日時 平成24年3月25日
於、 谷地先生研究室
芭蕉会議の世話人会があり、暖かな春の午後のひと時、久しぶりに巣鴨駅から白山校舎まで歩いた。集合時間(午後二時)ジャストに谷地先生の研究室に着いた。すでに大方の人が集っていた。その中には昨年三月、東日本大震災で被災された吉田いろはさんがいた。被災地いわき市からの出席である。一同、いろはさんの元気な姿を見て安堵と再会の感涙にむせんだ。
春日燦いわきより友いでまして 希望
また高知からは市川千年さんも駆けつけた。本日は第一部(句会)、第二部(世話人会議)、第三部(懇親を兼ねた浅酌会)と予定が目白押し、旧懐を談ずる間もなく、早速、一部がスタートした。句会は谷地先生直々の披講で進行、和やかな雰囲気のうちに行われた。芭蕉会議メンバーでの句会は、なんと昨年七月以来である。
〈当季雑詠三句、兼題なし、五句選〉
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― 谷地海紅選 ―
やはらかく海を撫でゐる春の風 |
文子 |
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朧夜の水琴窟に潜むもの |
希望 |
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薄絹の風のスカーフ山笑ふ |
文子 |
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春日燦いわきより友いでまして |
希望 |
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春の虹ながるる雲のすけて見ゆ |
柑子 |
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互選結果
3 |
やはらかく海を撫でゐる春の風 |
文子 |
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1 |
黒髪にまことに春の風らしく |
海紅 |
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1 |
日だまりに猫の足あとボンネット |
村秀 |
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2 |
朧夜の水琴窟に潜むもの |
希望 |
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3 |
隣あふ仮設暮しや木の芽雨 |
いろは |
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梅の香や風音高き城の址 |
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2 |
海女のこと挙句に詠んでふと淋し |
海紅 |
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花幻忌や野趣帯びくる川の中 |
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3 |
梅真白娘婚家となる家へ |
無迅 |
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仮設テントのボランティアセンターあたたかし |
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「ホワイトデーに花を贈る」 |
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去年今年日持ちし居間のフリージア |
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1 |
孟春やだるま朝日の揺らぐ海 |
千年 |
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1 |
そのやうに枯れたき願ひ水仙花 |
いろは |
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1 |
春の雨広げし冊子そのままに |
喜美子 |
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1 |
弥生かな影絵あそびの少女の手 |
希望 |
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2 |
東京へ向かふ電車の音も春 |
海紅 |
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黄水仙蕾もしなる朝の雨 |
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3 |
春寒や詫状忽と呑むポスト |
無迅 |
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四十越え苦みの味知るふきのたう |
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7 |
薄絹の風のスカーフ山笑ふ |
文子 |
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木の芽ふく杖を頼りの散歩道 |
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3 |
春日燦いわきより友いでまして |
希望 |
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3 |
浅春や付箋の本の置きどころ |
無迅 |
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3 |
人の住むここがまほろば春の風 |
いろは |
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春ともしゆれやまぬまま澄みゆけり |
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2 |
野に残る盬(しお)のかほりや春浅き |
柑子 |
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4 |
春の虹ながるる雲のすけて見ゆ |
柑子 |
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句会後、本日の本題である世話人会があり、今後の芭蕉会議の運営について話し合った。世話人会は予定通り午後五時過ぎに終了。全員(九人)で少し冷えてきた白山下の街に繰り出し「庄屋」で親交を深めあった。(無迅記)
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