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私の好きな私の一句 ― 会員紹介にかえて ―

◆ 「猫」の登場する文学作品は八十二点 千葉 ちちろ

 霜の朝ほうきにからむ赤毛糸  透

  どうってことのない句ですが、私が中学生のときに作ったものです。何かの授業で俳句を作ることになり、詠んだのがこの句で、先生にすごく褒められたことで、いまだに忘れることができません。
  私は岩手県一関の育ちで、平泉はすぐ隣町のこともあり、子どもの頃から中尊寺には何度も行っており、芭蕉の「夏草やつはものどもが夢の跡」の句は、その頃からとても印象に残る句でした。
  私は昭和十八年年一月三日生れの現在六十三歳。まもなく六十四歳になります。父が職業軍人だったので、茨城県水戸の陸軍官舎で生まれましたが、生後三ヶ月後には札幌月寒の官舎へ引越し、ここで終戦を迎えました。戦後すぐに父の生まれ育った岩手県一関に戻り、高校卒業までここで育ちました。水戸や札幌のことはまったく記憶にありませんので私の故郷は間違いなく岩手県の一関です。
  大学受験をしたのですが失敗し、家が貧乏だったこともあり、入学を断念し、上京して通関業の会社に就職し、定年を迎えました。現在は江戸川区在住です。
  会社員だったときは多忙で、勉学のことはまったく忘れていたのですが、定年と同時にこれからをどう生きようかと考えたとき、ムラムラと向学心が湧いてきて、すぐに大学で学ぶ決心をしました。
  現在、東洋大学通信教育部文学部日本文学文化学科の四年生で、来年三月には卒業の見込みです。卒業条件の単位は残すところあと四単位で、その小論文を作成中です。これと卒業論文が合格すれば、卒業要件を満たすことになります。
  卒業論文は担当の先生と相談して、了解を得た上で、昨年早くから資料集めをして、今年の六月末には一応書き終えました。テーマは「文学における〈猫〉の役割」というものです。1,200字詰め原稿用紙で103枚。目次・参考文献もいれると125枚でした。日本文学に登場する「猫」の文学作品は平安時代から近世までが中心で、計八十二作品でした。
  というわけで、今年の六月以降はあまりすることもなかったので、十月からは江戸川区の「江戸川総合人生大学」に入学し、国際コミュニティ学科で勉強をはじめました。この大学は大学教育法で定める正規の大学ではなく、社会貢献を目的とした大学で、二年間の大学です。まだ授業は三回しか受けておりませんが、学生は東洋大学の通信と同じで、皆向学心に燃えた方たちの集まりですごく刺激になっています。
  俳句については、大学で知り合った尾崎さんに勧められてはじめるようになりました。まだまったくの初心者ですが、生意気にも赤ペン句会などにコメントをしております。皆さんの作品にふれながら、自分も良い句が作れるようになれればいいなと思っています。どうぞ先輩の皆様方、これからよろしくお願いいたします。(2006/10)
写真提供:高橋巧 氏



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