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兼題解説 田植・目高

田植(たうえ)
〔本意・形状〕 代掻きが済んだ田に早苗を植えること。かつては「ゆい」を組んだり早乙女を雇ったりして集落ごとに一斉に行ったが、現在は田植機の普及により家ごとの作業となっている。
〔類題・傍題〕 田植笠・田植歌・田植機・御田祭
  ・鯰得て帰る田植の男かな       蕪村
  ・田植機の来てゐる遊行柳かな    小林蛍二
  ・牛洗ふごとくに田植機を洗ふ     太田壽子
  ・ミサベール田植疲れをつつみたる  高橋沢子
  ・定年のあとの一歩を田植せり     田中美津子
(堀口希望)

 

目高(めだか)
〔本意・形状〕 メダカ科の小さな魚で、黒色のメダカと、赤黄色のヒメダカ(緋目高)とがいる(『図説俳句大歳時記』)。体調3センチほどで、日本産の魚としては最も小さい。
野川や湖、沼などに生息し、晩春から秋にかけて7,8百の卵を生む。
卵には細い糸があり、これで水草にからみつく。どこにでもいるので、方言も非常に多い。
〔季題の歴史〕 『四季名寄』(天保7)に兼三夏として所出。
〔類題・傍題〕 緋目高、白目高、番代(ばんだい)。
  ・水底の明るさ目高みごもれり      橋本多佳子
  ・ゆるやかな水に目高の眼のひかり   山口誓子
  ・緋目高の赤くなりきぬ目のうしろ    星野立子
  ・緋目高の一つ孵りてよりぞくぞく    上村占魚
  ・石菖を揃ひて潜る目高かな       富安風生
(根本文子)