海紅句抄/芭蕉会議

2013年バックナンバー

12月	焚火の輪くづれて峡の旅終る
12月	枯れてゆくひとつひとつに名札あり
11月	鷹が天を領して深山橋といふ
11月	小春日のわが影法師くつきりと
10月	再会す蓮の実飛べる沼宿に
10月	時満つるごとく添水の水満つる
9月	寄せ墓といふは露けし姉妹
9月	一夜話に鉦叩ある親しさよ
8月	手花火に語る過去語られぬ過去
8月	人声を遠くに百合は海を向く
7月	朝涼やテニスコートの箒の目
7月	ぽつねんと真夜の風鈴ぶらさがる
6月	枇杷食んで多弁の口を閉ざしをり
6月	置き去りの玩具に蟻の国生まる
5月	身の丈を下駄に乗せゆく薄暑かな
5月	散歩道おりくる蜂とすれちがふ
4月	落胆の手に残りたる丁字の香
4月	落胆の指より零れ沈丁花
3月	幾千の隻手を伸ばし花なづな
3月	歌麿の墓へ三味線草の径
2月	凍て瀧の音ちりぢりに岩を這ひ
2月	心あるごとく凍て瀧おし黙る
1月	雪を告げ訃を告げ留守番電話切れ
1月	子を抱く君を包める雪あかり

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