した。世の中、理屈じゃないよという箴言(教訓)である。ちなみに馬提灯とは提灯に笠がつき、長い柄のある馬上用の提灯で、雨風に強いもの。わたしはこの影響をうけています。

 (この続きは、また時間のあるときに)

 

山房の海紅 2020/03/20-12:11 No.[2802]---------------------------------------


にぎやかで嬉しや!
と思ったら、大方は本日お休みなのか!

曜日の観念を失いつつある、引き籠もり万歳! 

 

かじわら まみ 2020/03/20-13:38 No.[2803]---------------------------------------


瑛子さん、褒めてくださりありがとうございます。しっかり対話できたと思います。

蕪村のエピソード面白かったです(←ハイテンションな先生が翻訳してくれたから?)。太祇は達観している人ですね。なぜか星の王子様を思い出しました。3連休なので、早く続き読みたいなー。

 

satoko 2020/03/21-01:23 No.[2804]---------------------------------------


満尾おめでとうございます。

引き籠もりの日々、楽しみに拝見させていただきました。

真美ちゃんがいろんな言葉で表現し、先生がアレンジする・・・
おふたりで紡ぎ出す・・・まるで中島みゆきの「糸」のフレーズのようでした。

先生、真美ちゃん、楽しい日々をありがとうございました。

 

かじわら まみ 2020/03/21-09:30 No.[2805]---------------------------------------


智子さん、最後までご覧いただき、またコメントありがとうございます。私も引き籠もり生活を楽しんでいます。

中島みゆきの「糸」を例に褒めていただき嬉し恥ずかしで恐縮です。こちらこそこのような機会を設けていただきありがとうございました。

 

粒 2020/03/21-16:00 No.[2806]---------------------------------------


ちょっぴりも知的貯えなしの、全身スカスカの老女にも愉しさは骨に沁みました。今後は続々とエチュードが出て来るのを楽しみに学ばせていただきます。
2台のピアノを聴いたせいか、「木に語るだけ」歌仙で、お二人の距離感から醸し出される演奏に、特等席で
酔いしれました。

 

かじわら まみ 2020/03/21-16:58 No.[2807]---------------------------------------


香粒さん、書き込みありがとうございます。
また新たなエチュードが出てくることを期待して、引き続き皆さんと一緒に勉強させていただこうと思っています。

香粒さんを酔わせるほどの二重奏ができてよかったです。

 

山房の海紅 2020/03/22-12:47 No.[2808]---------------------------------------


①の質問の答える

Q:No.2714で「恋が三句になりましたが、お許しいただきましょう」とありますが、
A:恋という主題は和歌題の歴史上、とても大切に扱われています。それで、俳諧でも月花の定座に継ぐ扱いをしています。でも、月花の定座や四季の変化とのバランスを考慮して二句で終わらせる傾向にあるというだけです。捌きに従えばよいのです。

Q:『十七季』には恋は2~5句とありますから全くOKだと思うのですが(恋の呼出しと恋離れをいれても5句におさまります)。
A:連句を始めると、誰もが『十七季』という歳時記を持たされる時代になりました。私はこれを困った事態と考えています。そもそも「十七季」という日本語がいけません(この問題は機会を改めて解説します)。「恋は2~5句」とはどんな解説書にも書かれています。さらに、三句去り、各折(初オを除くが、発句はOK)に一、二箇所というのが伝統を踏まえた指導です。しかし、全36句の歌仙で、こんな贅沢はできません。また、花の句の前に恋が出る例外もあります。それは座の勢いによるのです。規則を守ることに懸命で、この勢いがなければ、活き活きと人生を切りとる作品は生まれません。

