□日時 2022年4月9日(日)
□会場 江東区中川船番所資料館1F会議室
〈 俳 話 少 々 〉
世の中は感染症の流行を克服しつつ、日常を取り戻そうとしているようです。白山句会も十箇月ぶりに吟行という機会に恵まれました。吟行は移り変わる自然の中に身を置いて詩歌を詠むことです。吟行の長所は風光によって私意(私情)をコントロールできる点です。主観はとても大切ですが、それをきちんと読者に伝えるためには客観性を帯びなければならない。そのためにはどうしても自然と向き合う手続きが必要なのです。事情で欠席投句となった人は別ですが、出席者には船番所資料館周辺で目に触れたものを通して、もっとたくさんの句を詠んでほしかった。これからも吟行を楽しみましょう。<海紅記>
〈 句 会 報 告 〉
一部の作品について、作者の意図をそれない範囲で、表現を改めたものがあります。また、海紅選は互選の点数に含まれておりません。なお、梨花さんの投句三句のうち一句は投句先が重複しましたので、御本人のお申し出により、当該の句を削除いたしました。御了承ください。
<海紅記>
☆ 谷地海紅選 ☆
ベランダの鉢並べ替へ春の風 | ちちろ | ||
ランドセル担いできたか花の山 | 千年 | ||
葉桜や母校の前の喫茶店 | 玄了 | ||
花は葉に江戸の名残りの小名木川 | 喜美子 | ||
蒲公英をよけて置かるるデッキチェア | うらら | ||
移り出て幼馴染や雀の子 | 蕾花 | ||
ラジコンのヨットの川面はるの昼 | ふみ子 | ||
のどけしやもろ手を挙げる土手の上 | 喜美子 | ||
たまゆらの母との逢瀬はるの夢 | 笙 | ||
囀りのために大空ありにけり | 蛙星 |
☆ 互選結果 ☆
4 | 囀りや帰化せし人と句座にあり | 海紅 | |
4 | 子の網に魚一匹と花の塵 | つゆ草 | |
4 | 玄関に花びらの客五六枚 | 静枝 | |
4 | さざ波や花一片を運びをり | うらら | |
3 | 若草に土鳩の一羽ひとやすみ | 貴美 | |
3 | 囀のために大空ありにけり | 蛙星 | |
3 | 新調の革靴なじむ春ひと日 | 馨子 | |
3 | 土手青む閑に往時の高瀬舟 | ひぐらし | |
2 | 姉の紅付いて戻りし紙風船 | 和子 | |
2 | 花散るや昔を今に番所跡 | 悠 | |
2 | 葉桜や母校の前の喫茶店 | 玄了 | |
2 | 戦災の孤児を生き抜き里桜 | 月子 | |
2 | 眼ぐすりの涙と混じる春愁ひ | 蛙星 | |
2 | 再会の叶ふ朝や花水木 | 馨子 | |
2 | 遅速あること美しや花残る | 海紅 | |
2 | 麗らかや赤ひりぼんと黒髪と | 美雪 | |
2 | 蒲公英をよけて置かるるデッキチェア | うらら | |
1 | たまゆらの母との逢瀬はるの夢 | 笙 | |
1 | 麗かな江戸の水音船番所 | 梨花 | |
1 | 粲粲と今日の集ひに風光る | 梨花 | |
1 | ランドセル担いできたか花の山 | 千年 | |
1 | 香粒さん恋ふ惜春の小名木川 | 真美 | |
1 | 春風や少し背伸びし初バイト | 玄了 | |
1 | シェアハウスお国それぞれ新学期 | 月子 | |
1 | 木もれ日や名もなき花も蒲公英も | 貴美 | |
1 | 強東風と踊るがごとき若木かな | 貴美 | |
1 | 花は葉に江戸の名残りの小名木川 | 喜美子 | |
1 | 遠霞中なる影に先づ祈り | 喜美子 | |
1 | 清明や久々集ふ句会かな | ふみ子 | |
1 | 長閑さや水面の影の平らかに | ふうせん | |
1 | お互ひに見せ合ひ笑つた桜貝 | ふうせん | |
1 | 桜蕊啄んでゐる小鳥二羽 | つゆ草 | |
1 | 葉桜の彼方にぬつとスカイツリー | つゆ草 | |
1 | ベランダの鉢並べ替へ春の風 | ちちろ | |
1 | 飛行機雲桜の空に一直線 | 静枝 | |
1 | 幼子のママと呼ぶ声春の空 | うらら |
☆ 参加者 ☆ <順不同・敬称略>
谷地海紅、内藤玄了、内藤高雄、尾見谷静枝、根本梨花、千葉ちちろ、荻原貴美、尾崎喜美子、三木つゆ草、丁子蕾花、平塚ふみ子、佐藤馨子、宇田川うらら、梶原真美、荒井ふうせん (以上、15名)
☆ 欠席投句者 ☆ <順不同・敬称略>
*中里蛙星、植田ひぐらし、礒部和子、大江月子、古崎笙、加藤 悠、西野由美、谷美雪、市川千年(以上、9名)
<以上取りまとめ、ふうせん記>
< 了 >