日時 平成18年4月8日(土) 午後2時締切 四句
吟行 小石川植物園
席題 落花・花韮・鳥交る
場所 甫水会館
|
谷地海紅選
花韮を嗅ぐらし猫の立ち止り |
大江ひさこ |
東京は桜の多い街なりし |
大江ひさこ |
下を見て歩くこの頃韮の花 |
後藤由貴子 |
鳥交る心やさしき日となさん |
菴谷早苗 |
花韮や言葉で人を傷つけし |
安居正浩 |
花にらの寄り添ふ如き白さかな |
三木喜美 |
気紛れな雨が花にら指し示す |
根本文子 |
菜の花と桜がとつてもきれいな日 |
織田嘉子 |
落花終へ追はるるごとく雨となる |
奥山美規夫 |
静かなる人と話せり韮の花 |
伊藤無迅 |
|
梅田ひろし選
風立ちて池の落花のかたまりぬ |
金井 巧 |
鳥交る頬染めし頃いつの日か |
久保寺勇造 |
花にらの一輪風に振り向きぬ |
金井 巧 |
鳥交る都心に高く声響く |
尾崎喜美子 |
訪へば泣き出す老母花の昼 |
浜田 惟代 |
二人連れ肩に静かな落花かな |
高木 久子 |
久闊を叙せば花韮そこここに |
谷地 海紅 |
寺町の雨にけぶりて落花かな |
菴谷 早苗 |
鳥交る平和ぼけしてゐたるかな |
安居 正浩 |
花ぐもりすでに嵐の予感あり |
尾崎喜美子 |
|
伊藤無迅選
はにかみし墓買ひ告げし花の下 |
久保寺勇造 |
桜花いさぎよき罪なくはなし |
安居正浩 |
廃校と噂の庭に鳥交る |
金井巧 |
訪へば泣き出す老母花の昼 |
浜田惟代 |
花にらや逢へざる人とあへさうな |
菴谷早苗 |
校閲のゲラをしまひて落花浴ぶ |
谷地海紅 |
メタセコイヤの天辺鳥のつるみけり |
梅田ひろし |
学友は句友となりて花蘇芳 |
根本 文子 |
コンビニの弁当いろいろ鳥交る |
後藤由貴子 |
|
参加者:
谷地海紅 奥山酔朴 尾崎喜美子 小出富子 小野修司 根本文子 浜田惟代 森つらら 水野千寿子 伊藤無迅 高木久子 西村通子 青柳光江 織田嘉子 三木喜美 久保寺勇造 椎名美知子 大江ひさこ 梅田ひろし 菴谷早苗 平岡佳子 三島菊枝 安居正浩
欠席投句:後藤由貴子 岡田光生
|
番外句会の記
一次句会終了後、希望者を募って庄屋で一献。海紅句「春雪に明るくなりしベンチかな」は「春雷」の清記誤りであることが披露された。座談弾むままに小石川植物園で遭遇した「春雷」を席題とする番外句会となり、各自箸袋を短冊として一句投句。酒席ゆえの昂揚が以下のごとき佳句を生み出した。
春雷やのれんくぐれば夢二の絵 |
金井巧 |
春雷のあかりに浮かぶ神の山 |
伊藤無迅 |
春雷に頬杖を解く女かな |
谷地海紅 |
春雷を聞きつつメトロへもぐりけり |
大江ひさこ |
春雷や妻の仕草にほれ直す |
奥山酔朴 |
春雷やけりをつけたき縁のあり |
椎名美知子 |
春雷の音と光を数へをり |
尾崎喜美子 |
春雷やすがる人なく悲しけり |
小出富子 |
祈ることあり春雷の強ければ |
森つらら |
振り返る横顔細し春雷す |
久保寺勇造 |
真先に師の逃げ出せる春の雷 |
根本文子 |
春雷や相合傘も逃げ惑ふ |
高木久子 |
春雷のそれはそれとし酒飲みに |
安居正浩 |
|