ホーム
私の好きな私の一句 ― 会員紹介にかえて ―

◆ 青春の苦い記念 堀口希望

  青蔦の鬱々樺美智子の忌  希望

  私にとって最も愛着のある句はこれです。理由は甚だ俗っぽい。平成十五年七月三十日の「読売俳壇」で福田甲子雄の一席に選ばれたから、ただそれだけです。
  こんな句を詠む私は、(所詮ノンポリではありましたが)安保闘争世代の一人です。昭和三十五年年六月月十五日日、樺美智子が亡くなったあの日も、高田馬場、新宿、アメリカ大使館、国会議事堂をデモし、東京駅で解散。彼女の死は帰りの電車の中で知ったような気がします。今にしてみると、何があんな行動に駆り立てたのかわかりませんが、私にとってこの句は青春の苦い記念なのかも知れません。
  私は茨城県土浦市に生まれ育ち、地元の高校を卒業したあとは大学入学、卒業、信託銀行入社、そして定年退職。その間に結婚し、一男二女を儲けと、まったく平凡にして面白味のない人生を送ってきました。いつでしたか、「起伏なき六十余歳鰯雲 希望」と詠んだことがありましたが、実感です。
  俳句・連句の道には十年ほど前に、安居正浩さんの誘いで入りました。『出航』『沖』という二つの結社に参加しています。真面目にやっているわりには一向に上達しません。もともと、俳句を作るだけでなく、連句も、俳論も、俳文も…と考えていましたので、「芭蕉会議」は私にぴったりです。
  どうぞよろしくお願いいたします。(2006/10)
写真提供:高橋巧 氏



「芭蕉会議文学館」トップへ戻る