□日時 2023年10月8日(日)
□会場 横浜近代文学館2F会議室
〈 俳 話 少 々 〉
芭蕉会議は古典とつながろうとする集まり。よって、勉強のために、句会報は歴史的かなづかいに統一しています。旧仮名(昭和21以前)・新仮名(昭和21以後)のどちらでゆくか、句集を編む場合など、最終的には自分で決めてください。
日本語は「かな文字」より「漢字」の方がわかりやすい(読者に親切)という場合が少なくありません。ただし、なるべく一般的なものを使いましょう。「人肌」と「人膚」の場合、「人肌」がよいということです。<海紅記>
〈 句 会 報 告 〉
互選は三句投句、五句選の結果です。ただし、海紅選・ひろし選は詩情の有無を優先して、五句を超える数を選んでいますので、互選の点数に含めてはおりません。
なお、一部の作品について、作者の意図をそれない範囲で表現を改めたものがあります。<海紅記>
☆ 谷地海紅選 ☆
肉饅の湯気立つ中華街の秋 | ひろし | ||
逝く秋の供花なき外人墓地の墓 | ひろし | ||
貯木場の今は名のみぞ海の秋 | 美雪 | ||
風吹けば独りと思ふ花野かな | 月子 | ||
秋麗や逢ひたき人も座の中に | つゆ草 | ||
花野行く「まっかな秋」を聴きながら | 朗子 | ||
元町の西洋菓子屋小鳥来る | うらら | ||
まだ白き姿を見せて酔芙蓉 | 馨子 | ||
手をつなぎ秋の道ゆく親孝行 | こま女 | ||
爽やかやノースリーブのツーリスト | 真美 |
☆ 梅田ひろし選 ☆ 〇印は特選
○ | 日かげれば黄をやや強め秋の蝶 | 海紅 | |
○ | 庭園に寒露の風の吹き抜ける | 蛙星 | |
うたた寝の夢醒め独りそぞろ寒 | 悠 | ||
雁や異国に眠る十字墓碑 | 悠 | ||
月餅の厚さ褒め合ひ天高し | つゆ草 | ||
繊細なる書簡の小文字秋深し | つゆ草 | ||
海風に色を増したか秋薔薇 | 喜美子 | ||
外つ国の人眠る丘木の実落つ | 喜美子 | ||
嫁ぐ日のうれしさびしさ秋の風 | 京子 | ||
蕎麦咲いて廃屋沈むごとくなり | 安愚楽 | ||
風吹けば独りと思ふ花野かな | 月子 | ||
庭園の萩の膨らむ小路かな | ひぐらし | ||
散り際のためらひ見せて秋の薔薇 | うらら | ||
米虫を選り分けてゐた戦後の子 | 梨花 | ||
浜風や銀杏並木の老夫婦 | 玄了 | ||
草の花霧笛橋までもう少し | 真美 |
☆ 互選結果 ☆
5 | 蕎麦咲いて廃屋沈むごとくなり | 安愚楽 | |
4 | 秋麗や逢ひたき人も座の中に | つゆ草 | |
4 | 月餅の厚さ誉め合ひ天高し | つゆ草 | |
4 | 日かげれば黄をやや強め秋の蝶 | 海紅 | |
4 | 風吹けば独りと思ふ花野かな | 月子 | |
4 | 来し方を海に浮べて秋の海 | 喜美子 | |
4 | 旅人の顔で見る海秋ひと日 | うらら | |
4 | おもかげは風に揺れをり猫じやらし | 馨子 | |
3 | 老いるとはいつも時間の見える秋 | 梨花 | |
3 | 城跡の空堀に積む枯葉かな | 梨花 | |
3 | 朝市の姉さん被りの梨求め | 和子 | |
3 | 異文化の根付く街並み秋の風 | 蛙星 | |
3 | 白萩のゆれる路地裏猫の道 | エール | |
3 | 海を見ん蛙星に逢はん秋深し | 海紅 | |
3 | 太宰から井伏に冬の影の文 | 琳 | |
3 | 海は秋鷗は低く低く飛び | ひろし | |
3 | 外つ国の人眠る丘木の実落つ | 喜美子 | |
2 | 雁や異国に眠る十字墓碑 | 悠 | |
2 | うたた寝の夢醒め独りそぞろ寒 | 悠 | |
2 | 愛犬は抱えて下る秋深し | 海紅 | |
2 | 繊細なる書簡の小文字秋深し | つゆ草 | |
2 | 枇杷熟るる見れば故郷の庭になり | 静枝 | |
2 | 恨みたる陽が心地良い神無月 | 明子 | |
2 | 散り際のためらひ見せて秋の薔薇 | うらら | |
2 | 会ひたくて急ぐ坂道いわし雲 | 馨子 | |
2 | 海風に色を増したか秋薔薇 | 喜美子 | |
2 | 朝寒や噴水の先の氷川丸 | エール | |
2 | 敗戦の郷の西日を九十路 | 憲 | |
2 | 終活の答へに触れず秋薊 | 宏美 | |
2 | 草の花霧笛橋までもう少し | 真美 | |
1 | 秋晴れや帽子つば裏必笑と | 光江 | |
1 | ベビーカー帽子に蜻蛉翅やすめ | 光江 | |
1 | 名月やスカイツリーも主役下り | 惠基 | |
1 | 公園に子等に負けじと蟬しぐれ | 惠基 | |
1 | 炎天も風の道あり百日紅 | 静枝 | |
1 | 元町の西洋菓子屋小鳥来る | うらら | |
1 | 十字路の四隅に紅し曼珠沙華 | エール | |
1 | 赤とんぼいづれの人も名のらずに | 宏美 | |
1 | 外に出よと月に打たれてする電話 | 瑛子 | |
1 | とつおいつノウゼンカヅラの作句坂 | 朗子 | |
1 | 元町公園萩咲き恋を語りをり | 正子 | |
1 | 文学館丘へ登れば富士の新雪 | 月子 | |
1 | 神道の喪中の友に新米を | 和子 | |
1 | 南吉の童話読む頃彼岸花 | 京子 | |
1 | 浜の秋句会のありてゆるり愛づ | 明子 | |
1 | もの憂きや日に改まる猛残暑 | 憲 | |
1 | 米虫を選り分けてゐた戦後の子 | 梨花 |
☆ 参加者 ☆ <順不同・敬称略>
谷地海紅、青栁光江、宇田川うらら、梅田ひろし、大江月子、荻原貴美、尾崎喜美子、尾見谷静枝、佐藤馨子、里中蛙星(初参加)、田中正子、谷 美雪、寺元 琳(江田浩司)、内藤玄了、中村こま女、根本梨花(文子)、船坂朗子(初参加)、三木つゆ草、宮野惠基、宮野明子、村上エール、谷地元瑛子、梶原真美(以上23名)
☆ 欠席投句者 ☆ <順不同・敬称略>
礒部和子、植田ひぐらし、加藤 悠、柴田 憲、世羅安愚楽、丹野宏美、西野由美、備後春代、森田京子(以上9名)
<以上取りまとめ、真美記>
< 了 >