句意は「よく見たら垣根にあまり目立たない花である薺が咲いているよ」
薺は春の七草の一つでぺんぺん草・三味線草とも言う。この句が印象的なのは「よくみれば」に素直な驚きが感じられるからだろう。中七下五のなにげない日常の景に俗な言葉を絶妙に配したことで、芭蕉にとっては自慢の句であったかもしれない。
「よくみればなんと」「よくみればこんなところに」「よくみればもう」など続く言葉を当てはめて見ると、解釈にも広がりが出るのではないか。
この句は現代の句会に出しても十分通用しそうだ。ただ「よくみれば」は言い過ぎだと評されそうな気もするが。
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(文) 安居正浩 |