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「論文を読む会」議事録 |
・発表テーマ 「玉城徹の芭蕉理解」
・発表者 江田浩司
・日時 平成25年11月9日(土)、15時30分〜17時
・場所 東洋大学白山校舎6号館 谷地教授研究室
・資料 @「詩的原体験としての芭蕉−「連句」・「調べ」を中心に−」
・出席者 谷地先生、江田浩司、安居正浩、尾崎喜美子、市川千年、谷地元瑛子、鈴木松江、
真杉窓花、伊藤無迅 <9名>
・議事録 伊藤無迅
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<発表のまとめ>
1.発表の概要
・玉城徹(1924〜2010)は、生涯にわたり芭蕉を敬愛し且つ対決した歌人である。
・玉城は現代短歌の無思想性に危機感を抱いており、芭蕉が俳諧で目指したものを現代短歌に導入しようとした。つまり「芭蕉以後の短歌」である。
・それは芭蕉を否定しながらも短歌特有な「調べ」を追求するものであった。
2.発表のポイント
・江田氏はこの難解な歌人の思考を理解するために、玉城の幾つかの著書を読み以下の視点で論考を進めた。
@俳句から短歌へ
玉城は中学一年の時、自分の進む道を資質的に短歌と気付き俳句から短歌に変えた。
A芭蕉への敬愛と対決
「こがらしの巻」で芭蕉に執心したが、短歌の「調べ」ではないと直感する。
B初期作品における芭蕉の影響
俳諧に準じて自分の作品を配列、テクストの深層に及ぶ詩的感応・効果を探る。
Cかなり露骨な「象徴」化
「新歌人集団」の作者とは一線を画した、形而上的な世界を詠う。
D芭蕉俳諧における「調べ」と玉城徹
玉城は芭蕉の「調べ」を解明し、新たな短歌的な「調べ」を模索している。
E茂吉の鑑賞法への批判
近代短歌の位相に立つ茂吉的鑑賞を非難、歴史的な文学伝統を踏まえない近代短歌への強烈な批判を展開。
3.まとめ
・現代短歌界の歌人で、芭蕉に親炙し且つ対決しようとする玉城の姿勢は異色である。
・現代短歌の在り方・方向性を強烈に批判、歌壇とは一定の距離を置いてきた玉城の姿勢は、今後さらに注目し研究されてしかるべきと思う。
・近代化の中で現代短歌が切捨てた「歴史的文学伝統」の視点に立ち返り、現代短歌の思想化・尖鋭化を図る、これが玉城短歌の本質ではないだろうか。
・それにしても玉城の文章は難解である。
<了>
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