◆ 2020年 バックナンバー | |
12月 | 手の皺の増えしと思ふ年用意 |
12月 | 光陰をたぐり寄せる手毛糸編む |
11月 | 竹箒の穂先みじかき小六月 |
11月 | 太陽が集まつてゐる大根干し |
10月 | やがて瀧となりゆく水として澄める |
10月 | 稲架解けば病院が見ゆ筑波見ゆ |
9月 | 主なき老眼鏡と虫の音と |
9月 | 巣燕の小さき闇を残し去る |
8月 | 空にゐる人呼ぶ手指盆踊 |
8月 | 海見えてくれば父祖の地夏蜜柑 |
7月 | その日とは違ふ香水かと思ふ |
7月 | 香水や留袖の膝くづすとき |
6月 | 夏帯やもう過去のこと過去の人 |
6月 | 新しき墓を濡らして梅雨に入る |
5月 | 在りし日のままの表札薯莪の花 |
5月 | ねぢ花や娘に第二反抗期 |
4月 | 閉山の果ての閉校花辛夷 |
4月 | 山まるし八十八夜くるころは |
3月 | 虫穴を出るころ教師ふと淋し |
3月 | われに降り墓に降りたり春の雪 |
2月 | 泣きに来て雪解の音に包まれし |
2月 | 風少し吹いて雪間の土匂ふ |
1月 | 寒菊の寄り掛かりゐる庭箒 |
1月 | 昇る日のまづ麦の芽を覗きたる |