□日時 2022年12月9日(金)~12月31日(土)、第12回ネット句会
□会場 「芭蕉会議」サイト会員フォーラム(専用掲示板)
〈 俳 話 少 々 〉
年が改まりましたので、少し本音を申し上げます。
日常の1コマを俳句(17拍)に整えるのは、〈ことばを選ぶ〉という行為。それは人生を見つめ、考えること。心を磨くという努力であり、大切にすることである。心の伴わない技巧的な作品を作るくらいなら、俳句は下手のままの方がましである。
この星ではまだしばらく疫病や戦争が続くのでしょう。とすれば、なおのこと〈自分の心を手放さない努力〉をしたいものだと思う今日このごろです。
本年も芭蕉会議をお楽しみください。
<海紅記>
〈 句 会 報 告 〉
〈病を得た〉とか〈親しい者を失った〉とか、昨年も悲しいお知らせをいくつもいただきました。それで、そんな人たちにこそ俳句が支えになるということを伝えたくて、少し畏まった「俳話少々」となりました。
なお、例によって作者の意図をそれない範囲で表現を改めたものがあります。
<海紅記>
☆ 谷地海紅選 ☆
9 | 托鉢の頭陀に喜捨する初時雨 | 月子 | |
66 | 電飾の並木に遠く冬の月 | 月子 | |
12 | 賑わひに力を貰ふ暮れの街 | 喜美子 | |
68 | 母の忌や両手に余る水仙花 | 喜美子 | |
14 | 真夜中や冬のシアトルからLINE | エール | |
72 | 嫁が来ていろいろ増えるおでん種 | エール | |
参考・仕合わせそうだね。 | |||
22 | 留守庭に冬芽の揃ひ小さき鉢 | 香粒 | |
参考・「揃ふ」としたい。 | |||
80 | いり鍋の祖母のかち栗よみがえる | 香粒 | |
参考・「煎り鍋」とするのが親切。 | |||
2 | ミルフィーユにおしやべり弾む小春かな | ひぐらし | |
11 | 不器用が活けた懸崖菊花展 | 和子 | |
23 | 冬日向小幅歩きの妻を待つ | 美知子 | |
31 | 縄跳びや雪降る町の体育館 | 美雪 | |
36 | 猫の背に日向の匂ふ小春かな | 馨子 | |
37 | 樟脳と祖父の匂ひのちやんちやんこ | 窓花 | |
59 | 冬木立スーツケースの影二つ | 玄了 | |
61 | 恐いほど母に似て来て年用意 | 梨花 | |
65 | ひと匙の蟹雑炊の重さかな | つゆ草 | |
69 | 野良猫のちよこんと座る冬日向 | うらら | |
70 | 落葉降る江戸の名残を芝辺り | 憲 | |
参考・「落葉」より「木の葉」がふさわしい。 | |||
83 | 冬日さす絵本揃へて閉館す | 京子 | |
85 | 時雨忌やなにやらゆかしエピローグ | 笙 |
☆ 互選結果 ☆
6 | 不自由な足を遊ばせ日向ぼこ | 海紅 | |
6 | 電飾の並木に遠く冬の月 | 月子 | |
5 | 西行の筆の細さや月冴える | つゆ草 | |
5 | 冬日さす絵本揃へて閉館す | 京子 | |
4 | 冬日向小幅歩きの妻を待つ | 美知子 | |
4 | 猫の背に日向の匂ふ小春かな | 馨子 | |
4 | 母の忌や両手に余る水仙花 | 喜美子 | |
3 | 一番きれい養護学級落ち葉掃き | 梨花 | |
3 | 托鉢の頭陀に喜捨する初時雨 | 月子 | |
3 | 先立たれ残る枯葉の一人きり | 悠 | |
3 | 検温になれたるおでこ十二月 | 海紅 | |
3 | 日の入りの駆け足で来る冬座敷 | 貴美 | |
3 | 還暦の頃より親し冬の月 | 京子 | |
3 | 境内の灯の細くなる時雨かな | 真美 | |
3 | 月冴ゆる葉一枚の枝の先 | 美知子 | |
2 | ミルフィーユにおしやべり弾む小春かな | ひぐらし | |
2 | 厨とは私の居場所除夜の鐘 | つゆ草 | |
2 | 極月や遅読を詫びる文届く | うらら | |
2 | 離陸した友の小さく冬銀河 | ふうせん | |
2 | 口中の落雁ほろと小春の日 | ひろし | |
2 | 白菜をザクリ溜飲下げる音 | 美知子 | |
2 | 真心はまだ生き生きと冬の薔薇 | 梨花 | |
2 | 恐いほど母に似て来て年用意 | 梨花 | |
2 | 長芋の欠けて擦られて夕餉かな | 宏美 | |
2 | 蕪村忌の出勤予定をそつと消し | 窓花 | |
1 | 星取り表庭で見てゐる小六月 | eiko | |
1 | オリオンを三つ数へてまた三つ | 真美 | |
1 | 鬼ごつこ規則改正冬の蜂 | 慧明 | |
1 | 不器用が活けた懸崖菊花展 | 和子 | |
1 | 賑わひに力を貰ふ暮れの街 | 喜美子 | |
1 | 九九八拾残すひと葉や冬鴉 | 宏美 | |
1 | 冬ざれや校舎ニ階の窓の外 | 窓花 | |
1 | 富士あかね空黄金色秋深し | 美雪 | |
1 | 首かしげトキメキかはすちどりかな | 笙 | |
1 | 縄跳びや雪降る町の体育館 | 美雪 | |
1 | マフラーの赤にくるまる憂き世かな | 貴美 | |
1 | 樟脳と祖父の匂ひのちゃんちゃんこ | 窓花 | |
1 | 芋掘りや台詞少なき男役 | 宏美 | |
1 | 久々に芝の蕎麦屋へ神無月 | 憲 | |
1 | 落葉踏むいちご白書をもう一度 | 悠 | |
1 | 父の本十頁目に柿落葉 | エール | |
1 | お身拭ひ新しき風ふくやうな | 喜美子 | |
1 | 風呂吹きや練り味噌甘め風の夜 | 月子 | |
1 | しぐるるや互ひ気づかふ石蕗の花 | eiko | |
1 | 初冬や解体進む萩の家 | eiko | |
1 | 今は昔されど華やか羽子板市 | 静枝 | |
1 | 白息の濃きは話の弾むとき | 真美 | |
1 | ひと匙の蟹雑炊の重さかな | つゆ草 | |
1 | スカートにパット着替える冬椿 | 慧明 | |
1 | 冬ざるる猫のすりよる帰り路 | ふうせん | |
1 | 風の道示すかたむき菊枯るる | 海紅 | |
1 | 時雨忌やなにやらゆかしエピローグ | 笙 |
☆ 参加者 ☆ <順不同・敬称略>
礒部和子、市川千年、植田ひぐらし、宇田川うらら、梅田ひろし、大江月子、荻原貴美、尾崎喜美子、尾見谷静枝、梶原真美、加藤 悠、佐藤馨子、椎名美知子、柴田 憲、鈴木香粒、谷 美雪、谷地海紅、丹野宏美、内藤玄了、根本梨花、備後春代、古崎 笙、眞杉窓花、三木つゆ草、村上エール、森田京子、谷地元瑛子、游 慧明、荒井ふうせん(以上29名)
投句参加者数:29名
選句参加者数:谷地海紅 + 21名
<以上取りまとめ、ふうせん記>
< 了 >