【貝寄風】浜辺に貝を吹き寄せる西風。芭蕉に「貝寄する風の手品や和歌の浦」 |
◎貝寄風や海のつづきに戦あり |
安居 正浩 |
安定した措辞。 |
○貝寄風や子は単身で赴任地へ |
金井 巧 |
安定した抒情。 |
○屏風岩貝寄風拒むごとく立ち |
梅田ひろし |
安定した叙景。 |
○貝寄風の波乗り捉ふ波頭 |
ひぐらし |
「貝寄風や波乗りの乗る」 |
貝寄風や砂の足あと消してゆく |
中村美智子 |
「すぐ消ゆる」 |
貝寄風や髪なびかせて行きし日も |
清水さち子 |
「なびかせし日もありし」 |
貝寄風や舞楽の袖をひるがへし |
三島 菊枝 |
「ひるがへす」 |
貝寄風や潮香孕みし船帰る |
つゆ草 |
「孕みし」重し。 |
貝寄風や州浜にちりばむ貝合 |
谷 美雪 |
「貝合」再考。 |
貝寄風にハングル容器も漂着し |
水野千寿子 |
「も」要らず。「漂着す」 |
渚には貝寄風と砂の音 |
尾崎 弘三 |
「渚には」要らず。 |
貝寄風に乗りてサーフィン湘南に |
天野喜代子 |
「乗りて」要らず。 |
貝寄風のフェリーで帰る女学生 |
根本 文子 |
「で帰る」要らず。 |
貝寄や手つなぐ親子包みゆく |
尾崎喜美子 |
「包みゆく」要らず。 |
貝寄せや家路を急ぐ女子高生 |
千葉ちちろ |
「家路を急ぐ」要らず。 |
貝寄風や飛び散る貝に砂やさし |
小出 富子 |
「飛び散る貝」要らず。 |
貝寄風や泡だつ磯にうごめくもの |
西野 由美 |
「うごめくもの」を具体的に。 |
貝寄風や白砂も松も捨てし海 |
堀口 希望 |
中七以下難解。 |
貝寄風や水の都の和みたる |
市川 千年 |
「和みたる」難解。 |
貝寄風に洗ひ樽並ぶ西の街 |
五十嵐信代 |
「西の街」難解。 |
貝寄風や瀬戸内の浜牛窓の |
有村 南人 |
下五落ち着かず。 |
貝寄風にコバルトブルーのポリタンク |
天野 さら |
漂着の景か。 |
貝寄せや瀬戸の汀は遠のきて |
大江 月子 |
なぜ遠のくのか。 |
貝寄風の浜にぞくぞく鼓笛隊 |
吉田いろは |
なにが始まるのか。 |
貝寄風に拾ひし貝に真珠あり |
礒部 和子 |
うがち過ぎなり。 |
貝寄風の海辺行きたし山家の娘 |
平岡 佳子 |
ただごとなり。 |
貝寄や海辺の渦寄せ光る |
竹内 林書 |
ただごとなり。 |
貝寄風や夜船の光往来す |
櫻木 とみ |
ただごとなり。 |
もしかして貝寄風なれや東京湾 |
柴田 憲 |
ただごとなり。 |
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【目刺】イワシやヒシコを竹や藁で数尾ずつ刺して干すところからいう。 |
◎ほほざしや卓袱台囲む子沢山 |
ひぐらし |
懐かしき景。 |
○波の形に並んでをりし目刺かな |
根本 文子 |
新鮮だが、場はどこか。 |
○明日には明日の風が目刺焼く |
吉田いろは |
傍には酒もあらん。 |
○汐風が目刺暖簾を分けて入り |
尾崎 弘三 |
「目刺暖簾」の語面白し。 |
○目刺焼く匂ひに街の暮れそむる |
三島 菊枝 |
平明なれど。 |
檜葉敷きて伊豆の目刺の届きけり |
堀口 希望 |
平明なれど。 |
目を細め卒寿の母の目刺食む |
尾崎喜美子 |
「目を細め」再考か。 |
山がちの母の子育て目刺かな |
水野千寿子 |
「山がち」の効果疑問。 |
自家製よ声みづみづと目刺買ふ |
柴田 憲 |
「自家製といふ声が聞こえて」 |
妻の留守一人晩酌目刺焼く |
千葉ちちろ |
「一人」要らず。 |
程よきに焼かれ目刺しの覚悟かな |
つゆ草 |
哀しすぎなり。 |
かなしき目そつと藁ぬく目刺かな |
五十嵐信代 |
うがち過ぎなり。 |
床きしむ築五十年目刺食ふ |
金井 巧 |
うがち過ぎなり。 |
串はずし目刺静かに焼く夕餉 |
小出 富子 |
ただごとなり。 |
目刺買ふ鬼門に頭を一つ刺す |
谷 美雪 |
