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兼題解説 初釜・河豚 |
初釜(はつがま) |
〔本意・形状〕 |
新年になって初めて催す茶会のこと。茶道の家元や師匠の家で行われる稽古始めをも初釜という。茶人の衣装、茶室の飾り、道具類も新年らしい華やいだものとなる。懐石や屠蘇が出ることもある。 |
〔類題・傍題〕 |
初茶湯・釜始・初点前 |
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・名水の湧きてあふるる初茶の湯 山口青邨 |
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・振袖の緋がこぼれけり初茶の湯 中川いさを |
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・松風の音を汲みあげ釜始 吉川ちしゑ |
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・初釜の神妙のまま了りけり 千葉久子 |
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・衣ずれをたのしむ歩巾初茶会 小板橋初子 |
(堀口希望) |
河豚(ふぐ) |
〔本意・形状〕 |
ふぐ科に属する魚で、まふぐ、とらふぐ、あかめふぐ、など種類は多いが、そのほとんどが肝臓、卵巣に猛毒をもっている。そのため河豚の料理人には試験が課せられている。河豚の体は細長いが危険が迫ると腹を膨らませる。味は虎河豚が最も美味とされ、河豚ちり、刺身鰭酒などが好まれる。 |
〔季題の歴史〕 |
『毛吹草』(正保2)、『鼻紙袋』(延宝5)、『糸屑』(元禄7)に十月として所出。『改正月令博物筌』に、「河豚は豕(いのこ)の味ひに似たるゆえ名づく。物に触れて怒り腹ふくるるゆゑ、ふぐ、といふ。古名〈ふぐたら〉の略なり。毒ある魚なり。心ある人、喰ふべからず」。 |
〔類題・傍題〕 |
ふく、ふぐと、真河豚、虎河豚、赤目河豚、針千本、箱河豚。 |
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・遊び来ぬ河豚釣りかねて七里迄 芭蕉
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・ふぐ喰うてわかるゝ人の孤影かな 飯田蛇笏
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・河豚喰ふや伊万里の皿の菊模様 水原秋桜子
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・河豚の皿燈下に何も残らざる 橋本多佳子 |
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・月星の相触るる夜の河豚づくし 能村登四郎 |
(根本文子) |
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