白山句会会報 No.27   ホーム

白山句会 白山句会報第27号
□ 日時   平成28年12月10(土)、14時00分〜17時00分
□ 句会場  蕎麦処「やぶ仙」(神田神保町)

 今回は忘年会を兼ねた句会でもあり、神田神保町の蕎麦屋さん「やぶ仙」の二階を貸し切って行いました。年末のせいか常連会員の数人が都合で欠席でした。しかし総18人の会員の出席がありました。句会の途中では、参考見学という名目で松田昌子さんの飛び入り参加もありました。また句会後の忘年会では久しぶりに、お手元句会も復活し盛会裡に散会しました。なお句会での清記方式は、前回鎌倉吟行で堀口希望さんが披露した方式、すなわち全出句がメンバー手元に残るという、いわゆるコピー方式を採用しました。この方式は句会成績のまとめも容易でかつ正確という副次的効果もあるようです。従いまして暫くはこの方式を継続したいと考えています。次回は来年の2月11日(土)を予定しています。ただ主宰からは入試シーズンに当たるため学外での開催を希望されています。従いまして何方か、吟行または会場手配のお世話をして下さる方を心からお待ちしています。
 なお、次回の案内は、原則一か月前に案内する予定です。


〈 俳 話 少 々 〉

 世話人の不手際で俳話少々の事前依頼を失念しておりました。このため急遽世話人当番の伊藤無迅から稚拙な話をさせて頂きました。丁度、前述した清記用紙のコピー作業の時間が入るため、この空白時間を埋める上では進行上の意義はあったかなと思っております。
 なお、話の概要は以下の通りです。
 ・私は俳句の楽しみとして次の三種の楽しみを味わっています。一つは俳句を詠むこ
 と、次に俳論や俳話の書を読むこと、三つめが著名俳人の生き方を学ぶことです。
 ・今回は時間の関係で三番目について述べます。ここで取り上げる俳人は、私が俳句
 初学の頃、俳壇で活躍していた鈴木真砂女さんです。(内容は省略します)
 ・コピーが早く終わり途中で話を打ち切りましたが、要旨は以下の通りです。
 ・真砂女は破天荒な生き方をした女性として興味本位な視点で、マスコミや小説に取
 上げられた。しかし実際は日本古来の女性的価値観をもつ魅力的な女性でした。
 ・だからこそ彼女の俳句は大衆に愛され、真砂女の人柄も多くの俳人から愛された。

 ・俳句は人に愛される生き方を心掛ければ、自然に作品は良くなるのかも知れない。

<以上、伊藤無迅記>


〈 句 会 報 告 〉
* 一部の作品については、作者の意図をそれない範囲で原句表現の一部を改めたものがあります。
* 互選点数には海紅本選5句と見学参加の松田さんの選が含まれています。

☆ 海紅選 ☆

牛鍋屋ここも賑はふ酉の市 静枝
仮住ひといへど真白き障子かな 無迅
甘味茶屋谷中めぐりの漱石忌 光江
冬晴れや今日の電車は句会行き ふみ子
てんでんこスマホ片手のコタツかな ムーミン
      *以上本選五句(点は互選に含まれています)
      *以下は予選句(点は互選に含まれていません)
足元に枯葉流れてイブまぢか 山茶花
枯葉舞ふ音たて走る下校の子 光江
落葉蹴る三、四の五人ランドセル 美雪
東京に知らぬもの増え年つまる 無迅
しんしんと一人語りの柚子湯かな こま女
小春空介護の日々にたまはりき 由美
湯わかしの音で始まる冬の朝 貴美
暮るるまでボール蹴る子ら冬日和 ふみ子
園児らの無垢の歌声年の暮れ 失名
注解の多き本なり漱石忌 うらら
初雪やスカイツリーの姿消す 麻衣
犬探す貼紙破れて歳暮るる ひろかず
傍らに杖も休ませ冬日向 静枝
草木染め和紙をカバーに漱石忌 つゆ草

☆ 互選結果 ☆

6 熱燗や未来のことは口にせず 宏美
6 来し方を一括りして冬日落つ つゆ草
4 小春日を連れてつれづれ古書の街 つゆ草
4 北風や狭き路地まで掃きつくし 智子
3 朝市の朝の匂ひや小雪舞ふ 月子
3 仮住ひといへど真白き障子かな 無迅
3 着ぶくれて古書のやさしさ抱き帰る 酢豚
3 落葉蹴る三、四の五人ランドセル 美雪
3 注解の多き本なり漱石忌 うらら
3 暮るるまでボール蹴る子ら冬日向 ふみ子
3 冬菊や陽ざし集まる臙脂色 松江
3 落葉の沈黙に立つ鳥一羽 しのぶこ
3 傍らに杖も休ませ冬日向 静枝
2 あかぎれの手で古着など小商ひ 海紅
2 冬の日の素通りしたるベンチかな 海紅
2 古書棚を見上げ寒さのどつと来る 酢豚
2 路地の奥子どもの声や枇杷の花 喜美子
2 廃線の増毛の熱気師走かな ムーミン
2 しんしんと一人語りの柚子湯かな こま女
2 おでん屋に平次ゐるやも神保町 うらら
2 小春空介護の日々にたまはりき 由美
2 ふたすぢに川の音する枯野かな 松江
2 湯わかしの音で始まる冬の朝 貴美
2 牛鍋屋ここも賑はふ酉の市 静枝
2 道を折れ蕎麦屋の二階冬を待つ しのぶこ
2 振り返りふりかえり眺む照紅葉 右稀
2 何となく暦繰りをり今朝の冬
1 甘味茶屋谷中めぐりの漱石忌 光江
1 東京に知らぬもの増え年つまる 無迅
1 枯葉舞ふ音たて走る下校の子 光江
1 大雪や膝を抱へし古書ひらく 光江
1 大欠伸お一人様の日向ぼこ うらら
1 暮句会古書街過ぐる足遅し 山茶花
1 初雪やピョコピョコダンス赤い傘 美雪
1 年の瀬や知らぬ詩人の訃報見つ ひろかず
1 息白し名語るもの無かりけり 宏美
1 古書脇に名字呼び合ふクリスマス 窓花
1 極月や老いても急くをまぬがれず
1 てんでんこスマホ片手のコタツかな ムーミン
1 冬晴れや今日の電車は句会行き ふみ子
1 初雪やスカイツリーの姿消す 麻衣
1 ほの紅き花の芽つけて冬の梅 貴美
1 草木染め和紙をカバーに漱石忌 つゆ草

☆ 参加者 ☆ <順不同・敬称略>
谷地海紅、安居酢豚、尾崎喜美子、大江月子、小出山茶花、谷 美雪、青柳光江、
伊藤無迅、相澤泰司、三木つゆ草、水野ムーミン、平塚ふみ子、宇田川うらら、
鈴木松江、荻原貴美、山崎右稀、尾見谷静枝、村上智子、松田昌子(見学)  

☆欠席投句者☆
磯部和子、柴田憲、むらさき、中村こま女、丹野宏美、西野由美、菅原麻衣、
大石しのぶこ、眞杉窓花                 (以上、9名)

<以上、三木つゆ草記>

<付録> 懇親会余興で行われた「お手元句会」の結果は以下の通りでした。
 ・趣向 : 主宰出題句(下記)に下五(季語)を付ける、選は酢豚さん。
           箸置きを枕に徳利〇〇〇〇〇
 ・酢豚選二句  箸置きを枕に徳利梟鳴く      月子
           箸置きを枕に徳利着ぶくれし   うらら  


< 了 >



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