白山俳句会会報 No.62

白山句会 白山句会報第62号

  □日時 2024年6月5日(水)~6月19日(水)、第14回ネット句会
  □会場 「芭蕉会議」サイト会員フォーラム(専用掲示板)


 今年は遅い梅雨入りとなりましたね。6月後半は雨が続きそうですが、たまの梅雨の晴れ間には戸外に出て、新緑の香りや鮮やかな紫陽花に癒されてみるのも良いかもしれませんね。少し寒暖の激しい日が続きますが健康には十分お気をつけてお過ごしくださいませ。<ふうせん記>

〈 俳 話 少 々 〉

 6月20日(木)に上野公園内の料理屋で高等学校の同期会がおこなわれた。私はいわゆる団塊の世代で、名簿によれば1学年400名弱のうち、今も90名前後が東京近郊在住らしく、毎回男女合わせて20名から30名程度の出席者がある。
海外勤務が長かったTM君が隣り合わせて、私の分野に気遣ってか、「ボクは作文を課されるたびに、何を書けばよいか分からなかった」と昔を振り返り、「ところで、季語はいくつあるの」と尋ねてきた。
私は「季語を収めるルールブックは、編者の見識や意図、そして用途などによって収録数が異なるから総数を示すのはむずかしい。ただし、時代とともに増えつづけていることにまちがいはない」と答えて、彼が求める答えになっていないことを恥じた。
私の答えの歯切れが悪いのは「季語」より「季感」のほうが大事であると思い続けてきたからだ。「季感ならば、その総数に悩むことはない」。よって、私は自分の句々を絞り込む際には「季語(季題)」が「季感」を伴っているか(十七拍全体に馴染んでいるかどうか)を考えることにしている。<海紅記>


〈 句 会 報 告 〉

 一部の作品について、作者の意図をそれない範囲で、表記や表現を改めた句が含まれています。


☆ 谷地海紅選 ☆

8 胸元にPEACEの文字や更衣 千寿
15 追ひつかぬ庭の手入れや走り梅雨 喜美子
25 福耳の兄弟二人豆ご飯 うらら
28 保護猫を迎へるしたく若葉風 馨子
31 緑さすクロワッサンと珈琲と ひろし
37 帽子ふる人へ鎌挙げ夏の畑 宏美
45 薫風や人を気にせぬ子椋鳥 ふみ子
52 前後ろ子を乗せママチャリ若葉道
53 地下道を抜ければ菖蒲匂ひけり 理恵子
60 母遺す香水瓶は未開封 うらら
64 夏服や君を待つ間の駅ピアノ エール
73 夏めくや実習生の袖まくり 窓花
84 夏足袋の矢は真つ直ぐに的射抜く 千寿
87 特売の鰻分け合ふ誕生日 つゆ草
88 夏帯や虎屋の暖簾くぐりゆく うらら
89 白檀のほのかな香する浴衣かな 理恵子
91 鉢下に馴染みの蛙たぢろがず つくし
96 涼しさや深呼吸する徹夜明け ふみ子

☆ 互選結果 ☆

7 夏服や君を待つ間の駅ピアノ エール
6 安寧を知らする枇杷の皮を剥く 海紅
6 保護猫を迎へるしたく若葉風 馨子
5 福耳の兄弟二人豆ご飯 うらら
5 遠花火布巾を真白に洗ひけり 月子
5 涼しさや深呼吸する徹夜明け ふみ子
5 赴任先不安のほぐれ時鳥 京子
5 妻の手に蛍がとまり真珠婚 由美
4 夏帯や虎屋の暖簾くぐりゆく うらら
4 越後より初夏の香や笹だんご 馨子
4 胸元にPEACEの文字や更衣 千寿
4 下駄の緒が切れたねあの日花火の夜 月子
4 夏めくや実習生の袖まくり 窓花
4 あらましは許せる気分五月晴 梨花
3 柿若葉励ますうちに励まされ 馨子
3 夏雲や寺の甍を湧き出づる 貴美
3 薔薇香る開け放された歯科の窓 つくし
3 遅れ来てちょこんと会釈夏帽子 ひぐらし
3 くちなはのするりと刻の動き出す ひろし
2 露天商はちまき捩じる暑さかな 蛙星
2 田植機に買ひ手がついて河鹿笛 海紅
2 みな古稀を過ぎて寡黙やゆすらうめ 海紅
2 母遺す香水瓶は未開封 うらら
2 夏暖簾父の帰りを待つ夕餉 エール
2 遠雷の鳴り残してや宵の酒 貴美
2 夏足袋の矢は真つ直ぐに的射抜く 千寿
2 鉢下に馴染みの蛙たぢろがず つくし
2 手の届く距離に枇杷の実角の家 つゆ草
2 緑さすクロワッサンと珈琲と ひろし
2 噴水や大会前のストレッチ 真美
2 幼鳥の囀り抱く青葉かな
2 夕驟雨霞む港の観覧車
2 地下道を抜ければ菖蒲匂ひけり 理恵子
1 夏島の小さき別荘月の蟹 eiko
1 石楠花の二つ亀岬佐渡恋し eiko
1 新緑や退屈しのぎに遊歩道 エール
1 閉ぢてなほ色とりどりの日傘かな 蛙星
1 鮎解禁向かふ車に雨しとど 和子
1 追ひつかぬ庭の手入れや走り梅雨 喜美子
1 紫陽花の一つ一つに語りかけ 喜美子
1 黒塀の粋な築地や握り寿司
1 かぜ薫る河畔に富士を見据へけり
1 (前書)松山坊っちゃんスタジアムにて
初夏の暮野球と名付けし人思ふ

玄了
1 里に祈り夏草刈られ道祖神 静枝
1 蛍飛ぶ見とれた後にほーたる来い 静枝
1 夏の海レース模様に昏れゆけり
1 どくだみや地の星のごと生ひにけり 貴美
1 夏場所の有無を言はせず押し倒す ひろし
1 紅白の帽子の群れや蝸牛 宏美
1 帽子ふる人へ鎌挙げ夏の畑 宏美
1 紫陽花や車椅子の子の目の高さ 美知子
1 チチチチとおしやべり小鳥夏木立 美知子
1 前後ろ子を乗せママチャリ若葉道
1 一升餅に泣く赤児きんぎよ草 由美
1 白檀のほのかな香する浴衣かな 理恵子
1 麦の秋眼内レンズ新調し 梨花
1 特売の鰻分け合う誕生日 つゆ草

☆ 参加者 ☆ <順不同・敬称略>
谷地海紅、里中蛙星、植田ひぐらし、市川千年、尾見谷静枝、三木つゆ草、梶原真美、宇田川うらら、大江月子、眞杉窓花、梅田ひろし、椎名美知子、村上エール、谷地元eiko、磯部和子、尾崎喜美子、加藤悠、西野由美、柴田憲、内藤玄了、備後 春代、根本梨花、今関理恵子、佐藤馨子、荻原貴美、青柳つくし、髙橋千寿、谷美雪、平塚ふみ子、高橋美智代、森田京子、丹野宏美、古崎笙(以上33名)

投句参加者数:33名
選句参加者数:谷地海紅 +27名

<取りまとめ、ふうせん記>
< 了 >



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