Q:ふつうは恋は2句と思っていた方がいいのですか
A:俳諧に先行する和歌では、恋心が芽生えて、結ばれて、別れるという展開をしますので、とても二句では収まりません。これが恋のふつう(普通)です。すぐれた恋句が出て、二句で収まらない、もったいないという判断は指揮者の仕事です。捌きに任せることです。芭蕉は一句で捨ててもよいと言っていますが、それは恋の出来映えと、前後の調和の問題です。そうした判断ができない指揮者のもとで、規則ずくめの連句をするのは苦痛です。おすすめできません。仮に恋の発句で始まり、すぐれた展開になるのであれば、挙句まで恋を続けてもよいのです。恋歌仙というのがあっていけない理由はないのです。

 

山房の海紅 2020/03/22-17:40 No.[2809]---------------------------------------


②の質問に答える
Q:今回、他季の月を覚えました。
A:月見とか名月ということばがあることでわかりますが、その美しさを賞美する(褒め称える)のは秋だけというのが日本文化です。でも月は四季を通じてあるわけですから、秋以外(春・夏・冬)の月を他季の月と呼んでいます。前句が春・夏・冬の時は自然と前句の季節の月が付けられます。でも、これらは賞美の月ではありません。賞美でないとすれば、どのような月なのか。例歌を一首ずつ出して説明しておきましょう。

 

山房の海紅 2020/03/22-17:41 No.[2810]---------------------------------------


【春の月】「おぼろ」で「艶なるもの」がキーワード。和歌は「梅が香に昔を問へば春の月答へぬ影ぞ袖にうつれる」(家隆・新古今・春上)をあげておきます。歌意は〈梅の香りに刺激されて、懐かしい昔を春の月に問いただしてみた。月は何も答えてくれない。ただ、おぼろな光が私の涙に濡れた袖に映るだけ〉って感じかな。
【夏の月】昼間の炎暑と対照的な「涼しさ」がキーワード。和歌は「重ねても涼しかりけり夏衣うすき袂に宿る月影」(良経・新古今・夏)でどうでしょうか。歌意は〈夏衣の薄い袖に宿る月の光は、重ね着しても涼しいヨ〉ってところか。
【冬の月】「清澄」「冷寒」「荒涼」がキーワード。例歌として「大空の月の光し清ければ影見し水ぞまづこほりける」(不知・古今・冬)をあげてみます。歌意は〈この池は寒月の澄みきった光を一晩中宿しいたので、その水が真っ先に凍ってしまった〉となりましょうか。

 

山房の海紅 2020/03/22-17:41 No.[2811]---------------------------------------


Q:「夏の霜」って「夏の月」のことなんですね。
A:「夏の月」を「夏の霜」に見立てたというのが正確。季題(季語)として使うのはいかがなものかというのが私見です。この見立ての出所は漢詩です。白楽天の「江楼夕望、客を招く」という詩があります。友だちに〈ぼくのところに、避暑においでよ〉という内容です。そこに「風は古木を吹く 晴天の雨/月は平沙を照らす 夏の夜の霜」という一節があります。日本の文化人がこれを真似たのです。「夏の霜」というだけで「夏の月」とするのは、知識のひけらかしで、無理があると思っています。

Q:(月の定座)3回のうち2回を他季の月にしてもかまわないですか。
A:月は賞美の対象ですから、あくまで秋の月が基本。三箇所とも秋でかまわない。でも初折オモテ、名残ウラの定座二つが固定化しているのに対し、初折ウラは定座とまでは固まっていない。それで、他季の月を配置するなら、この初折ウラが穏やかかな、なんて考えてきた節がある。でもその実態は定座に「春の月」「冬の月」「恋と月」「月と花」などさまざまです。要するに、定座と言えども、内容や展開によるのです。鋳型にはめ込めば立派な連句というわけではない。

③の質問に答える
Q:季の句は1巻にどれくらい入れるものなのでしょう。例えば今の時期、冬の句は1巻に1句あればOKですか。2句あった方がいいですか。それとも3句?(入れろと言われて、すぐ入れば苦労しないが)
A:発句が当季で始まりますので、その後は自在でよいはずです。その自在を助けるために雑の句がありますね。理論上は、雑の句の展開がおもしろければ、無季のものばかり続いてもかまわないのです。

