白山句会会報 No.29   ホーム
白山句会 白山句会報第29号

□ 日時  平成29年4月8日〜25日、ネット句会
□ 句会場 「芭蕉会議」サイト会員フォーラム(専用掲示板)

今回の白山句会の日程は日立の「たしなみ句会」からの合同吟行句会のお誘いと重なってしまった。強行すれば合同句会参加者は連続して三日間の強行スケジュールになる。そこで一計を案じ、白山句会は初めてのネット句会になった。これは窮余の一策であったが、参加者も30人と通常句会より多く、想定外の盛り上がりを見せた。とりわけ遠地の会員の参加を容易にしたのはよかった。
思うに、芭蕉会議は外に開かれたサイト運営を特徴としており、その点ではネット句会はもっと早く試みるべきテーマであった。今後の更なる会員高齢化や、句会場確保の労力を勘案すると、確かにネット句会は有効である。ただその方向で進むにしても、白山連句会で話題にした「貴重な日本文化としての座の形成とそのよろこび、つまりバーチャルでない現実の座を大切にする俳諧という文芸の大切さ」や、海紅主宰が掲示板で提示した「ITリテラシーの問題」、つまりネット環境のない会員への十分な配慮が必要であろう。こうした経緯を踏まえて、今後、芭蕉会議の将来に向けた問題として、世話人一体となって引き続き検討してゆきたい。


〈 俳 話 少 々 〉

 今回はネット句会のため、俳話少々はお休みしました。


〈 句 会 報 告 〉
*「あと一歩で佳句になる句」との海紅主宰の参考意見は、矢印(→)で示した。

☆ 海紅選 ☆

ダンボール運ぶ頭上に花三分 智子
バス停にひろがる花の噂かな 瑛子
ひとひらの花に始まる授業かな 啓子
宴席を避けて独りの桜かな つゆ草
崖の下は児童図書館花吹雪 瑛子
人の世をそはそはさせてゐる桜 啓子
駐在の巡査見上げる夕桜 無迅 

☆ 互選結果 ☆

8 この靴も落花の道を来たるらし 海紅
7 ダンボール運ぶ頭上に花三分 智子
6 ひとひらの花に始まる授業かな 啓子
6 幼子は駆ける桜は降りしきる 由美
→「幼子は駆ける」までは合格。
6 桜湯のふくふく揺れて碗しずか 山茶花
5 廃屋の不意の更地や朝桜 無迅
4 バス停にひろがる花の噂かな 瑛子
4 花の雨点になるまで見送る背 うらら
→「花の雨点になるまで見送る」までは合格。
4 海峡も人もさくらの雨に濡れ 啓子
→「海峡も人もさくらの雨」までは合格。
4 絵筆よりこぼれ咲きたる花便り つゆ草
→全体「絵手紙」で済む。
4 初めての口紅を点し宵桜 窓花
→「初めての口紅」までは合格。
4 定年の花束重し宵の花 智子
→「定年の花束重し」までは合格。
3 オカモチの花こぼし置く出前かな 月子
3 屋根屋根を越えて一村花の山 梨花
3 花鳥の浮かれてゆらす小枝かな 貴美
3 肩車届かぬ桜父困り 奈津美
3 人逝きて後のまどひや花の昼 瑛子
→「人逝きて後のまどひや」は合格。「花の昼」は似合わず。
3 くり返す翁の一句桜花 宏美
→「くり返す翁の一句」までは合格。
2 ジーンズの花衣なる風の駅 月子
→「ジーンズの花衣なる」までは合格。
2 花の下西行とある千歳かな 月子
2 花満開津軽三味線ひびく午後 美雪
2 花冷や五十年めの同窓会 こま女
2 崖の下は児童図書館花吹雪 瑛子
2 祥月や僧の衣に花の風 むらさき
→「僧の衣に花の風」までは合格。
2 風さらう花がひとひら友の髪 奈津美
2 養花天眠らんと泣く赤子かな ひろし
→「養花天」は「花曇り」でよいのではないか。
1 エレベーター床にひとひら花の風 静枝
→「エレベーター床にひとひら」までは合格。
1 くれなゐは天恋ふる色糸桜 ひろし
1 この傘も落花の雨を来たるらし 海紅
1 ヒヨドリのついばむところ花の揺れ 美知子
1 ふるさとも桜の花で元気かな 春代
1 宴席を避けて独りの桜かな つゆ草
1 仮装して部活勧誘桜東風 光江
→「仮装して部活勧誘」までは合格。
1 花の雨旅立つ友の車列かな 貴美
→「花の雨旅立つ友の車列」までは合格。
1 花を見る杖の人あり絵にしたし 美知子
→「花を見る杖の人あり」までは合格。
1 花便り背中押されて旅衣 喜美子
1 花冷えや役行者の陀羅尼介 ひぐらし
1 吉兆か日のきらきらと桜満つ ひろし
1 吉野山行ってみたやと幾年も 美雪
1 仰ぎ見る昨日の桜今日の雨 光江
1 見あげれば花びらの間に大熊座 由美
1 校庭を去り難き人花の蕊 松江
→「校庭を去り難き人」までは合格。
1 今の世に不安ふつふつ花曇 酢豚
1 桜花まふカメラは先に笑めといふ 山茶花
1 笹舟に花弁のせて野に遊び こま女
1 雑踏を避けて一人の落花かな 無迅
→「雑踏を避けて一人」までは合格。
1 初桜九品の弥陀に見えけり
→「初桜九品の弥陀に」までは合格。
1 城壁の崩れても有り花見客 窓花
→「城壁の崩れて」までは合格。
1 人の世をそはそはさせてゐる桜 啓子
1 川を見て空を見ている花見かな 酢豚
1 駐在の巡査見上げる夕桜 無迅
1 芭蕉句碑年々深く抱く桜 梨花

☆ 参加者 ☆ <順不同・敬称略>
谷地海紅、安居酢豚、尾崎喜美子、根本梨花、大江月子、小出山茶花、谷 美雪、
三木つゆ草、市川千年、椎名美知子、宇田川うらら、梅田ひろし、中村こま女、
谷地元瑛子、青柳光江、植田ひぐらし、西野由美、備後春代、柴田 憲、むらさき、
鈴木松江、荻原貴美、荒井奈津美、眞杉窓花、丹野宏美、村上智子、伊藤無迅、
大石しのぶこ、尾見谷静枝、藤井啓子 (以上、30名)

<伊藤無迅、記>


< 了 >



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