白山句会会報 No.28   ホーム
白山句会 白山句会報第28号

□ 日時  平成29年2月11(土)、14時00分〜17時30分
□ 句会場 蕎麦処「やぶ仙」(神田神保町)

 今年初めての白山句会は、立春から一週間後の建国記念の日の2月11日に行った。場所は、前回同様の神保町の蕎麦屋さんである。風もなく暖い句会日和で、前回とほぼ同数の出席者があった。ただ、残念なことは海紅先生が大学業務の都合で句会に出席できなかったこと、さらに、お二人の方が不慮の事故等で出席できなかったことである。
 句会の方は、先生不在で多少不安であったが、希望さん、安居さん、梅田さん、根本さんのベテラン会員のご協力を貰いながら進めた。句会終了間際には先生も到着され、無事句会を終えた。会場は貸し切りなので懇親会場への移動もなく、引き続き酒肴を入れての懇親会となり和気あいあい裡に親睦を深めた。
 次回は4月8日(土)を予定している。時期的に「お花見句会」となるので、どなたか、お花見の後で句会が出来る会場を、お世話戴ければ幸いである。

<以上、伊藤無迅記>


〈 俳 話 少 々 〉

 今回は尾崎喜美子さんにお願いした。話の内容は以下の通りである。
 最近、俳句をユネスコの無形文化財に指定しようという動きが報道されたが喜ばしいことである。芭蕉会議の特徴として、いわゆる超結社と呼ばれる集団であるため、他の俳句結社
に比べると比較的規制が少なく、有難いが、その分一生懸命さが足りないかもしれない。しかし、力のある方達が多いので、しっかり、勉強させていただけたらと思っている。
 芭蕉会議の句会は二か月に一回と少なく、以前年に二回という年もあり、俳句を学ぶ機会が少ないのではないか思っていた。最近は「鳩の会」を含めれば、回数は安定してきたので少し、ホッとしている。
 ここで、話は変わるが、柔軟な対応が有難いと思っている季語について、
 * 薄氷やわづかに咲ける薺かな   其角  『猿蓑』
 * 南天の実をこぼしたる目白かな  正岡子規
 この二つは、いわゆる季重なりであるが、どう考えたら良いのであろうか。現代は太陽暦であるので、季節的にピンと来ない季語もあるので、検討と勉強が必要ではないかと感じている。次に、今後の私としての芭蕉会議の活用、或は付き合い方についてであるが、折角豊富な内容を持ちながら、活かし切れていないと感じているので、紙媒体に移してみるとか、連句会では連衆として参加できないまでも付け句を考えてみるなどの方法もあるのではないかと思っている。ただ、本来は座の文芸である俳句や連句の、顔を合わせることのないサイト上での運営は危うさもあると考える。また、若い会員がなかなか増えないのも心配である。海紅先生の書き込みのように
   *日常の暮らしに追い回されて、気が滅入ることは誰にでもありますが、
    そういう時こそ俳句が杖となって元気を取り戻せるものです。
という日の来ることを願って、宜しく皆様とお付合いさせていただきたいと思っている。

<以上、尾崎喜美子記>


〈 句 会 報 告 〉
* 一部の作品については、作者の意図をそれない範囲で原句表現の一部を改めたものがあります。

☆ 海紅選 ☆

冴え返る家路に堅き靴の音 ふみ子
江の島を蹴り飛ばす意気寒稽古 希望
青空に散らしてみたき雛あられ 酢豚
春寒し吹きさらつしの文庫本 ひろし
春夕焼け時報の童謡聞こえけり 馨子
  →「聴」を「聞」に直しました。
浅春や天神さまへありがたう 麻衣
  →「ありがとう」を「ありがたう」と直しました。
春の風園児の列を押してゆく うらら
  →「そっと」は無駄なのでとりました。
立春はやはり暦の上のこと 春代
  →「もの」を「こと」と直しました。
星冴えて水琴窟に突きささる 希望

☆ 互選結果 ☆

8 日脚伸ぶ母にこの世の今日のあり 梨花
6 青空に散らしてみたき雛あられ 酢豚
4 ひめごとを隠すに足りぬ春の雪 酢豚
4 江の島を蹴りとばす意気寒稽古 希望
4 寒月にもどかしき距離明星(ほし)ひとつ 美知子
3 冴え返る家路に硬き靴の音 ふみ子
3 枝先に春の兆しの揺れてをり 喜美子
3 古書街の和綴の本に春の風 梨花
3 白無垢や渡り廊下の縁の梅 麻衣
3 三陸に天の詫状春の雪 梨花
3 春遅し古書肆は本を砦積み ひろし
3 季語三つ手中に握り春の街 つゆ草
3 春の風園児の列をそっと押し うらら
3 寒満月見むと厨の妻を呼ぶ 希望
3 猫柳よどみに影の温みかな
3 間遠なる水洩れの音春浅し 無迅
2 春愁や小さき青の土を踏む 美知子
2 縄張りをのっしのっしと春の猫 つゆ草
2 春寒し吹きつさらしの文庫本 ひろし
2 窓に凩けふ始まるや離乳食 由美
2 静もれる路地に一声鬼やらひ 喜美子
2 二百円均一ワゴン古書うらら 海紅
2 冬の谷日射しは納屋にとどかざる 由美
2 風花や夢十夜の彼方から うらら
1 春光や足取り軽き二人連れ ふみ子
1 闇の中節分の音遠近に こま女
1 文豪の碑に旧称と春風と 海紅
1 友垣と俳句に集ひ春を待つ ムーミン
1 春浅し母にかなわぬ針しごと 馨子
1 小走りに追ひこす女の春ショール うらら
1 裸木のはざま紺青富士きりり 美知子
1 探梅の境内の土やはらかし 無迅
1 端正な弥勒のよこがほ春浅し むらさき
1 早春や翼たたんで枝のうへ しのぶこ
1 立春はやはり暦の上のもの 春代
1 鴬や歩く醍醐味満ちしかな 静枝
1 春の雲アールヌーボーの椅子深し 無迅
1 玉水を乗せて木の芽の光けり 馨子
1 星冴えて水琴窟に突きささる 希望

☆ 参加者 ☆ <順不同・敬称略>
谷地海紅、堀口希望、安居酢豚、尾崎喜美子、谷 美雪、青柳光江、伊藤無迅、
三木つゆ草、水野ムーミン、平塚ふみ子、宇田川うらら、佐藤馨子、尾見谷静枝
梅田ひろし、根本梨花、中村こま女、西野由美、尾見谷静枝、菅原麻衣 (以上、19名)

☆欠席投句者☆
谷地海紅、柴田 憲、むらさき、大石しのぶこ、備後春代(以上、5名)

<以上、伊藤無迅記>


< 了 >



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