【凍鶴】凍った片足で立つ鶴の形容。鶴でも同じ冬季。 |
◎人許すやうに凍鶴羽根広げ |
礒部 和子 |
画竜点睛を得たり。 |
◎凍て鶴の丹色残して暮れゆけり |
ひぐらし |
「暮れにけり」 |
○凍鶴やシャッターの音浴びてをり |
尾崎喜美子 |
「凍鶴の」「聞いてをり」 |
○凍鶴や沼を眺めてまた戻る |
菅原 宏通 |
「凍鶴の」。「また」は無駄。 |
凍鶴のすでに限界かもしれぬ |
安居 正浩 |
「凍鶴や」 |
凍鶴の耐へる姿になりてより |
根本 文子 |
「より」落ち着かず。 |
身ひとつを整へてをり冬の鶴 |
水野千寿子 |
「身ひとつ」をより具体的に。 |
凍鶴やピアノ線かや細き足 |
谷 美雪 |
「ピアノ線」は誇張しすぎ。 |
凍鶴を假屋崎省吾が見ておりぬ |
大江 月子 |
こういう句があってよし。 |
日の差して凍鶴瞼ゆるめしよ |
梅田ひろし |
「凍鶴の瞼ゆるめし日差しかな」 |
ひとつひとつ孤独の形冬の鶴 |
清水さち子 |
「ひとつひとつ」落ち着かず。 |
雪原の高僧に見ゆ凍鶴よ |
天野喜代子 |
「凍鶴の修行僧にも見えて来し」 |
舞ひ終へてゆるがぬ鶴は凍てにけり |
五十嵐信代 |
「ゆるがぬ鶴」わかりにくし。 |
凍鶴や思ひをしまひまた佇み |
米田かずみ |
観察不足。 |
凍鶴の足より影の凍て始む |
大原 芳村 |
「足の影より」 |
月落ちて首を翼へ凍の鶴 |
吉田いろは |
発見に乏し。 |
凍鶴は朝靄の中に凛と立ち |
中村美智子 |
発見に乏し。 |
凍鶴のまこと絵姿ただ黙す |
柴田 憲 |
発見に乏し。 |
凍鶴の孤影動かず月一輪 |
松村 實 |
発見に乏し。 |
凍鶴のあとひと足の重さかな |
鷲田 裕克 |
発見に乏し。 |
凍鶴の一声恋の合図らし |
金井 巧 |
発見に乏し。 |
凍鶴を振り返りつつ一人旅 |
櫻木 とみ |
発見に乏し。 |
さざ波を感じ凍鶴静かなり |
小出 富子 |
「静かなり」は無駄。 |
凍鶴や頑なまでに意志強し |
つゆ草 |
「意志強し」は無駄。 |
生ありて羽毛吹かれて凍鶴よ |
西野 由美 |
「生ありて」無駄。 |
風向ひ立ちて凍鶴季を待つ |
尾崎 弘三 |
「季を待つ」は無駄。 |
凍鶴の一羽は山を仰ぎけり |
千年 |
「一羽は」は無駄。 |
凍鶴の喉動きては又凍てり |
ちちろ |
「又凍てり」は無駄。 |
凍鶴の一脚に意志あるごとし |
堀 眞智子 |
「意志あるごとし」は無駄。 |
丹頂の園舎に凍てて何おもふ |
堀口 希望 |
「何おもふ」は無駄。 |
凍鶴や漂泊の人山頭火 |
天野 さら |
「漂泊の人」は無駄。 |
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【竜の玉】蛇の髯(ユリ科常緑多年草)の実。紫紺(瑠璃色)。 |
◎気づけない自分の長所竜の玉 |
西野 由美 |
「気づかない」 |
○老身に子ども潜みて竜の玉 |
水野千寿子 |
思い当たる心なり。 |
○小さきもの地球に似たる竜の玉 |
大江 月子 |
新鮮なり。 |
○竜の玉一人遊んで日が暮れて |
吉田いろは |
「一人遊びの日暮れけり」 |
○ぬかるみを避けて足置く竜の玉 |
中村美智子 |
「置く足」 |
○竜の玉幼なじみの訃報来る |
金井 巧 |
安定した感慨。 |
一隅の変はらぬままに竜の玉 |
根本 文子 |
「変はることなし」 |
人のこと祈れる齢竜の玉 |
安居 正浩 |
「祈る齢に」 |
竜の玉横目に猫の散歩道 |
つゆ草 |
「散歩かな」 |
竜の玉繋げて母の首飾り |
谷 美雪 |
「母に」 |
孫の笑顔見たさに拾ふはずみ玉 |
礒部 和子 |
「見たくて」 |
碧き皮むきてはずます竜の玉 |
天野喜代子 |
「鞠つきの記憶の鞠や竜の玉」 |
竜の玉マイブルーヘヴンの色をして |
天野 さら |
「マイブルーヘヴン色して竜の玉」 |
一輪車少女遮る竜の玉 |
小出 富子 |
「遮る」の主語は何か。 |
疎開児のとほき想い出龍の玉 |
松村 實 |
穏当な懐旧。 |
五十年ぶりの産土竜の玉 |
堀口 希望 |
穏当な懐旧。 |
幼き日指輪にしたり竜の玉 |
米田かずみ |
穏当な懐旧。 |
