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兼題解説 |
溝浚え(みぞさらえ) |
〔本意・形状〕 |
本来は田に水を引く準備として、溝や堰を掃除したり補修したりすることであったが、人家の周囲でも蚊やハエの発生を防ぐために、近所で日を決めて一斉に溝から泥や落ち葉を浚い水の流れを良くする作業を云う。
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〔季題の歴史〕 |
農村部では、田植え前の集落共同の仕事として全戸から人が出て溝浚いをし、終われば簡単な飲食を共にしたりする。水の量や温度によって稲の生育に大きく関わるので大切な行事とされ、地域によって細かい取り決めがなされていた。 |
〔別名・傍題〕 |
溝普請(みぞぶしん)、堰浚へ(せきさらえ)、どぶさらひ、田水引く。 |
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・溝浚へして相似たる家並かな 高浜虚子
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・朝靄の溝浚へとはなつかしや 八木林之助
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・溝さらひ走りはじめし水の尖 鎌居千代
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・溝浚へ了へて夕空近うしぬ 山田ひろむ |
(根本文子) |
麦笛(むぎぶえ) |
〔本意・形状〕 |
麦の穂を3センチ程度に折り取り、口に挟み、笛のように吹く子供の遊び。音色はやさしく、(幼少の頃は何とも思わなかったが、今にして思うと)郷愁を誘うような響きであった。蛇足であるが、麦笛には健全な穂は使わず、黒穂(病気の穂)を使ったと記憶している。季節は初夏。 |
〔場所〕 |
農村 |
〔季題の歴史〕 |
『夫木和歌抄』(1310年頃の藤原長清による私撰類題和歌集)に「うなゐ子がすさみに鳴らす麦笛の声に驚く夏のひるふし(西行)」。『温故日録』(1677年頃杉村友春による連歌作法書。)に4月として所出。 |
〔別名・傍題〕 |
麦藁笛(麦藁を使ったもの) |
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・麦笛や雨あがりたる垣のそと 水原秋桜子
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・麦笛に吹くこの国の恋のうた 山内年日子
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・一管の麦笛光る真昼の野 有馬朗人
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・麦笛を吹くや拙き父として 福永耕二 |
(堀口希望) |
ダービー |
〔本意・形状〕 |
イギリスのダービー卿によって創設された競馬のクラッシックレースの一つ。日本でもこれにならい、昭和7年から日本ダービー(東京優駿)が行われている。距離は2,400メートル。今年も5月31日(日)府中の東京競馬場で開催される。(初夏) |
〔別名・傍題〕 |
日本ダービー・東京優駿競争 |
〔分類〕 |
行事 |
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・思ひ出す男のひとり明日ダービー 宇多喜代子
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・ダービーの蹄馳け来るラジオの中 富永寒四郎
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・ひとりづつ歩きダービー後の群衆 熊谷愛子
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・ダービーの朝明け雀雨に乗り 清水基吉 |
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・ダービーや馬より荒き人の息 梯ぬい子 |
(安居正浩) |
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