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◎ふと母の和鋏思ふ一葉忌 希望
【評】僭越ながら「和鋏を手に」としたいのだが。
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◎妹の母似の写真一葉忌 月子
【評】「一葉忌」によって、顔が似ているだけにとどまらない余韻がある。 |
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◎肖像の本名は奈津一葉忌 千年
【評】「奈津」は一葉の本名だから、この「肖像」は一葉でない方が味わい深くなる。
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◎小間物の売り場賑はふ一葉忌 ムーミン
【評】きっと和装小物だね、「一葉忌」でそんな連想をさせるところが面白い。 |
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○その馨りひきつぐ学府一葉忌 むらさき
【評】一葉ゆかりの学校が今も伝統を継いで現存する。もちろん作者も「その馨り」に共鳴しているのだ。
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○休日の朝茶をやをら一葉忌 憲
【評】思い入れが強くなるので、「やおら」は要らないかも。 |
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○一葉忌そぼ降る菊坂上りゆく やすし
【評】「上りゆく」人を示す必要があるかも。
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○菊坂を行きかふ人や一葉忌 貴美
【評】「人」を「女」とか「二人」とかもう少し具体化すると味わいが増すように思う。 |
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○一葉忌風と登りし炭団坂 啓子
【評】「風と登りし」という主観面白いが、映像を結べない点で惜しい。 |
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○をんな子になほ世はつらし一葉忌 由美
【評】辛いといえば、誰にだって辛いからね、この世は。そんなふうに思われてしまう点が惜しい。 |
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○懸命に生きて肖像一葉忌 和子
【評】「肖像」が余計な説明になってしまうので捨てませんか。つまり、懸命に生きる人を一葉と決めつけない。そして中七(一葉忌の前)で切ることが出来れば、句に格が生まれると思う。 |
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◎鯛焼きと明るき声のあがりけり 靖子
【評】平明にして秀逸。 |
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◎鯛焼の尾にさびしさがついてゐる 酢豚
【評】山頭火をしみじみと思い出した。平明ながら真似の出来ない句。
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○ポケットに鯛焼のある川堤 梨花
【評】あったかそうでイイネ。
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○鯛焼きの頭を妻に尾を我に ひろし
【評】むつまじき二人とみた。 |
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○朝市に鯛焼き喰ふも旅ごころ ひぐらし
【評】「鯛焼きを喰ふ」とする方が韻文の味わいを増す。 |
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○鯛やきのポケット深し星の道 瑛子
【評】「鯛やきのポケット深し」がわからなかった。乞う教示。 |
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○一尾焼き鯛焼がちゃと四十分 山茶花
【評】「四十分」がわからなかった。乞う教示。 |
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