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◎長男に栗が多めの栗ごはん 酢豚
【評】事実を指摘するだけで情を醸し出すところ非凡。
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○富太郎称へし栗の毬笑ふ 千年
【評】牧野富太郎ゆかり栗の前書をつけたい。 |
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○いが栗のこけつまろびつ女坂 ひぐらし
【評】男坂と女坂のイメージの違いがポイントになる句。とすれば、「こけつまろびつ」がゆるやかな女坂に似合うかどうか、要検討。
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○落栗の雨に濡れをり硬きまま 靖子
【評】「落栗の雨に濡れをり」だけで十分に詩。「硬きまま」という思い入れを捨てられるとよいのだが。 |
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○山栗のうまし憶良も賞でしとふ 憲
【評】「とふ」が無駄。「憶良が称えた山栗を食う」とだけをいう方が上等。
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○ともすると災うけし地や栗届く 山茶花
【評】「ともすると災うけし地」がまわりくどく感じられる。まず「○○から栗が届いた」とだ言ってみよう。そののち、十七音に収める工夫をしたい。 |
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○栗の菓子入荷予定日貼る老舗 直久
【評】「栗菓子の入荷予定日貼り出さる」でよいではないか。「老舗」かどうかは読者の読みに任せて捨てよう。
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◎知床の風の痛さよ十三夜 和子
【評】申し分なき句。この作者の代表句になるだろう。 |
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◎浮舟の巻を繙く十三夜 啓子
【評】文句なく美しい句。俳句は滑稽とか、「浮舟の巻」がどんな内容かなどと野暮なことをいうなかれ。 |
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○衷心に逝きし祖母あり十三夜 むらさき
【評】「衷心」は重たい言葉。俳句の言葉は軽く、とことん軽く。 |
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○十三夜憂ひはあれど饒舌に 瑛子
【評】「憂ひはあれど」が曖昧で読者に届かず。 |
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○捨てきれぬゆめ捨てぬ筆十三夜 月子
【評】こだわりの「捨てきれぬゆめ捨てぬ筆」という表現がもたつく感じ。 |
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○しがらみも柔らかになり十三夜 ムーミン
【評】多少作者を知る者にとって「しがらみも柔らかになり」に隠す思いは想像出来るが、さらにシンプルな表現へ努力が求められる。
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○十三夜波に引かるるやう歩み ひろし
【評】「波に引かるるやう」という比喩難解にて、十三夜の効果が表面に出てこない。
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○婚家もどる道はせつなく十三夜 由美
【評】字余りでよいから、「婚家」と「もどる」の中に助詞を入れよう。意味がわかることがまず大事。 |
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○十三夜すこし欠けたる懐かしき 貴美
【評】「十三夜すこし欠けたる」だけで詩。さて残りの五文字で何を描こうか。 |
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○十三夜座す新藁のささ湿り 泰
【評】「十三夜」と「新藁」は季重ね。それで感動の焦点がぼけてしまった。 |
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