【附記】以上回答しました。今回、ネットがはらむ問題をはじめ、いろいろ悩ましい事柄があることがわかってきました。それは、少し時間をおいて整理したいと思います。初心の人々に、規則に詳しくなければ連句はできないと逃げ出されるのは本意ではないからです。TVで笑点が始まっていますので、とりあえずこの辺で失敬します。

 

山房の海紅 2020/03/23-12:27 No.[2812]---------------------------------------


1)真美君からNo.[2811]---------------------------------------で、「初折オモテ、名残ウラの定座二つが固定化しているのに対し、初折ウラは定座とまでは固まっていない」と書いているが、正しくは「初折オモテ、名残オモテの定座二つが固定」ではないかという指摘あり。指摘通り「名残オモテ」が正しいのでおわびして訂正します(PC入力はむずかしい)。

2)その他、「名残りウラでも恋を見たことがない」という質問がありました。何もみてそう判断しているかわかりませんが、少ないが「ある」と回答します。

3)名残りウラ「恋」が許されるなら、そこに「神祇釈教無常」もOKか、というお尋ねがありました。もちろんOKです。ただ古典俳諧を踏まえていますので、他言は無用に願います。もめごと、イサカイが苦手ですので。

 「和歌優美、俳諧自由」といいます。和歌の優美を超えようとする努力であれば、すべて自由なのです。そうしなければ、また正岡子規に旧派と見下されてしまいます。

 

山房の海紅 2020/03/23-13:07 No.[2813]---------------------------------------


No.[2682]---------------------------------------で真美君が〈笑いのたえない道中になりますように〉と書いていたが、そうした内容になったどうか。更にNo.[2795]---------------------------------------で、〈今度はぜひ「連句なんてこわくない」の第2回で、半歌仙でも歌仙でもやりましょう〉とも書いていたが、確かにこれを第2回の教材にするのはアリだとは思う。ただし、半歌仙や一巻を巻くのはチト早いかも。

 反省は、予期せぬことながら、一直」(No.2693、2747)、「折立」(No.2701)、「三秋」(No.2701)、「恋離れ」(No.2716)、「治定」(No.2723)、「実座」(No.2745)、「病体(No.2747)などという特殊なことばが飛び交ってしまったこと。こういう話題はまだ芭蕉会議にはなじまない。それ以前に、前句の心を汲むという大切な遊びがある。それを忘れないようにしようと思う。

No.[2800]---------------------------------------に〈対話は互いが本質において対等でなければ成り立たない、そうでないと対話のつもりが説諭、説得、講釈になっていく〉という教訓が出た。その上で〈お二人は真の両吟でありました。Bravo〉とも。これを救いとして、地に足のついた歩みをして行こうと思う。

 

eiko yachimoto 2020/03/23-16:52 No.[2814]---------------------------------------


先生、どこで読んだのかが今わかりました。横須賀三笠教会の教会たより3月号でした。曰く、対話は結論が決まっていてそこに向かって調整することでも、議論で勝ち負けを決めることでもありません。キャッチボールであってドッジボールではありません。何度も互いが話しているうちに新しい視野が開け、何かが生まれるものですー

その息遣いがある素晴らしい両吟でした。

先生、芭蕉会議の中に連句はしっかり根付いていきます!

