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兼題解説 卒業・春の星

卒業(そつぎょう)
解説 幼稚園・保育園の卒業から大学・大学院の卒業に至るすべてに通ずる。季節は仲春。解説の必要はないと思う。
〔類題・傍題〕 卒業生・卒業式・卒業期・卒業証書・卒業歌・卒園
  ・校頭に鳩多き日や卒業す       中村草田男
  ・波ふえて卒業の日の沖見えず    藤田湘子
  ・卒業子去れり窓辺に教師暮れ    林翔
  ・母を軽く叩く卒業証書の棒      吉田幸子
  ・卒業といふ美しき渦にゐる      的場秀恭
(堀口希望)

 

春の星(はるのほし)
〔本意・形状〕 やわらかく潤むような春の夜の星をいう。冬の星の冷たいきらめき、夏の星の熱っぽさ、そのあいだでしっとりとした情緒ある輝きをしている。空気中の水蒸気が多くなる季節の星である。
〔季題の歴史〕 『明治新題句集』(明43)に「谷々に熊がなくなり春の星 富取芳河士」として所出。
〔類題・傍題〕 春星(しゅんせい)・星朧ろ(ほしおぼろ)
  ・火の山の太き煙に春の星      高野素十
  ・父の忌の数ふるほどの春の星   百合山羽公
  ・名ある星春星としてみなうるむ   山口誓子
  ・吾若し春星空に帆綱鳴る      金子兜太
  ・童女走り春星のみな走りゐる    橋本多佳子
(根本文子)