鶯・鴬(うぐいす) | |
〔本意・形状〕 | 春告鳥(はるつげどり)という別名もあるように、早春を告げる鳥として古くから愛され親しまれてきた鳥である。梅の咲く頃に里に下りてきて梅の木にいる虫を探す。「ホーホケキョ」と美しい声で鳴くので飼鳥ともされてきた。その声は「笹鳴き」という冬の季語(まだ声が整わずに「チャッチャッ」と鳴く地鳴き)から始まり、春の終わり頃になると「ケキョケキョケキョ」と大きな声で鳴いて谷を渡るので「鴬の谷渡り」といわれる。 |
〔季題の歴史〕 | 『万葉集』巻十・春雑「春霞流るるなへに青柳の枝くひ持ちて鶯鳴くも」。 『古今集』春上「鶯の谷より出づる声なくば春来ることをたれか知らまし大江千里」。『和漢朗詠集』春、『古今六帖』春に題として所出。 |
〔類題 傍題〕 | 黄鳥(うぐいす)、匂鳥(においどり)、歌よみ鳥、経よみ鳥、花見鳥、春告鳥(はるつげどり)。 |
〔例 句〕 | 鶯の鳴けば何やらなつかしう 鬼貫 鶯や餅に糞する縁の先 芭蕉 鶯の身をさかさまに初音かな 其角 鶯に終日遠し畑の人 蕪村 鶯や山をいづれば誕生寺 子規 |
(堀口希望) |
耕(たがやし) | |
〔本意・形状〕 | 穀物や野菜などの種まきや、苗植えの前に、田畑の土を鋤きかえし、土を柔らかくする作業。現代では耕作技術や機械の進歩で、随時行われるが、俳句では伝統的に春耕としている。春の訪れとともに始まる活動の代表的なものとして、清新な印象を強める季題である。 |
〔季題の歴史〕 | 『通俗志』(享保二)に「雑なり。季に用ゐるべからずなり」。『二見貝』 (安永九)に二月「田打ち」の傍題として所出。 |
〔類題 傍題〕 | 春耕、耕人、耕馬、耕牛、馬耕。 |
〔例 句〕 | 耕すやむかし右京の土の艶 太祇 耕や鳥さえ啼かぬ山かげに 蕪村 耕して百年前の空の紺 坪内稔典 耕牛に海の波寄る田の古び 加藤楸邨 春耕の田や少年も個の数に 飯田龍太 |
(根本梨花) |