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| 兼題解説 雛祭・游糸 |
| 雛祭（ひなまつり） |
| 〔本意・形状〕 |
三月三日、桃の節句に雛を飾り、女の子の節句として祝う。その起源は 古代からの祓いの行事。つまり形代（かたしろ）で身体をなでてけがれを形代に移し川に流す行事と、貴族の娘達の雛遊びが、結びついたのではないかと考えられている。段飾りは江戸時代に発達したとされ、調度品は武家の嫁入り道具を摸したものが多くなった。雛壇には、内裏雛、官女雛、五人囃子などが飾られ、屏風や雪洞、左近の桜、右近の橘、菱餅、白酒、雛菓子、さらには箪笥、長持、鏡台、駕篭や御所車なども華やかに飾られた。
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| 〔季題の歴史〕 |
『手勝手』（文化七）に三月として所出。〈雛〉『糸屑』（元禄七）以下に
三月として所出。〈内裏雛〉『手挑灯』（延享二）『ぬくめ種』（嘉永二）に三月として所出。〈紙雛〉『花火草』以下に三月として所出。
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| 〔類題・傍題〕 |
雛（ひな）、雛事、雛飾り、雛人形、雛道具、雛屏風、雛段、雛の膳、雛の酒、雛菓子、雛料理、紙雛、立雛、内裏雛、享保雛、木目込雛、雛の夜、宵節句、雛飾る、初雛、古雛、雛の間、雛の宴、雛の客。 |
| 〔例句〕 |
・草の戸も住み替る代ぞ雛の家 芭蕉 |
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・雛飾る都はずれや桃の月 蕪村 |
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・裏店や箪笥の上の雛まつり 几菫 |
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・天平のをとめぞ立てる雛かな 水原秋桜子 |
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・雛かざりつゝふと命惜しきかな 星野立子 |
（堀口希望) |
| 遊糸（ゆうし・いうし）・陽炎（かげろう・かげろふ） |
| （※ 遊糸は陽炎のことですが掲載のない歳時記もあります、好きな方で句作して下さい） |
| 〔本意・形状〕 |
春のよく晴れた日、湿地や湿った野原などで空気がゆらゆら揺らぎ、遠方の景色もゆらいで見えることがある。これが陽炎（かげろう）である。
強い日ざしによって地面の空気が不規則に熱せられ、そこを通過する光が不規則に屈折し、景色が揺らいで見えるのである。柿本人麻呂の、
「ひむがしの野にかげろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ」
以来、詩歌の歴史の中で数多く詠まれてきた。
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| 〔季題の歴史〕 |
『古今六帖』（寛和元）に春の題として所出。連『連理秘抄』（貞和元）以下に雑、『番匠童はなひ大全』（元禄四）など俳諧にも雑とするものがある。『花火草』（寛永十三）『筆まめ』（天明七）以下、兼三春。『糸屑』（元禄七）『鑑草』（寛延二）など二月、『手挑灯』（延享二）など一月とするものもある。 |
| 〔類題・傍題〕 |
野馬（かげろふ）、糸遊（いとゆふ）、遊糸（いうし）、陽炎燃ゆる、 かげろひ、かぎろひ。
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| 〔例句〕 |
・丈六に陽炎高し石の上 芭蕉
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・陽炎のわが肩に立つ紙衣かな 芭蕉
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・野馬に子供あそばす狐かな 凡兆
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・ちらちらと陽炎立ちぬ猫の塚 漱石
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・糸遊に結びつきたる煙かな 芭蕉
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（根本文子) |
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