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兼題解説 白玉・炎帝

白玉(しらたま)
〔本意・形状〕 糯米(もちごめ)から作った白玉粉(寒晒粉ともいう)を水で練り、小さく丸めて熱湯で茹でて作った団子。冷やして砂糖や蜜をかけて食べる。食感は滑らかで見た目も涼しげ。夏の菓子である。
〔類題・傍題〕 氷白玉・白玉ぜんざい
  ・白玉や浮舟の巻読み終へて   松本旭
  ・胃の中の白玉あかり根津谷中  中原道夫
  ・白玉や子煩悩にはなりきれず  西村和子
  ・母の忌の白玉に紅ほんのりと  渡辺恭子
(堀口希望)

炎帝(えんてい)
〔本意・形状〕 「炎帝」は夏をつかさどる神、またその神としての太陽。歳時記、「夏」の、類題(傍題)の最初に立項されている。夏は気象的には六、七、八月の三ヶ月であるが、俳句の夏は五月初旬の立夏から八月初旬の立秋までをいう。夏はおおまかに言って、前半は梅雨期であり、後半は盛夏期となる。この最も暑い夏を表す季語として漢語の異名が多く使われる。「炎帝」、「朱夏」、「炎夏」などである。
〔季題の歴史〕 夏というのは、イネが成り立つ意とも言い、また熱(あつ)=厚(あつ)が転じたものだとも言う(図説俳句大歳時記)。
〔類題・傍題〕 「夏」の類題(傍題)であるが同じようなものに以下がある。
赤帝、朱明、炎陽、農節、夏場、三夏、九夏、升明、祝融、など。
  ・炎帝の昏きからだの中にいる     柿本多映
  ・炎帝の手捏り雲のつぎつぎに     中戸川朝人
  ・炎帝の呑み余したる沼二つ      小河原嘘師
  ・炎帝の掌もて総身つかまれし     恒川絢子
(根本文子)