□日時 2025年2月18日~28日 第15回ネット句会
□会場 「芭蕉会議」サイト会員フォーラム(専用掲示板)
〈 俳 話 少 々 〉
2月2日(日)の「芭蕉会議の集い」の「人生は物語で出来ている」という講話の中で、貫之による業平評「在原業平はその心あまりて、ことばたらず」(古今集仮名序)を引用し、ボクが添削をしない理由を〈作者は自分の心にこだわるので言葉(表現)がおろそかになり、読者(選者)は言葉(表現)にこだわるので作者の心を傷つける。それで、両者がよほど信頼し合っていないかぎり、添削はむずかしい〉という話をしました。ただ、「わくわく題詠鳩の会」と「たしなみ俳句会」はまったく初学の人を相手に始めたので、加除やアドバイスを許してもらっています。それを具体的に知ってもらうために、今回限りの企画として、海紅選に漏れた句のすべてに疑問点を指摘してみました。これは内輪の作業なので、掲載場所は掲示板(会員フォーラム)にします。時期は今回の句会スケジュールがすべて終わった頃になるかと思います。御一読いただいて、海紅評に大いに不満をぶつけてください。きっと後々お役にたつと思います。〈海紅記〉
〈 句 会 報 告 〉
互選は三句投句、五句選の結果です。ただし、海紅選は五句を超える数を選んでいますので、互選の点数に含めてはおりません。
また、海紅選の一部の作品について、作者の意図をそれない範囲で表現を改めたものがあります。原句と比較の上、再考願います。なお、互選についても気がつく範囲で仮名遣いを改めました。御了承ください。<海紅記>
☆ 谷地海紅選 ☆
今時のをのこのピアス春の風 | つゆ草 | ||
あたたかや本閉ぢて出る菜園へ | 月子 | ||
啓蟄や学食カレー大盛りに | ひぐらし | ||
春寒し散歩躊躇の齢人 | 春代 | ||
忌に訪へばおもかげのごと紅椿 | 馨子 | ||
窓際に梅一輪の予約席 | うらら | ||
園丁の背に日溜まりや花の兄 | 貴美 | ||
春寒し煉瓦倉庫はがらんだう | 理恵子 | ||
むめ咲くや日溜まりのある屋敷跡 | 貴美 | ||
春を待つ一時帰国の嫁迎へ | エール | ||
陽炎やぶらり一葉ゆかりの地 | ひぐらし | ||
さつさうと歩いてみたし日脚伸ぶ | 笙 | ||
ほどほどの検診結果日脚伸ぶ | 馨子 | ||
散歩後の足投げ出して日向ぼこ | 春代 | ||
板塀の落書き跡ものどかなり | 蛙星 | ||
春北斗見上げて待つや次のバス | うらら |
☆ 互選結果 ☆
7 | しばらくは待つと決めたる余寒かな | 海紅 | |
6 | 窓際に梅一輪の予約席 | うらら | |
6 | 忌に訪へばおもかげのごと紅椿 | 馨子 | |
6 | ほどほどの検診結果日脚伸ぶ | 馨子 | |
4 | 春北斗見上げて待つや次のバス | うらら | |
4 | 飼い犬のぬくもり抱くや春浅し | 貴美 | |
4 | 来し方と行く末思ふ春の宵 | ちちろ | |
3 | 春寒のスキマバイトに夢ひとつ | 海紅 | |
3 | あたたかや本閉じて出る菜園へ | 月子 | |
2 | 旧正や歌仙満尾の陽ざし食む | eiko | |
2 | 春詩篇一行富良野より届く | eiko | |
2 | 草青む草莽の志士一人知る | 千年 | |
2 | 咲いたかと聞かれずスミレ咲いてをり | 千年 | |
2 | 啓蟄や学食カレー大盛りに | ひぐらし | |
2 | 枯菊のきいろの未練こぼれたり | 安愚楽 | |
2 | 一匹はおとなしく居て猫の恋 | 蛙星 | |
2 | 板塀の落書き跡ものどかなり | 蛙星 | |
2 | 春泥や登校の子ら傘で刺し | 窓花 | |
2 | さつさうと歩いてみたし日脚伸ぶ | 笙 | |
2 | 早春のゴンドラ光り動き出す | 梨花 | |
2 | 細筆で俳句つらつら春を詠む | つゆ草 | |
2 | 春寒のスーパー花もカゴに足し | 京子 | |
2 | 俤のお化け煙突春の旅 | 宏美 | |
2 | せせらぎの水音かすか春浅し | ふみ子 | |
2 | 貝寄風や心残りは海の底 | ふみ子 | |
1 | 陽炎やぶらり一葉ゆかりの地 | ひぐらし | |
1 | 手を引かれ孫の後追う恵方道 | 安愚楽 | |
1 | 鳴くことも償ひとせん遠蛙 | 蛙星 | |
1 | とんとんと杭を打つ音春空へ | うらら | |
1 | むめ咲くや日溜まりのある屋敷跡 | 貴美 | |
1 | 音沙汰のなければいよよ冴え返る | 海紅 | |
1 | 新刊の匂ひそのまま冴返る | 真美 | |
1 | 星空や澄みゆくかをりふゆのバラ | 笙 | |
1 | 春寒し煉瓦倉庫はがらんどう | 理恵子 | |
1 | 洗い物する母の背や春浅し | 理恵子 | |
1 | ライブ終へ車窓はおぼろ月夜かな | 理恵子 | |
1 | すえこ笹探す山路の雪間かな | 梨花 | |
1 | あたたかや靴ひも直す母の肩 | 馨子 | |
1 | 今時のおのこのピアス春の風 | つゆ草 | |
1 | 下萌えや胎動始まる報のあり | 京子 | |
1 | 雨上がり早やさへづりの大樹かな | ちちろ | |
1 | 春の海見目よき人と由比ヶ浜 | 月子 | |
1 | まだ少しいびつなこころ猫の恋 | 宏美 | |
1 | 新しき肌石鹸や建国日 | 宏美 | |
1 | 蝋梅は控えめにして寺の庭 | 春代 |
☆ 参加者 ☆ <順不同・敬称略>
谷地海紅、市川千年、今関理恵子、植田ひぐらし、宇田川うらら、大江月子、荻原貴美、尾見谷静枝、梶原真美、佐藤馨子、世羅安愚楽、丹野宏美、千葉ちちろ、中里蛙星、根本梨花、備後春代、平塚ふみ子、古崎 笙、眞杉窓花、三木つゆ草、森田京子、谷地元eiko、村上エール(以上23名)
<取りまとめ、エール記>
< 了 >