わくわく題詠鳩の会会報92   ホーム
鳩ノ会会報92(令和元年7月末締切分)
兼題 青梅・納涼

【Advice】詩(韻文)は器の小さい点が特色。それを生かし、感興(心惹かれること)を過不足なく描くために、季題(季語)を軸に、古来二つの基本文型が提案されている。芭蕉の菊の句を例にとれば、1「白菊の目にたてて見る塵もなし」(笈日記)、2「菊の香や奈良には古き仏達」(笈日記)の二つである。1は完結型で、一つの事物を言い切っている。2は配合型で、二つ以上の事物を対置している。1(完結型)では一句全体がもたらす心象(mental image)が、2(配合型)では複数の事物相互の共鳴・映発が作品の成否を左右する。
 このたびは、私意によって句頭に1か2かを示し、表現力の成否は各人に任せることとした。芭蕉の例句と自句を突き合わせて、自己診断をしてみてください。

1 青梅の生まれかはりや古酒に酔ふ 貴美
1 盆ざるに干したる実梅瞬に紅 右稀
1 手で包む重さと香り青き梅 和子
1 瓶詰の冷やし青梅箸やすめ 智子
2 青梅や反抗期の子返事なく 千寿
2 容易には読めぬ古文書梅青し ひろし
2 実梅かじる童ごころよ叱らるも
2 青梅やこともなく生き米を研ぐ 紅舟
2 病棟や青梅墜ちるを見てをりぬ 悠児
2 女生徒ら青梅落とし漬けたりき 由美
1 足元をつゝかれてをり川涼み 真美
1 ぷらんぷらん下駄を揺らして涼むひと  直子
1 しばらくはエンジン止めて納涼船 海星
1 くつろぎがくつろぎを呼ぶ納涼祭   えいこ 
2 パソコンはスリープモード夕涼み 窓花
2 終りたる納涼映画のスクリーン 鹿鳴
2 英霊のよぎりしことも涼み台 千年
2 夕涼み裏から見ゆる野良映画 ひぐらし
2 夕涼み宇宙エレベーターで星めぐる   美雪
2 ペリカンの散歩ゆったり角涼み 香粒

 
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