わくわく題詠鳩の会兼題解説

◆ 兼題解説 秋・菊 ◆

秋(あき)
芭蕉句 おくられつおくりつはては木曾の秋(あら野)
秋涼し手毎にむけや瓜茄子(あら野)
淋しさや須磨にかちたる浜の秋(俳諧四幅対)
此秋は何で年よる雲に鳥(芭蕉翁追善之日記)
〔本意・形状〕 四季の一つ。俳句では立秋(8月8日ごろ)から~立冬(11月8日)ごろ)の前日までを言う。しかし現在の気象や日常生活では9月、10月、11月を秋としていて、この方が実際的である。
秋は空が高く澄み、木々が紅葉し、穀物を収穫する豊穣の時である。
〔季題の歴史〕 歴史的には秋は万物零落し、枯れ萎む季節で、ものさびしく、哀れなところを本意として詠まれることが多い。
〔類題 傍題〕 白秋、白帝、素秋,高秋、金秋、凛秋、爽節、三秋、九秋
〔例   句〕 夕暮や都の人も秋の顔        千代女
子規庵の秋は寂しや我も老いぬ    高浜虚子
くろがねの秋の風鈴鳴りにけり    飯田蛇笏
秋の航一大円盤の中         中村草田男
菊(きく)
芭蕉句 起きあがる菊ほのか也水のあと(続虚栗)
山中や菊は手折らぬ湯の匂ひ(韻塞)
菊の香や奈良には古き仏達(笈日記)
菊の花咲や石屋の石の間(藤の実)
〔本意・形状〕 奈良時代に中国からの渡来とされ江戸時代に菊合わせなども行われ観賞用に品種改良が盛んとなり多種多様の品種がある。地方により独得の個性的な菊も栽培され、嵯峨菊、伊勢菊、肥後菊、美濃菊等がある、また食用菊も美味である。皇室の紋章も十六弁の菊である。
菊は散ることがないので、枯れてゆくところが情感を深める。
〔季題の歴史〕 『古今集』「心あてに折らばや折らむはつ霜のおきまどはせる白菊の花」凡河内躬恒。以来様々に詠まれている。
〔類題 傍題〕 白菊、黄菊、紅菊、一重菊、八重菊、大菊、中菊、小菊、乱菊、菊畑。
〔例   句〕 有る程の菊なげ入れよ棺の中    夏目漱石
嵯峨菊の暮光も天にのぼりけり   水原秋櫻子
菊咲けり陶淵明の菊咲けり     山口青邨
母が活けし菊に小菊を挿しそへぬ  三橋鷹女
(根本梨花)


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