|
兼題解説 苗代・燕 |
苗代(なわしろ) |
〔本意・形状〕 |
八十八夜の頃、種籾を苗代田に蒔き稲の苗を育てる水田を言う。籾を蒔い、た後、田の神に餅をついたり粥を作ったりして供える地方がある。
苗代で育った苗を田に移すのが田植である。
|
〔季題の歴史〕 |
「わぎもこが門田に植うる早わせの苗代水をいかにひかまし」(堀河百首) |
〔類題・傍題〕 |
苗田、親田、苗代田、代田、のしろ、苗代水 |
〔例句〕 |
・苗代や親子してみる宵の雨 一茶 |
|
・苗代や鞍馬の桜ちりにけり 蕪村 |
|
・苗代に落ち一塊の畦の土 高野素十 |
(堀口希望) |
燕(つばめ) |
〔本意・形状〕 |
多くは四月から五月に南方から渡って来て、人家の軒や梁に巣をつくり子育てする。人間の生活圏で営巣するので親しまれ、愛らしい鳥である。
|
〔季題の歴史〕 |
『万葉集』巻十九に「燕来る時になりぬと鴈がねは国思ひつつ雲隠り鳴く」。「蔵並ぶ裏は燕のかよひ道 凡兆」。
|
〔類題・傍題〕 |
乙鳥(おつどり)玄鳥(つばめ)つばくら つばくらめ つばくろ |
〔例句〕 |
・盃に泥な落しそむら燕 芭蕉
|
|
・来るとはや行き来数ある燕かな 太祇
|
|
・大和路の宮もわら屋もつばめかな 蕪村
|
|
・藍壺に泥落したる燕かな 子規
|
|
・つばめつばめ泥が好きなる燕かな 細見綾子
|
(根本文子) |
|
|
|
|
|
|