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兼題解説

漱石忌(そうせきき)
〔本意・形状〕

小説家であり俳人でもある夏目漱石の忌日(12月9日)。漱石は慶応3年江戸に生まれ、大正5年胃病のため没(50歳)。学生時代に正岡子規と出会い俳句を始める。句集に「漱石俳句集」(大正6年)がある。

〔場所〕 特記事項なし。
〔季題の歴史〕 特記事項なし。
〔別名・傍題〕 特記事項なし。
  ・漱石忌忘れてぞ経し師走月         阿部 二郎
  ・漱石忌全集既に古びそむ          日野 草城
  ・うす紅の和菓子の紙や漱石忌       有馬 朗人
  ・漱石忌紅茶へ淡き日の射して       梅村すみを
  ・文明がふやす病名漱石忌          椎名  彰
(堀口希望)

 

もんぺ
〔本意・形状〕 左右一対の前布、後布からなる、ゆったりした 山袴の一種。
長着(着物)の上から着用。農山村の労働着、女性の作業着、防寒用として着用された。木綿、絹などで作られ、無地、縞、絣などが多い。
第二次大戦中に、女性の標準服としてつよく奨励されたことにより、急速に普及した。腰まわりはゆるやかで、足首は襞をとって狭め、動きやすくしてある。
〔季題の歴史〕 (もんぺ)の語源は以下のように考えられているがはつきりしない。
1 門兵衛という人の名に由来するか(大言海)
2 アイヌ語で股引きの義のオムンペからか(おしゃれ語源抄)
3 モッペの転か、モッペはモモハキの転か(総合日本民族語彙)
(軽衫、カルサン)室町末期に渡来したポルトガル人のカルソン(半ズボン)に似ているからと言われる。(裁付、たっつけ)カルサンにコハゼのついたものともいわれる。)
〔別名・傍題〕 もっぺ。もんぺい。雪袴。軽衫(かるさん)。裁付(たっつけ)。
  ・みちのくのもんぺ嫌いの女かな        吉田木底
  ・もんぺ穿き傘たばさみて子規墓参      高浜虚子
  ・山に住むもんぺ胸まで上げて穿き      岩佐信子
  ・もんぺ穿き浄発願寺僧一人          富岡掬池路
  ・茶会果て水屋仕舞のもんぺかな       角谷昌子
(根本文子)

 

門松(かどまつ)
〔本意・形状〕 正月を祝って、家の門口の両側に立てる松。歳神(としがみ)様の降りる場所として立てられたのが始まりという説が有力。松を主にするもの、松に竹を添えたものの他、松以外の常緑樹を用いるものもある。(新年)
〔場所〕 住居
〔季題の歴史〕 堀河百首に「門松をいとなみたつるその程に春明けがたに夜やなりぬらん」がある。
〔別名・傍題〕 松飾・飾松・門の松・立松・竹飾
〔分類〕 生活
  ・門松やわがほとゝぎす発行所         正岡子規
  ・門松にこぼれてありぬ竜の玉         中村汀女
  ・変つても日本は日本よ門松よ         林翔
  ・一人子と閑かに住めり松飾          日野草城
  ・引払ふ店にも松を飾りけり           浅野春江
(安居正浩)