ただごとなり。 |
目刺し食む微妙にとりどり塩加減 |
大江 月子 |
ただごとなり。 |
頭から食へると目刺食つてみせ |
西野 由美 |
ただごとなり。 |
定ばんの目刺を添へ朝食かな |
竹内 林書 |
ただごとなり。 |
独り酒目刺で力つける夜 |
平岡 佳子 |
ただごとなり。 |
目刺焼くにおひに釣られ猫唄ふ |
中村美智子 |
ただごとなり。 |
銚子港目刺にほれて送り状 |
礒部 和子 |
ただごとなり。 |
目刺挿す軒の板目に冬日射す |
天野喜代子 |
節分の景。 |
目刺食み声を荒げることもなく |
梅田ひろし |
なぜ荒げないのか。 |
焼き目刺海の香ただよふ夕厨 |
天野 さら |
中七饒舌なり。 |
目刺焼くか錆びた脂の臭ひして |
有村 南人 |
中七以下饒舌。 |
空の海目刺の泳ぎ網のゆれ |
櫻木 とみ |
初五難解。 |
客の母これがいいねと目刺焼く |
清水さち子 |
「客の母」難解。 |
自虐とは昼に目刺を焼くことか |
安居 正浩 |
難解。 |
目刺の頭起点となりて揺れてをり |
市川 千年 |
難解。 |
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【一人静】山地の林下に自生。楕円形の四枚の葉に包まれて、白色の花穂が美しい。 |
◎一人静茶室の丸き窓灯り |
ひぐらし |
「茶室に」 |
○旅立ちや一人静が咲き揃ふ |
五十嵐信代 |
餞の如きか。 |
○一人静隠れ里への切通し |
谷 美雪 |
安定した季感。 |
○風わたるひとりしづかの揺るるほど |
堀口 希望 |
安定した季感。 |
○ひとりしづか風を伝へてよりやさし |
千葉ちちろ |
「より」は助詞とみた。 |
○振り返る一人静の咲きし山 |
市川 千年 |
「咲きし」再考。 |
○ささやかれ一人静の咲いてをり |
根本 文子 |
「咲いてをり」再考。 |
○ひざまづき一人静と話しけり |
櫻木 とみ |
「一人静に話あり」 |
なにゆゑの涙か一人静咲く |
小出 富子 |
涙する主体不明。 |
地味といふ一生もあるまゆはき草 |
大江 月子 |
「一生もよし」 |
蟻になる一人静の花の下 |
吉田いろは |
初五難解。 |
いにしへや吉野静はいまもなほ |
柴田 憲 |
初五再考。 |
愛されて一人静と言ふ響き |
つゆ草 |
初五再考。 |
ブラブラと一人静を訪ね行く |
尾崎喜美子 |
初五要らず。 |
木の影の迫りて一人静かな |
安居 正浩 |
初五中七難解。 |
江戸道は荒れて人来ぬ一人静 |
天野 さら |
「人来ぬ」要らず。 |
林陰げ一人静の白い色 |
尾崎 弘三 |
林の陰に、の意か。 |
寄り道す一人静に招かれて |
金井 巧 |
安定した季感。 |
ふいの雨一人静も濡るるまま |
水野千寿子 |
「一人静は」 |
木下闇一人静の点々と |
天野喜代子 |
姿は整った。 |
鉢の中一人静は睡つてる |
中村美智子 |
ただごとなり。 |
窓口に名札添へられ一人静 |
清水さち子 |
ただごとなり。 |
一人静燃えたき我に不要なり |
平岡 佳子 |
面白いが、題を逸れた。 |
林門に一人静の光あり |
有村 南人 |
「林門」の語熟さず。 |
一人静人恋ふさまに揺らぎけり |
梅田ひろし |
中七甘し。 |
一人静葉に守られて岨道に |
三島 菊枝 |
中七甘し。 |
一人静待てど来ぬ人忘れよか |
西野 由美 |
中七以下甘し。 |
離別して一人静と暮らしけり |
礒部 和子 |
重し。 |
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海紅切絵図 |
貝寄風や小児診療廃止すと |
海 紅 |
再婚といふ仕合はせに目刺焼く |
同 |
一人静二人静の隣りあふ |
同 |
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