わくわく題詠鳩の会会報55   ホーム
鳩ノ会会報55(平成25年5月末締切分)
兼題 目高・田植

【○】指入れて目高と遊ぶ小川かな     月子
■海紅評=「小川」を捨てて、「指入れて目高と遊ぶ一人かな」とする情もある。「二人」も面白い。

【○】只今の声に緋目高泳ぎだす   礒部 和子
■海紅評=「只今の声」は「只今帰りました」という帰宅の挨拶を略したものだが、「たった今」「目下」の意と誤解されやすい。「ただいまと言へば…」ではどうだろう。

【△】ちひさな手 映りし目高 おおがめに  小出山茶花
■海紅評=「子どもの小さな手が、目高の群れの水面に映っている」という意と見た。「大亀の目に目高の小さな手が映った」とも読めてこわいから再考したい。容器のことは言わなくてもよいのでは。

【△】行き先のなき水槽の目高群れ  若林 直久
■海紅評=「行き先のなき水槽」という意味ありげな表現は抒情に逆効果。「水槽の水があふれるほど目高」などと、即物的に読む方が効果的。

【△】水草の甕にひよりと目高かな  西野 由美
■海紅評=難解。「ひより」は擬態語、それとも名詞か。誤記ならなお残念。

【△】青空を水面に宿すめだかかな   天野喜代子
■海紅評=「宿す」ことで生まれる抒情不明。目高が感動の焦点なら「青空も映る水面の目高かな」となるか。

【◎】ゆつくりと田植機動く遠筑波   園田 靖子 
■海紅評=類句の有無が心配な以外、申し分なし。ある種のお手本のような句。

【○】田植終り一村静けさつつみをり  三嶋   泰
■海紅評=静けさが村を包むのでなく、村自体が静かになる方が田植えに似合うのでは。参考「田植ゑ終へし静けさといふものぞこれ」。

【○】お接待のおむすび嬉し植田行く   ひぐらし
■海紅評=「植田来る」と、待つ側から詠む方が抒情深いかも。

【○】田植機の横に昼餉の場所つくる     酢豚
■海紅評=「田植機の陰に」の方が抒情深いかも。

【○】田植機のはたらき結は遠くなり ムーミン
■海紅評=参考「田植機や結の記憶の遠のきし」。

【○】植ゑて去る実習田の札立てて 柴田 憲
■海紅評=参考「植ゑ終へて実習田と札が立つ」。

【△】ひもすがら田植する影ふたりのみ   こま女
■海紅評=「影」は「姿」だから省略できる。「のみ」という思わせぶりも捨てよう。参考「夕映えや二人の田植ゑ続きをり」。

【△】麦終へて遅き田植ゑや空と海 谷地元瑛子
■海紅評=麦畑が田植に変わるのは二毛作で、特別なことでない。よって感動の焦点「遅き田植」の情弱し。「空と海」が田植の情と分離したままで残念。

【△】たちまちに四散の目高超高速 梅田ひろし
■海紅評=「たちまち」と「超高速」の情が重なるので要省略。

 
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