瑛子

 

 

かじわら まみ 2020/03/23-23:31 No.[2815]---------------------------------------


先生、つまらない質問にお答えいただきありがとうございます。由美さんに対するご回答とあわせて、もっと連句が好きになりました。

 にこにこしながら私は愉しみましたが、先生やギャラリーの方々はそうでもなかったのでしょうか…。
たとえそうだとしても、先は急がず欲張らず、皆さんと連句に親しめる機会を心待ちにしたいと思います。そのときは「前句の心を汲む」ことをいっそう大切にして…。

 末筆ながら、最後まで一緒に遊んでくださった海紅先生、観客として見ていてくださったギャラリーの皆様、本当にありがとうございました。
瑛子さんのお言葉のように、連句を受け入れてもらえる未来がそう遠くないことを祈ります。

 

山房の海紅 2020/03/24-15:02 No.[2816]---------------------------------------


これで、〈「木に語るだけ」両吟歌仙〉を終えて格納していただきます。全130回を超えるコメントは総字数にして約57,000字以上、400字詰原稿用紙にすれば140枚以上のおしゃべりになりました。珍道中の相手である真美君はむろん、E-mail等、他の方法で御意見や御感想をくださった方々を含めて、お礼申し上げます。

 最後に感謝の気持ちをこめて、ひとつの誤解を解くためのミニレクチャーです。

【式目(規則)と懐紙】
あらゆる風雅(芸術一般)がそうであるように、連歌や俳諧(連句)も規則(rule、law)を定めては更新する歴史を歩みます。文学史では鎌倉期の「御成敗式目」などの法令の呼称に倣って式目といいます。式目(規則)を定める目的はすぐれた世界を描く、つまりおもしろくするためです。

 今回の両吟に登場した月花の「定座」や、はからずも俎に載った「実座」「治定」「一直」「折立」「三秋」「病体」「恋離れ」などということばも、こうした規則を守りつつ、全体をおもしろく展開させるための用語です。

 しかし、その規則は「懐紙」という料紙(記録用紙)の物理的制約から生まれています。つまり、今回の両吟でいえば、仮に書道半紙を記録に使うとして、全36句を1枚では書き切れない。1枚のオモテとウラを使っても間に合わない。結果的に、2枚のオモテとウラを用いてようやく全36句を収める。その結果、2枚の両面、つまり舞台芸術でいえば、第1幕から第4幕までを、どのように性格づければ全体が調和するかを工夫するようになってきたのです。

 しかし、現代は何も記録のために、わざわざ半紙のような和紙をつかうことはない。第1幕から第4幕で一巻という形式(format、form)に束縛されることはない。それより、もっと根源的に大切なことは、前句の心を汲んで、新しい世界を開くこと。そのうえで、すでに描かれた世界との類似を避けて、更に新しい世界を継ぎ足してゆくことなのです。

 もちろん、古典的な形式にしばられ、その規則に従う楽しみを追求する人たちがいてもかまいません。それはそれとして、私たちは連歌俳諧のもっと本質的なおもしろさを体験してみよう。「連句なんてこわくない」という企画は、そういう意図で始まりました。今は式目(規則)にしばられて、本質を見失うべきでないと思っています。

 

山房の海紅 2020/03/24-15:28 No.[2817]---------------------------------------


【附記】揚げ足をとられないように、一言付け加えます。「規則は「懐紙」という料紙(記録用紙)の物理的制約から生まれています」と書きましたが、もちろん、これに限りません。百韻ならば100句、歌仙ならば36句という、形式からやむをえず生まれた規則もあります。

 

yumi 2020/03/26-07:39 No.[2818]---------------------------------------


よく分からないまま、ずうずうしく連句に時々参加させていただく私の疑問に、先生が懇切にお答えくださり、本当に有難うございます。

ギャラリーもにこにこ愉しませていただきました。

名残りウラに恋がでてくる例として、白山連句会第十二回興行 歌仙:花の莚の巻(瑛子さんが捌かれています)に、少しだけですが、あるんじゃないかと思います。

ナウ
母からの荷よりちちろの跳びだせり    ちちろ
思はずつまむかき餅の味        由美
測候所雪山の影重なりぬ         瑛子
小型バイクに二人乗りして       草栞
絹鳴りの帯締めくぐる花の門       千年
人に馴れたる雉子と目があふ      海紅

私はここの1句だけ採られていて、そこを出すのも気が引けるのですが。
参考になれば嬉しいです。




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