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兼題解説 左義長・寒稽古 |
左義長(さぎちょう) |
〔本意・形状〕 |
正月に行はれる火祭りの行事。主に1月14日夜または15日朝に行われる。現在一般的なやり方は、浜や河原や広場などにある程度太い木や青竹を立て、その周囲に持ち寄った注連飾りやお飾りなどを積み上げて焼くものである。
左義長の火は神聖な火として、その火で餅や団子を焼いて食べたりする。
なお、そのとき書初めを燃し、高く燃え上がると上達するといって喜ぶ、これが吉書揚である。
神奈川県大磯海岸で行われる左義長は規模が大きく特に有名である。 |
〔季題の歴史〕 |
行事としては、古くから宮中で行われていたものが民間に移ったものである。俳諧文献の上では『花火草』(寛永13)や『初学抄』(寛永18)に見られる。 |
〔類題・傍題〕 |
三毬杖(さぎちょう)・どんど・とんど・どんどん焼・どんど焼・飾焚く・飾あげ・吉書揚 |
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・天の下人の小さきどんどかな 金尾梅の門 |
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・左義長の火中に鶴の舞へにけり 古館曹人 |
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・左義長の火のちぎれとぶ相模灘 原 裕 |
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・金箔の剥がれとびたる吉書揚 茨木和生 |
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・釦まだ熱持つどんど帰りかな 吉田政江 |
(堀口希望) |
寒稽古(かんげいこ) |
〔本意・形状〕 |
寒中の厳しい寒さの中で、柔道や剣道、また音曲などの稽古をする。朝早くから道場や稽古場に行き、また寒気の募る夜などに、特別に 猛烈な稽古を重ねて心身、技芸の鍛錬をするものである。
寒は二十四節気の一つ、小寒と大寒がある。小寒は一月五日頃、大寒は一月二十日頃からで、寒明け(節分)までのおよそ三十日間を言う。 |
〔季題の歴史〕 |
『線車大成』(寛成11)に十二月として所出(図説大歳時記)。 |
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・寒稽古青き畳に擲(なげう)たる 日野草城
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・一礼の既に圧(お)さるる寒稽古 石崎素秋
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・小つづみの血に染まり行く寒稽古 竹原はん
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・渋引きしごと喉強し寒稽古 高濱虚子 |
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・噴く山へ拳突き出す寒稽古 谷迫はるえ |
(根本文子) |
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