鬱々と世を窺ひて龍の玉 |
梅田ひろし |
観念的なり。 |
背負ひゐる荷の重きこと龍の玉 |
清水さち子 |
取合せに距離あり。 |
信楽のふる狸ゐて竜の玉 |
ひぐらし |
庭などのスケッチか。 |
竜の玉住みかは広くなりにけり |
千年 |
取合せに距離あり。 |
竜の玉宇宙の滴ごとくあり |
鷲田 裕克 |
譬喩としてわかる。 |
竜の玉青く光らせ鳥去りぬ |
尾崎喜美子 |
咥えて去ったということか。 |
我が師系波郷勝実や竜の玉 |
大原 芳村 |
なんとなくわかる。 |
老いし母はづませてみる竜の玉 |
ちちろ |
老母が利かず。 |
鳥知るや龍の玉ひそかに碧づく |
五十嵐信代 |
「鳥知るや」が利かず。 |
竜の髭探りて蒼きはづみ玉 |
柴田 憲 |
発見に乏し。 |
竜の玉青深くして光あり |
堀 眞智子 |
発見に乏し。 |
青藍や青き葉に入る竜の玉 |
尾崎 弘三 |
発見に乏し。 |
雨止みて朝日を乗せる龍の玉 |
櫻木 とみ |
発見に乏し。 |
竜の玉誰に聞いてもわからない |
菅原 宏通 |
わかってから詠むべし。 |
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【雪間】残雪の中の、雪解けした隙間。 |
○雪間には愛の形の道祖神 |
根本 文子 |
「愛の形」抽象的だがわかる。 |
○忘れゐしこと思い出す雪間かな |
水野千寿子 |
心境よく見ゆ。 |
○脱藩の道を歩まん雪間草 |
千年 |
景情整う。 |
遠き山近づく力なき雪間 |
小出 富子 |
どこで切れば意が通じるか。 |
高原の雪間に揺るる小さき笹 |
つゆ草 |
笹の句になった。 |
雪間よりおむすび村に行けさうな |
谷 美雪 |
「おむすび村に行けさうな雪間かな」 |
埋み菜の日に伸び初むる雪間畑 |
大江 月子 |
「日に」は無駄。 |
阿弥陀堂までとびとびの雪間かな |
吉田いろは |
安定した景なり。 |
駆け回る子等に雪間のひろがれり |
梅田ひろし |
安定した景なり。 |
大病の快癒のきざし雪間萌 |
西野 由美 |
「大病に」「萌ゆ」 |
銀輪も回り道する雪間草 |
中村美智子 |
「銀輪の」 |
緩んだり尖つたりの雪のひま |
清水さち子 |
「尖つたりして」 |
黄昏ればまた氷りゐし雪間かな |
五十嵐信代 |
「ひかげれば」「ゐる」 |
一歳の子を立たせ撮る雪間かな |
堀口 希望 |
斬新な景。 |
雪間はやところどころの温みかな |
柴田 憲 |
発見に乏し。 |
谷川の流れ光れる雪間かな |
松村 實 |
発見に乏し。 |
天然の造形のきわみ雪間かな |
天野 さら |
発見に乏し。 |
一筋の湯気立ち上る雪間かな |
ひぐらし |
発見に乏し。 |
誘はれて弾み出掛ける雪間かな |
堀 眞智子 |
発見に乏し。 |
山鳥のつめ跡残す雪間かな |
ちちろ |
発見に乏し。 |
雪のひま模様に見入る里帰り |
尾崎喜美子 |
発見に乏し。 |
みちのくやところどころに見る雪間 |
菅原 宏通 |
発見に乏し。 |
飛び越えし雪間にするり滑り込む |
礒部 和子 |
発見に乏し。 |
信濃川大曲りせし雪間かな |
大原 芳村 |
発見に乏し。 |
畝幾重帯解くかたちの一雪間 |
米田かずみ |
描写不足。 |
雪間より飛び出す子らの影と声 |
金井 巧 |
「影と声」利かず。 |
晴れやかに雪間に立ちて見る雪間 |
安居 正浩 |
「晴れやかに」が利かず。 |
晴衣着て雪間をそつと高草履 |
櫻木 とみ |
晴着の句になった。 |
雪間よりのぞく青い芽ふきのたう |
天野喜代子 |
蕗の薹の句になった。 |
奔放は垣間見せずに雪間かな |
鷲田 裕克 |
句意難解。 |
雪間あり草の芽顔出し土香る |
尾崎 弘三 |
焦点が三つに分かれた。 |
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海紅切絵図 |
凍鶴の立つを母とも思ひみる |
海 紅 |
ことごとく昔話や竜の玉 |
同 |
七つ八つ雪間をよぎり神前へ |
同 |
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