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兼題解説 初句会・波の花

初句会(はつくかい)
〔本意・形状〕 年が改まって正月気分がまだ残っている頃の句会。山本健吉の『最新俳句歳時記(新年)』によると文政年間に始まった由。
また、『俳文学大辞典』(角川学芸出版)によると、上記の「初懐紙」という言い方は、俳席で連句を記すのに懐紙を使ったことに由来するようである。
〔類題・傍題〕 新年句会・句会始・初運座・初懐紙
  ・静まつた障子の咳やはつ懐紙 麦水(注)
  (注)享保〜天明の俳諧師。
  ・窓近く東山あり初句会      岩崎照子
  ・日本酒を隅に待たせる初句会 安居正浩
  ・吉兆の白きもの降る初句会  上山永晃
  ・七人の敵なつかしき初句会  松倉ゆずる
(堀口希望)

波の花(なみのはな)
〔本意・形状〕 波の白く泡立っているのを、白い花に見立てていう語。冬のよく晴れた日、強風にあおられて岩場に砕ける波が、泡状になって白い花のように吹き散る。奥能登の外浦海岸や、越前海岸などの岩石の多い海岸で見られ、高く舞い上がったり岩場に踊ったりして冬の風物詩である。
〔季題の歴史〕 古今(905〜914)秋下・250「草もきも色かはれどもわだつうみの浪の花にぞ秋なかりけり〈文屋康秀〉」。古くから和歌に詠まれた題材である。
〔類題・傍題〕 浪の華(なみのはな)、潮花(しおばな)
  ・能登荒磯曽々木の空の波の花   石原八束
  ・故郷は遂に他国か波の花      鈴木真砂女
  ・まさをなる天にも流れ波の花    神蔵器
  ・韃靼の沖より白馬波の花      金箱戈止夫
(根本文子)