わくわく題詠鳩の会会報66   ホーム
鳩ノ会会報66(平成27年3月末締切分)
兼題 啓蟄・春休


◎母の意に添はぬバイトの春休み  和子
【評】親に背くのも成長なり。「バイトや」と詠嘆にするのがよいかも。これは作者の代表句になるだろう。

◎啓蟄や北陸へ伸す新幹線  直久
【評】目の付け所がよい。「北陸へ行く」でよい。

○啓蟄の牧野ワールド猿過る  千年
【評】「牧野ワールド」では読者に通じ難し。「猿」はおもしろいが、いったんはそれを捨てて、「牧野富太郎公園地虫出づ」というところまで省略してみる方が修行になる。

△啓蟄やひと鍬ごとの土のこゑ  ちちろ
【評】中七以後も春季(耕す)ゆえ、啓蟄と結びつける世界としては近すぎる。

△啓蟄や微粒子ひかる泥だんご  由美
【評】「微粒子」は狙いすぎている気がする。

△啓蟄や紅梅目指す虫達よ     佳子
【評】「啓蟄」の世界に「虫達」が含まれているので「虫」という語は不要。「紅梅」も春季だから、季重なりになる。

△啓蟄の畑の雀弾みをり      靖子
【評】「弾みをり」がやや抽象的。「啓蟄や」と切ると姿が整う。


◎カールしてちょっぴり大人春休み ひぐらし
【評】長めの休暇は人を変貌させる。これは作者の代表句になるだろう。

◎春休み口重き子と歩く土手  ひろし
【評】「土手」を捨てられると余情数倍ならん。

◎春休み庭へ飛び込む白い毬  月子
【評】「白い毬」がややあいまいなれど。「○○が飛び込んでくる春休み」と組み替える手もあり。

○旅に出て子は強くなる春休    酢豚
【評】春休みに子どもは付き過ぎなれど、「旅」の概念がこの句を支えている。

○公園に吾子おふパパの春休み  山茶花
【評】全部描かれてしまって、読者に想像の余地のない素直な点が長所であり欠点でもある。


△切手を買ふ指先にある春休み  しのぶ
【評】「切手買ふ指先にある」でよい。ただし「春休み」が思わせぶりに聞こえるので再考。

△友といて画面をなでてる春休  ムーミン
【評】おそらくスマートフォンなどのタップ・フリック・ドラッグなどをするさまと見た。ただしもう少し具象性を求めたい。たとえば「○○○スマホの手垢春休み」というふうに。

△下校時やひとりひとりの春休  憲
【評】上五・中七から「春休」の絵柄を想像しがたし。

△制服の試着や嬉し春休み  むらさき
【評】「制服の試着」は「春休み」に近すぎる。

△春休み定年恩師偲ばるる  泰
【評】「春休み」に「定年恩師」は近すぎる。

 
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