わくわく題詠鳩の会兼題解説

◆ 兼題解説 萍・父の日 ◆

萍(うきくさ)
〔本意・形状〕 うきくさ科の多年草。夏になると池や沼などに浮かんで扁平な葉を水面一杯に広げ風に漂う姿が印象的である。浮いている草というところから「萍草(うきくさ)」の名があり、別名に「根無草」があるが根はあり、水中に垂れている。夏、白い小花を開くものもあるが実際には分裂して繁殖する。
〔季題の歴史〕 『毛吹草』(正保二)『増山の井』(寛文七)以下に「萍(うきくさ)の花」として五月に所出。「うき草を吹きあつめてや花むしろ 蕪村」
〔類題 傍題〕 萍草の花 浮草の花、浮草 鏡草(かがみぐさ) 根無草 青萍草
〔例   句〕 うきぐさや蝶の力の押へても     千代女
萍草の花からのらんあの雲へ     一茶
萍草や水より明けし利根郡      皆川盤水
萍草を掬ひたる穴すぐふさがる    三橋敏雄
さざなみに絡んでゐたる根無草    今井杏太郎 
父の日(ちちのひ)
〔本意・形状〕 六月の第三日曜日。本来、アメリカの年中行事で、父に対して日頃の苦労をねぎらい感謝をささげる日である。1910年、J・B・ドッド夫人が父の墓に白いバラの花を供えたことを契機に提唱され、アメリカの年中行事となったとされる。日本には第二次大戦後もたらされた。最近漸く母の日と並んで一般化されるようになり、世の父達を喜ばせている。
〔例   句〕 父の日の隠さうべしや古日記     秋本不死男
父の日といふ日がありて子が訪ひ来  安住敦
悲壮なる父の為にもその日あり    相生垣瓜人
戦死せし父にこそあれ父の日よ    原田青児
父の日の翔んでみせたる草の絮    菊地一雄
(根本梨花)


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