わくわく題詠鳩の会会報52   ホーム
鳩ノ会会報52(平成24年9月末締切分)
兼題 竜淵に潜む・水澄む


【×】水澄むや小石煌めく川の底        園田靖子
■海紅評=「水」と「川」、「澄む」と「煌めく」のイメージが近いので説明になってしまう。一方を捨てよう。


【×】水澄みて遡上の魚を待ち受ける      礒部和子
■海紅評=「水澄む」「魚遡上」「待ち受ける(人)」では核になるものが三つになって、説明に陥りやすい。


【×】澄む水に生別の刻見つめつつ       桜木とみ
■海紅評=「澄む水」「生別の刻」「見つめる(人)」では核になるものが三つになって、説明に陥る。


【元】水澄みて金木犀の道をゆく        天野喜代子
【参】水澄むと思ふ買ひ物終へて帰途
■海紅評=「金木犀」では季重ねになってしまう。


【×】水澄むや従兄弟にはじめて叔母のこと   谷地元瑛子
■海紅評=「はじめて」の意味不明。


【×】原発禍黄河の如か水澄むを        柴田憲
■海紅評=「如か」「澄むを」語法不明。またこの比喩では「黄河」が気の毒。


【◎】水澄むや白樺の葉の翻り         ひぐらし
■海紅評=「白樺」が似合う。「白樺」でよかった。


【×】水澄みて鼻緒の跡の縁の先        かずみ
■海紅評=「鼻緒の跡」が意味不明で、全体が見えない。

【○】水草のそよぐ仕種に野川澄む       菅原通斉
■海紅評=「仕種」は言い過ぎ。

【元】水澄むや友へ株分け力みをり       ムーミン
【参】水澄むや友へ株分けはかどりぬ
■海紅評=「力みをり」は不要。

【元】水澄むや甲羅干見ゆ悠々と        小出富子
【参】水澄むや大きな亀の甲羅干し
■海紅評=「悠々と」は不要。

【○】抱え込みしこと片付きて水澄めり     堀 眞智子
■海紅評=「抱え込みしこと」はもたついた表現だが。

【×】宙の塵還元の淵に竜潜み         こま女
■海紅評=「宙の塵還元の淵」は標語的で失敗。

【△】竜淵に潜む江ノ島風おこる        西野由美
■海紅評=「風おこる」が「竜淵に潜む」の説明に陥っている。

【△】風うなる十和田湖の淵に潜む竜      青柳光江
■海紅評=「風うなる」が「竜淵に潜む」の説明に陥っている。

【×】竜淵に潜む干支は辰白髪         谷 美雪
■海紅評=「竜」「辰」のことば遊びに終わった。

【◎】竜淵に潜み古事記を繙きぬ        安居正浩
■海紅評=『源氏物語』や『枕草子』でないところ秀逸。

【△】竜淵に潜むも祷り島の民         月子
■海紅評=「潜むも祷り」の景色見えず。

【○】竜淵に潜み就職内定す          堀口希望
■海紅評=読後、前途に幸多かれと思う。
 
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