【Advice:俳句と才能】俳句は重量制限のある体重計である。無駄な肉を落とさなければ計量はむずかしい。自分の句にばかり目をうばわれず、他の人の句や句評に学んで、贅肉を落としてください。 |
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○苗代や育ちし村が思はれる 静枝
→表現に欠点はない。たまには、こういう率直な句があってもよい。
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○苗代田幾たび作りたまひしぞ 千年
→敬語「給ふ」があるので、特別な苗代の歴史を想像しているらしい。しかし、スケッチ不足で作者のヘソ(臍)のようなものが感じられない。ヘソとは「苗代に落ち一塊の畦の土」における「畦の土」のようなもの。
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○あさみどり映へ苗代の水動き 山茶花
→感動が「あさみどり」と「水」に分離している。それを一つの世界にするのがスケッチ。
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○土盛って籾粒枡に苗代田 美雪
→育苗箱に土を敷いて、水をやって、籾粒を蒔いて土をかぶせて、そして苗代が完成。そのあたりを丁寧に描こうとしているが、十七音には収めきれないで困っている、そんな印象。俳句はむずかしいね。
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○苗代や水面に空の満ちており 貴美
→苗代に空が映るほどの水面があるのか、不勉強でむずかしかった。いずれ教えてください。 |
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△苗代や思へど遠き地蔵みち 松江
→「思へど遠き」がわからなかった。
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△ひとり違ひて学校つらし苗代田 由美
→「ひとり違ひて学校つらし」という感慨がわからなかった。
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△苗代に青みちいたる月夜かな むらさき
→「苗代」「月夜」(秋)はどちらも季の詞ゆえ要注意。「青みちいたる」がわからなかった。
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◎忘れずに鳥居くぐつて燕くる 和子
→ツバメに全体重がのっている、俳句の手本。「忘れずに」は誰にも言えそうで、実は言えない。 |
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◎忙しきはつばくろばかり湯治宿 ひぐらし
→無駄のない実感。この作者独特の軽妙な味わい。
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◎ベビーカー止めて仰ぎし親つばめ 千寿
→中七「仰ぎし」できちんと切ったところがよい。でも、ボクなら「仰ぎぬ」と完了にする。また「親」である必要はないと思うがいかが。 |
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◎青果店であいがしらの燕かな 瑛子
→「であいがしら」でスケッチが完成した。 |
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○夏つばめ小江戸の空を使ひ切り 海星
→「使ひ切り」はやや誇張でイヤミになるかも。小江戸は昔栄えた町のことゆえ、歴史と向き合う心が有効か。
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○子育てもひと息つけよ夏燕 智子
→「子育てに」とすればデッサンが完成。この違いを学びたい。
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○燕の子巣立つ日待ちて寿司屋閉め 直子
→高齢その他の事情で閉店する名店は多い。ツバメの巣立ちまではガンバッテ商売をやっていたのだ。「閉め」は「廃業す」などとはっきり、強く言った方がよい。
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○足すくむ子燕促すピチュピチュと 右稀
→「足すくむ」が無駄。中七・下五のみで十七音にする修練がこの作者を育てるはず。
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△確かなる君の筆跡つばくらめ 喜美子
→なぜ「つばくらめ」なのだろう。
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△飢え知らぬ田舎育ちに燕くる ムーミン
→「飢え知らぬ田舎育ち」という思い入れがわからなかった。
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△つばくらめ巣の無き駅に戻りけり 真美
→戻ったのはツバメか、駅か。ツバメを嫌って、人間が巣を壊したというドラマなら、可哀想なので俳句にする必要はない。
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△岩つばめ山の駅にぞ群がれる 憲
→「山の駅に岩燕がたくさん」としか言っていないので、卵を抱く心でもう少し観察したい。
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