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「論文を読む会」議事録 |
・発表テーマ 「明治人の俳諧への郷愁−国男と寅彦の場合」
・発表者 伊藤無迅
・日時 平成25年9月15日(日)、14時30分〜17時
・場所 東洋大学白山校舎6号館 谷地教授研究室
・資料 @テキスト1:寺田寅彦「俳句の精神」 <参考図書館登録済>
Aテキスト2:柳田国男「俳諧と俳諧観」 < 〃 >
B「俳諧・俳句に関する国男・寅彦の年表」 < 〃 >
・出席者 谷地先生、安居正浩、根本文子、尾崎喜美子、三木つゆ草
市川千年、鈴木松江、西野由美、真杉窓花、伊藤無迅 <10名>
・議事録 伊藤無迅
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<発表のまとめ>
1.発表の概要
・明治創成期を支えた一部の明治人の中二に、晩年に到り心から俳諧を楽しみ且つ俳諧復活を願う人がいた。ここでは柳田国男と寺田寅彦を取上げ、その背景を探る。
・二人の俳諧復興を願う背景は異なるが、その根底には、俳諧こそ日本固有の文化であり誇るべき文芸として存続させるべきという点で一致していた。
2.発表のポイント
・テキスト1では、俳句(俳諧)は古来日本人が持っていた固有の精神を継承するものであるという寺田寅彦の持つ俳句(俳諧)観を紹介。
・テキスト2では、寅彦と同様の俳諧観をもっていた柳田国男が、寅彦没後にそのことを知り俳諧復権に共同歩調が取れなかったことへの悔悟の念を紹介。
・寅彦は専門の物理学を通して、物理学(西洋文化)の根本理念にない<時>と言う概念が俳諧という日本固有の文化にあることを知る。
・国男は専門である民俗学的な視点から古俳諧(俳諧七部集)を愛読、戦時下疲弊した民衆の心を救う手段として古来日本人が楽しんできた俳諧の復活を目指す。
3.まとめ
・寅彦は明治近代化の中核とも言うべき自然科学(物理学)を専攻していたが、晩年に到り物理学の根本的な考え方に拒否反応を示した。また国男はハイネ、A・フランスという西欧文学を代表する文化人の啓示を受け民族学を起こした。二人に共通することは、若き日に俳諧・俳句を愛した点である。寅彦は漱石直伝の俳句で、国男は『俳諧七部集』を愛読していた。二人は晩年到り近代化で置き忘れたもの、つまり日本人固有の精神文化を継承する俳諧に気付き、その再興を試みる。
・昭和七年の国男・寅彦の会談は幻に終ったが、もし実現していたなら、俳壇(虚子)を巻き込み昭和初期において俳諧(連句)が再興していた可能性が充分にあった。
・なお先生からは以下のコメントを戴いた。
・文学報国会における国男と虚子の関係の再考<国男の連句力を考慮した>
・戦前戦後における俳壇の俳諧への取り組みについて<再調査要>
(了)
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