【Advice】季題とそれ以外の部分を、混じり合わない「水と油」と考えてみてください。「水と油」をよく振れば、少しの間は混じり合ったように見えます。俳句はそのような状態です。実際に見たからといって、その季題を添えるだけでは俳句にならない。よく振るという努力をしてみてください。
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◎水鳥の一羽に広き水面かな 鹿鳴
→平明でいて余韻深し。孤影という言葉を想起した。
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◎敵と言ふ敵なくしづか鴨の陣 ひろし
→鴨の陣とは水上に群れをなす様子をいうが、比較的新しい言い方で秀句も少ない。それはもともと好戦的な鳥ではないからであろう。敵は人間(鴨打)くらいか。本来この句のように「しづか」なのである。
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◎水鳥の進むはスクリューあるごとく 海星
→素直でよいが、「は」はいらない。
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◎水鳥の親子くつつく用水路 彩也香
→鴨ではなさそうだね。「くつつく」があったかそうで、「用水路」は新鮮。
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○水鳥の航跡波に上下して 直久
→描写は成立。しかし、意図がまだ伝わらない。 |
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○浮寝鳥叶へられずに来た夢も 悠児
→表現上は「浮寝鳥」で切れている。よって、翼に首を押し込んで眠る姿に、作者の叶わなかった夢を重ねたのであろう。やや重いが品はよい。
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○水鳥の恋深まりし湖上かな むらさき
→鴨など、特定の「水鳥」にすれば更に面白い句になる。
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○水鳥や大空を翔る翼秘め ゆき
→「大空を翔る」は翼の説明なので捨ててみよう。捨てたあと、さてどうするか。
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○水鳥のちよと潜りては見合ふ二羽 香粒
→「二羽」はない方が余韻あり。 |
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△あけぼのや水鳥羽振く滴散れり 由美
→「あけぼのや」と詠嘆にするが、水鳥の羽振くのはこの時間帯に限らないから、上五と中七・下五の関係がわからない。また「滴散れり」は六拍。下五は字余りにしないように。
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△水鳥と鉄橋くぐる同心円 憲
→「水鳥と」の「と」がわからなかった。鴨が同心円を動かして移動する様子は美しい。 |
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◎歩ければ歩ければよし父師走 千年
→名句とか、秀句とかいう言葉で説明できない立派な句。天から授かった句とでも言おうか。この作者の代表句、いや師走の代表句とさえいえる。
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◎リサイクル品に人たかりをり師走市 ムーミン
→安定した表現力を感じます。師走をよくとらえています。
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◎極月と落款に書し筆納め 智子
→作者は書家であることを踏まえると、実によくわかる句。さて、如何なる名品が完成したか。
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○極月や母にせがみし深紅色 瑛子
→「極月」と「深紅色」を結べばサンタさんが思い浮かぶが、誤解かもしれない。前書が必要な句。
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○極月やまだ手帳には余白あり 真美
→あたりまえのような気がするが表現は整っている。
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○折込の目玉に迷ふ師走かな 美雪
→「目玉商品」を「目玉」と略して理解できないことはないが、読者にために、やはり「目玉商品」のまま工夫するほうがよい。
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○喪のハガキ思ひ出添へて出す師走 和子
→素直な点を称えたい。
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〇師走来て師の墓参る弟子五人 直子
→師走を扇の要にするために、「師走かな」「師走来る」などとして下五に移動することを学ぼう。
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△ずんどうのスープふつふつ春待月 ひぐらし
→「ずんどう」難解。名店か何かの名前か。とすれば前書が不可欠。下五の字余りは音楽性を損なうので「十二月」にするか、「春待月」のままなら上五か中七に。
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△杖あそぶ街はや師走静かなり 山茶花
→「静か」は師走の本意(イメージ)から逸れるゆえ再考。
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△葱の横つくし芽生えし師走かな 静枝
→「葱」「師走」は冬、土筆の芽は春。実際は師走に春が兆していることはあるよね。だから、季重ねでもよいのだが、そのためには修練が必要だね。
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