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兼題解説 案山子・女郎花 |
案山子(かがし) |
〔本意・形状〕 |
田や畑の作物を鳥や獣から守る仕掛け。現在は竹や藁で人形をつくり、古い洋服や着物を着せ、田や畑に立てて鳥などを脅すもの。古くは弓矢を持たせたりしたこともある。語源は「嗅がし」。昔匂いで鳥獣を追い払ったことがあったからだという。 (三秋) |
〔季題の歴史〕 |
「増山の井」「滑稽雑談」に八月で掲出。 |
〔類題・傍題〕 |
捨案山子・遠案山子・鳥威し・おどろかし |
〔分類〕 |
生活 |
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・退屈に見ゆる案山子の小弓かな 正秀
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・笠とれて面目もなき案山子哉 蕪村
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・晝飯をぶらさげて居る案山子哉 一茶
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・倒れたる案山子の顔の上に天 西東三鬼 |
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・今様に案山子の丈を伸ばしけり 池田 崇 |
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・穴一つ棄てて案山子を立て直す 横山幸嗣 |
(安居正浩) |
女郎花(おみなえし・をみなへし) |
〔本意・形状〕 |
秋の七草の一つ。日当たりのいい山野に生えるオミナエシ科の多年草。高さ1メートル程度。茎は直立し、葉は羽状に深く裂け対生する。茎は上部で枝分かれし、8〜10月黄色い小花を無数に傘のようにつける。 |
〔季題の歴史〕 |
山上憶良の和歌「萩の花尾花葛花なでしこの花女郎花また藤袴朝貌の花」(万葉集)や遍照の「名にめでて折れるばかりぞ女郎花われ落ちにきと人に語るな」(古今集)など古くから詩歌に詠まれている。季節は連歌書・俳書により7月とするもの8月とするものがあるが、現代の歳時記では初秋としている。 |
〔類題・傍題〕 |
女郎花(じょろうか)・おみなめし・粟花(あわばな) |
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・ひよろひよろと猶露けしや女郎花 芭蕉
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・女郎花押しわけ早瀬沼に落つ 水原秋桜子
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・一様に風来る中の女郎花 高野素十
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・流人墓手向けの酒と女郎花 三平忠宏 |
(堀口希望) |
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