白山句会会報 No.39   ホーム
白山句会 白山句会報第39号

  □ 日時  平成31年4月13日(土)
  □ 句会場 宋雲院(台東区東上野)
 
 糀・右稀・真美さんの御苦労で、東京上野の宋雲院(臨済宗)を会場に白山句会が行われた。臨済宗は芭蕉がもっとも影響を受けた哲学。御参加のみなさまに感謝いたします。句会は銀山温泉一泊吟行会と同じく、投句し、清記し、選句し、披講して終わるという、もっともシンプルな方法を採用。三句投句、五句選。ただし、遠方から、俳人歴の長い梅田ひろし氏が参加してくれたので、選句にあたっては海紅同様に互選から独立させ、お眼鏡に叶うものを無制限で選んでもらった。参加者には、海紅・ひろし選に共通する句が少なくないことの意味を考えていただければ幸いです。
 なお、互選については、失礼ながら「鼻につく」というキーワードで敢えて刺激的な海紅評を示しました。表現法上の問題として参考にしてください。


〈 俳 話 少 々 〉

 今回はお休みしました。


〈 句 会 報 告 〉
一部の作品について、作者の意図をそれない範囲で、表現を改めた句が含まれています。また、海紅選・ひろし選は互選の点数に含まれていません。


☆ 海紅選 ☆

〇印は本選

囀や店主すすめる筆を買ふ
葉桜や新キャプテンは変声期 由美
白髪染め終へて上野の春闊歩 つゆ草
山吹や大観旧居の灯の昏く ひろし
制服のやや着なれしか花の道 泰司
《評》季題は目に見ゆる「春の草」「花吹雪」などが数倍効果的。
この年はベランダよりの花見かな 無迅
《評》身上をどこまで吐露するかは難しいが「この年は」はやや抽象的。
見舞人吸呑みに挿す花一枝 無迅
春風や句会会場通り越す ふみ子
親と子の歩幅の揃ふ落花かな 真美
貝寄せやハンブルグとあるコンテナ船 瑛子
燕来る今は主のなき店舗 真美
語らひて語り足らずや花筏 宏美
紙芝居待ちたる子らに花吹雪 千寿
御朱印の列の乱るる花吹雪 こま女
ネクタイを鉢巻にして花の宴 ひぐらし




☆ひろし選☆

この年はベランダよりの花見かな 無迅
ネクタイを鉢巻にして花の宴 ひぐらし
御朱印の列の乱るる花吹雪 こま女
紙芝居待ちたる子らに花吹雪 千寿
空つぽの巣箱を磨く風光る 真美
語らひて語り足らずや花筏 宏美
燕来る今は主のなき店舗 真美
八十路ゆく我に力の桜咲く 和子
花満開チェリーピンクの口紅で 美雪
花冷えを予後を恐るること勿れ 海紅
森一つ染め上げ花の終ひけり うらら
黒門の黒く光りて散る桜 馨子
人の住む明かりあるいは連翹か 海紅
空色のバッグはずんで夏近し 貴美



☆ 互選結果 ☆

6 葉桜や新キャプテンは変声期 由美
5 無縁坂尽きたるあたり辛夷咲く ひろし
3 親と子の歩幅の揃ふ落花かな 真美
3 見舞人吸呑みに挿す花一枝 無迅
3 葉桜のかすかに揺れて鳥一羽 うらら
3 定年や春の響きの人々と 宏美
3 御朱印の列の乱るる花吹雪 こま女
3 ぽつぽつと身の上ばなし春日さす 光江
3 語らひて語り足らずや花筏 宏美
2 ひこばえの黒き幹より萌え出づる 貴美
2 ボート漕ぐ君の前髪春の風 千寿
2 たこやき屋台に令和の幟上野かな 由美
2 空つぽの巣箱を磨く風光る 真美
《評》「磨く」が鼻につく。
2 春の影ひとつひとつが詩を紡ぐ
2 ほろ酔ひの花見の後のジルバかな ふみ子
2 トーテムポール時代見つめて春の黙 つゆ草
2 八十路ゆく我に力の桜咲く 和子
2 貝寄せやハンブルグとあるコンテナ船 瑛子
2 日日をひと時忘るる桜蘂ふる 右稀
《評》「日日」に読み仮名をつけなくても済むように、表現は平明に。
2 終着の駅様々の四月かな ひぐらし
2 森一つ染め上げ花の終ひけり うらら
《評》「染め上げ」が鼻につく。
2 閉館に駆け込む二人夕桜
2 制服のやや着なれしか花の道 泰司
2 朧月夜再建中の天守閣 窓花
2 夜桜にほろ酔ひ花酔ひ人の波 光江
1 杏咲く風の便りに耳を立て
1 湯上がりのなほさめやらず春の宵 泰司
1 この年はベランダよりの花見かな 無迅
1 ネクタイを鉢巻にして花の宴 ひぐらし
1 紙芝居待ちたる子らに花吹雪 千寿
1 白髪染め終へて上野の春闊歩 つゆ草
1 切り株に顔出すひこばえ継ぐ命 春代
1 老鴬の一人遊びの夜明かな 梨花
1 花水木去年に愛でたる友はなく 美知子
1 燕来る今は主のなき店舗   真美
1 スニーカーに靴はきかへて夏近し 貴美
1 八重桜老いしガイドの声高く ひろし
1 ペダル踏む黒いローファー風光る 千寿
1 桜冷え日だまりさがし友を待つ 美知子
1 曲水の旅人の梅や今届く 梨花
1 花冷えを予後を恐るること勿れ 海紅
1 喜びも哀しみもありて花見上ぐ 右稀
1 残る花遠くの友の便り待つ しのぶこ
1 菜の花や漱石気取り欠伸二度 宏美
1 黒門の黒く光りて散る桜 馨子
1 寡婦の欄印す確定申告日 和子
1 人の住む明かりあるいは連翹か 海紅
1 ふたすぢの飛行機雲や花の空 馨子
1 一木にたたずむ人や花衣 しのぶこ
1 蝶となり少年の日の球ひろひ 光江
1 囀や店主のすすめる筆を買ふ
1 一斉に背を日ざらし雀の子 香粒
1 出替や教場のドアそつと閉め 窓花

☆ 参加者 ☆ <順不同・敬称略>
梅田ひろし・鈴木香粒・中村こま女・谷地元瑛子・荻原貴美・谷 美雪・青柳光江・
根本梨花・大石しのぶこ・三木つゆ草・村上智子・平塚ふみ子・椎名美知子 ・
丹野宏美・相澤泰司・高橋千寿・植田ひぐらし・山崎右稀・月岡 糀・梶原真美・
谷地海紅(以上、21名)

☆欠席投句者☆ (敬称略、順不同)
伊藤無迅・真杉窓花・備後春代・西野由美・佐藤馨子(懇親会出席)・
宇田川うらら(懇親会出席)・古崎笙・柴田憲・礒部和子(以上、9名)

<以上取りまとめ、海紅>

< 了 >


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