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兼題解説 |
後の更衣(のちのころもがえ) |
〔本意・形状〕 |
初夏の更衣に対して、晩秋、袷(あわせ)から冬の綿入れに着替えるのを言う。しかし、綿入れを着ることのなくなった現在では事実上、秋の更衣で、単衣ものから裏地のある袷に着替えることを言う。
更衣は、もとは平安時代の宮廷行事で、陰暦十月一日に袷から綿入れに着替え、陰暦四月一日に綿入れから袷にかわることであった。これが江戸時代には広く一般に普及した。
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〔季題の歴史〕 |
『初学抄』(寛永18)に「秋の更衣」、『清鉋』(延享2以前)には「後の更衣」として掲出。九月一日とする。『日次紀事』(貞享2)に九月一日「今日より九日に至るまで、武家ならびに地下良賤、各々袷を着る」。 |
〔別名・傍題〕 |
秋の更衣 |
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・玉しきの衣更へよと返り花 荷兮
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・情こはくありけり後の更衣 三田きえ子
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・一病と親しき後のころもがへ 大庭美千枝
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・仁和寺の小僧も後の更衣 金森久雄 |
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・山住みのはやばや後の更衣 河西静子 |
(根本文子) |
芭蕉忌(ばしょうき) |
〔本意・形状〕 |
松尾芭蕉の忌日で陰暦10月12日。芭蕉は元禄7年、大阪で客死、近江膳所の義仲寺に埋葬された。 |
〔場所〕 |
限定されない。追善法要、追善句会、連句興行なども各所で執り行われている。 |
〔季題の歴史〕 |
『俳諧袖かがみ』(寸長編・延享元年刊)・『俳諧田毎の日』
(山奴編・寛政10年)・『季寄新題集』(千草園編・嘉永元年)などに所出とされているが、筆者未確認。 |
〔別名・傍題〕 |
時雨忌 翁忌 桃青忌 芭蕉会(ばしょうえ) 翁の日 |
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・ばせを忌と申すも只(たった)一人かな 小林一茶
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・時雨忌やことに雄島の松の景 安住敦
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・真筆のほとほと読めず翁の忌 田中千鶴子
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・時雨忌や美濃大垣は水ゆたか 村瀬米華 |
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・芭蕉忌の寿命に並ぶいのちかな 大関靖博 |
(堀口希望) |
闇汁(やみじる) |
〔本意・形状〕 |
仲間が集まって、それぞれ人に教えない材料を鍋に入れ、煮えるのを待って食べる。電気を消して室内を真っ暗にしてあるので、思いがけないものが箸にかかるのが趣向。食べた品物を当てて遊ぶこともあった。(三冬) |
〔季題の歴史〕 |
昔、九州の諸藩の若侍たちが座興で行ったもので、それが明治以降にも伝わったという。 |
〔別名・傍題〕 |
闇夜汁・闇汁会 |
〔分類〕 |
生活 |
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・闇汁の杓子を逃げしものや何 高浜虚子
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・闇汁の一間の襖はづしあり 山崎ひさお
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・闇汁や挟みて鼻の如きもの 秋元不死男
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・闇汁の闇あたたかきころのこと 小浜杜子男 |
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・唐がらしぶち込み闇汁終りしと 岡田日郎 |
(安居正浩) |
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